4/26の日記

ひとつの言葉をかくだけで.ひとつの言葉が出来上がってしまうのはなぜか? いまかかれつつあるこれらの言葉によって.わたしによってかかれつつあるこれらの言葉によって.変化してゆくことがさけられないわたし.なにかをつくることによって.どこかへ出来上がってしまっていくのはわたしの方であり.むしろその過程でしかない作品には本来方向性......つまり完成とか不完成とかはなくて.作品を仕上げてゆくにしたがって.出来上がっていったわたしによってうたれる終止符が.作品の完成という無意味を意味する.この日記をしるしながらわたしは思いもしなかったところへ出来上がってきている.そうしてそろそろペンを置いて.出来上がったわたしが部屋を出ていった後も.ノートにしるされたこの文章は永遠にあなたともわたしとも無関係にここで終わっているだけだ.

(現代詩文庫「貞久秀紀詩集」を読んでいたらこんなものがペンからでてきた。わたしには思いもしなかったおどろきでここに残しておく。

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