宿命のように旋律を否んだから
体に傷を受けて飛ぶ鳥
しいられた全ての歌に背をむけて

降りやまぬ雨が
街を区切って貫く太い川をどこまでも
青く　青く　沈めてゆく

大地はもう黒く焼けただれている
ただあの青い川を道しるべにして飛ぼう
取り戻せない空
夜明けに向かって伸びる細い枝を眺めて
呟き　喘ぎながら

鳥　鳥　うたをうばわれた鳥
きみのなかに宿るうたは
今もまだ眠ったまま

傷ある鳥の翼は　でも美しい
きみはその羽を自ら繕 つくろって
ただれた土壌の土を払い落とす
薄い光が胞衣えな のように身をつつむ

夥しい影が遥か眼下に蠢いている
音を放たない闇は暗いが
それは　きみには触れられない

空をゆくきみの瞳から　ふと
一滴の涙がこぼれおちる

その冷たい粒は膨大な群の中に
吸い込まれ　すぐに蒸発した