見出し画像

みんなが金持ちに(賢く)なるほど、みんな貧乏になる理由

増えないGDPや、高齢化社会に伴う年金問題、AI時代による失業、など日頃、私たちが目にする情報は暗いものばかりです。

それに伴い、副業や個人事業を始める人、貯金、資産運用に力を入れる人が増えてきております


個人が富を築く上で副業や資産運用に力を入れるのは正しい選択だと思いますが、日本社会全体で考えると、お金になる意識が高い人が増えるほど、社会全体は貧乏になるでしょう

ゲーム理論に例えると、個人の利益を最大化することが、社会全体の利益に繋がるとは限らないからです。


この記事では、金持ちになろうとする個人が増えると、社会全体が貧乏になると思う理由を説明します。


賢く貯金、資産運用する人が増えると、その分、消費が冷え込むから

その理由の一つは、お金持ちになろうとすると無駄遣いを減らし、貯金や資産運用に力を入れるようになるので、結果、消費が冷え込むからです。

お金を使って消費することで物やサービスが生産されますが、消費が減ると、生産しても物が余るので、生産量を抑えるようになります


金は天下の回りものと言われる通り、お金はリレーにおけるバトンのように、次の人、そのまた次の人へ渡っていくことで経済が活性化します。

※もちろん銀行に預けたお金も循環しているので、『貯金=消費』が減るわけではありませんが、全体的にお金は使わない流れになると思います。


◆例

例を交えてわかりやすく説明すると、以下の図を想定してください。

この世界では花屋さんとパン屋さんと蕎麦屋さんの3人しかいません。しかも花屋しかお金を持っていないことを想定してください。もし花屋がパン屋からパンを買うと、パンが一つ消費されます。


次にお金をゲットしたパン屋が、蕎麦屋で蕎麦を注文すると蕎麦屋にお金が渡る代わりに、蕎麦が一つ消費されます。そして最後に蕎麦屋が花屋から花を買うと、花が一つ消費される代わりに、お金は花屋に戻ります。


全体の消費量を見ていくと、この流れが循環すればするほど、1000円しか存在しない世界でも、消費量(=生産量)が増えて行くことがわかります。

【全体の消費量】

反対に誰も何も買わない、花屋が最初にお金を使わなければ、この世界では何も消費、生産されないことがわかります。


◆現状の日本は消費が冷え込んでいると言われている

お金を使う人が減ると社会全体が貧しくなることがわかりましたが、現状の日本は消費が冷え込んでいると言われています。

この理由の一つは、日本人は質素倹約が好きだからだと思います。


そんな中、貯金に対する世間の関心が高まり、節約する割合が高くなると、結果的に国民全体の所得が減るのではないかと思います。


価格競争が起きるから

次に金持ちになろうとする人が増えると社会全体が貧乏になると思う理由の二つ目は、価格競争が起きるからです。


◆限られた市場規模で勝負しなければならない

資料:GLOBAL NOTE 出典:IMF


消費が冷え込んでいる我が国では市場規模は増えづらい傾向にあります。売上が見込めない以上、企業は人件費をカットしたいので、低賃金で働いてくれる労働者を好みます


おそらく将来に向け富を蓄えたい人の多くは副業を始めると思いますが、業務委託契約だと労働法が適用されないので最低賃金がありません。つまり副業はいくらでも安値で仕事を受けることができるということです。


人手が余ってくれば賃金(価格)は飽和するので、副業する人が増えるということは低賃金化を加速させるのではないかと思います。


◆人手不足により賃金は上がる?

一方で少子高齢化により深刻な人手不足の状況にあります。

労働市場において雇う側(需要)と比べ、労働(供給)が足りないので、理論的には賃金が上がる傾向にあります。

そのため一部の企業では、賃金向上の流れがきていると言われておりますが、外国人労働者の受入拡大に向けた動きが強いので、受入拡大の人数によっては結果的に低賃金化が加速する気がします。

どのみち業務委託契約と違い、従業員の賃金面における法律の保護が手厚いので、副業を始める人が少ない方が、働く人全体の所得は多くなると思います。


まとめ

日本の経済が活性化させるためにも、お金を稼げるようになろうという声がありますが、稼げる個人が増えたからって、社会全体の富が増えるわけではありません。

日本国内には自己責任論者が多いと思うんですが、相互扶助を前提とした社会全体が豊かになる制度を整えてかないと、社会全体は豊かにはならないと思います。

もちろん人それぞれ人生がありますし、個人レベルで考えたら貯金、副業を始めるのは、良いことです。ちなみに私は、老後に向け貯金に勤しんでいるので、偉そうに言えません!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?