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【働く×人生デザイン】“働く”を考えるインターンシップ

大学生の就活スケジュールが2021卒生から廃止することが決まりました。
しかし、現実にはこのスケジュールが守られることなく、3年次の夏のインターンシップが採用活動に位置づけられている状況です。
昨今の採用難から、自社に関心のある学生と早い段階でコンタクトを取り、採用につなげたいという考えからだと思います。

これは日本的慣行である「新卒一括採用」をし「終身雇用制」で安定した環境を整えて時間をかけて自社に必要な人材を育てる、という考えに基づいて「(自社にとって)いい学生を早く確保したい」という気持ちからなのでしょう。
企業の存続年数が年々短くなる中で、中途採用で雇用した社員が、現場でうまくマッチング出来ずに離職してしまうケースも後を絶たないので、新人を育てて自社の土台をしっかりしたものにしたいと考えるのも無理ないかなと感じます。

インターンシップとは「職業体験」のこと。
大学生は専門分野を学び、それを活かして社会で活躍してもらうという考えから、自分が興味関心のある分野に関わる企業にて、社員と同じ扱いで仕事を体験し、自分の大学卒業後のキャリアデザインに活かしてもらう、ってのが本来の姿です。

しかし、実際には「学生の囲い込み」「安価での労働力確保」「ワンディ・インターンシップという名の企業説明会や社員との交流会」といったものが横行し、本来の職業体験ではなくなってきている傾向にあります。

先日、滋賀県中小企業家同友会のセミナー「地域の未来を作るインターンシップ」に参加してきました。
山形大学の松坂先生が取り組む「教育」として位置付けた1年生が、山形の中小企業同友会会員企業にてインターンシップを体験し、その後のキャリアデザインにどう変化が出ているのかという内容でした。

1年制は必須科目も多く企業で職業体験する時間も取れないことから、体験は5日間(前後1日は企業様にて見学やディスカッションの時間に充てられているので、実際には3日間)、テーマとして「働くことを考える」を軸に、インターンシップ前にはビジネスマナー等社会人基礎力の講習があり、後にはレポート発表もあるのだそうです。

追跡調査もされていて「働くことを考える機会になる」という点では、インターンシップ前と後で変化が起きるそう。体験先でも「新入社員研修のつもりで取り組んでください」と大学からお願いしているそうで、カリキュラム等でお困りがあれば体験先企業へ支援されるのだそうです。地元の小さな企業さんもそれまで人を育てる経験やノウハウがないところが多く、インターンシップの機会にマニュアル化することが出来るなど効果があるのだそうです。

現実的には国公立大学と私立大学の違い、大手企業と地域密着型の中小企業との事情の違い、地域差等で、そのまま導入することは難しいと思います。
しかし、この考え方を新人採用~研修に転用する、セルフ・キャリアドック制度を年齢層別面談と研修を組み合わせて提案するということで活用できそうだと感じました。

"働く"を考えるインターンシップが、もっと広がっていくといいですね。

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