上松 正和

放射線治療医/がんの治療医です。

上松 正和

放射線治療医/がんの治療医です。

最近の記事

参院選の惨敗を受けて

2022年7月10日の参議院選挙の比例代表(国民民主党)候補として立候補しました。 結果は2万790票で、私の名前を書いて投票して頂いた方、今回の選挙活動に協力頂いた方、有難うございました。心からお礼を申し上げます。 ただ、選挙の結果としては国民民主党(比例獲得議席3)の6番目で、個人ではいわゆる「惨敗」に相当し、詐欺医療撲滅、緩和医療の充実、勤務医の待遇改善の政治的な解決からは遠のいたことも事実です。今後、私にできることを考えるために、まずは今回の参院選から見えた景色を共

    • Apple Watch で100万人の心房細動を検出する

      Apple Watchのアップデート(Watch OS 7.3、iOS14.4)に伴い心電図が測定できるようになりました。 測定の仕方は簡単です。下図のように左手にapplewatchを装着し、右手でクラウンを触って30秒待つだけです。 そうすると以下のような心電図がとれます。 結構立派な心電図がとれています。ただ、これで何がわかるのかというのが大事です。100万人が罹患している心房細動がわかります。 心房細動は何が危ないのか 心房細動というのは心房が不規則に収縮し

      • 身体が10年若返る、たった20個のメンテナンス

        YouTubeクリニックでは1年かけて「寿命を10年延ばすレシピ」を見ていきました。すべてエビデンスに基づき、実証されたものばかりです。臓器毎に一つ一つ見ていきましたが、実はその一つ一つが他の臓器の保護にも役立っていて、全てをこなすと寿命が延長するだけでなく、体自体も若々しく保てます。簡単ですので、是非この基本を身につけて下さい。下線が引かれているものはそれぞれYouTubeの動画のリンクをつけています。また記事の最後には詳細のデータを記載したnoteにも飛べるようになってい

        有料
        1,000
        • 高齢者こそ肉を食え

          身体メンテナンスで最後は筋肉をみていきます。 今までのメンテナンスで各臓器を保つ事ができるようになってきました。 最後は筋肉をみていきます。 健康な臓器を持っていてもフレイルになる 私たちは医療環境や栄養環境の改善に長寿を達成できるようになりましたが、一方で体が弱った状態でも長く生きる事を強いられるようになってきました。そこでフレイルという概念が注目されています。フレイルとは「加齢に伴う様々な機能変化や予備能力低下によって健康障害に対する脆弱性が増加した状態」をさし、つま

        参院選の惨敗を受けて

          骨が弱いと寿命が短い

          最後は骨格メンテナンスでその名の通り、まずは骨のメンテナンスをみていきます。 1280万人がなっている骨がスカスカになる病気 誰もが知っているあの病気ですね骨粗鬆症です。骨は常に骨吸収と骨形成を繰り返しながら生まれ変わっており若年者では2年で全く新しい骨になり、高齢者でも5年で全身の骨が入れ替わります。(骨吸収:骨を溶かすこと 骨形成:)。この骨吸収の量>骨形成の量に傾いてしまう事で骨がスカスカになってしまう骨粗鬆症を発症します。スカスカになる事で腰が痛くなったり、ちょっと

          骨が弱いと寿命が短い

          SPO2って何?

          先日神奈川県で悲しいニュースが流れました。 ニュースによると新型コロナウイルス に罹患した男性がホテルで療養中、朝のLINEによる健康報告でSPO2が86%だったのにも関わらず、本人が自覚症状を訴えがなかったために経過観察としてホテルでの療養を継続し、夕方に死亡を確認されました。 ここで疑問になるのがSPO2が86%であったのにも関わらず診察を受けずにいたということです。医療のケアに人手が足りなくなっていること、パルスオキシメーターの測定は不安定な場合もあるという事情はあ

          SPO2って何?

          喘息で死なないための3つ

          免疫メンテナンスシリーズで今はアレルギーをみていました。 今回はそのアレルギーと関係の深い喘息(ぜんそく)をみていきましょう。喘息は10人~20人に1人がなる病気でもあり、毎年1600人が命を落とされている重要な疾患の一つです。 喘息は苦しい 喘息はその漢字の通り息苦しいものです。なぜ苦しくなるかというと、息の通り道が細くなってしまい、息がしづらくなってしまうことが原因です。特に気管支の部位に炎症が起きていることが原因なので「気管支喘息」と呼ばれます。小児の喘息が成長するに

          喘息で死なないための3つ

          今年こそ花粉症を治す

          免疫メンテナンスで取り上げているアレルギーの項目ですが 今回は今や国民病となってしまった花粉症を取り上げたいと思います。 花粉症は年々増えている 戦後に国を挙げてスギの植林を進めたために、花粉症を発症する人が増えています。 データがやや古いのが難点ですが、アレルギー性鼻炎全体が10年(1998年→2008年)で有病率が29.8%→39.4%と増加しており、スギ花粉症の有病率も16.2%→26.5%と増加していることが見て取れます。4人に1人はスギ花粉症と多くの人が悩まされ

          今年こそ花粉症を治す

          皮膚の保湿で食物アレルギー予防

          師走になり空気が乾燥してくるように手がカサカサになってきている人も多いのではないでしょうか。元々アトピーの方はもちろん、この時期は主婦の方など水仕事をされる方は皮膚が荒れてしまう方も多くいるかもしれません。そのような方は要注意です。皮膚のケアをしてちゃんとしていないと食物アレルギーを発症してしまうかもしれません。 アレルギーはそもそもどれくらいの人がなるのか 生きていく上でアレルギーは出来ればなりたくなりたくたいものです。 でもアレルギーは幼い頃に実はよく発症していきます。

          皮膚の保湿で食物アレルギー予防

          コロナの冬はビタミンDで年越し

          日本に新型コロナウイルス感染症(covid-19)の第3波が訪れています。 ファイザーやモデルナが開発するmRNAワクチンの有効率が95%程度と、期待以上の数値を叩き出し、あとは保存・輸送の問題(mRNAワクチンは-20~-70℃で保存する必要がある)をクリア出来れば、無事に新型コロナウイルスを制圧できる事になります。 非常に良いニュースで、わずか1年で制圧できるのは世界の医学の進歩の賜物なのですが、日本ではワクチンが届くこの直前で第3波が襲来しています。 病床も逼迫し始

          コロナの冬はビタミンDで年越し

          大人のオススメワクチンTOP3

          免疫メンテナンスで最も手っ取り早い方法はワクチンを打つ事です。 子供の頃は母子手帳の接種スケジュールに沿って、保護者が頑張って子供に正しい免疫をつけていきますが、ワクチンの効果はずっと続くわけではないので大人になってからは自分でコントロールする事が大事になってきます。大人が打つワクチンは全部で12種類あります。肺炎球菌、B型肝炎、A型肝炎、破傷風トキソイド、三種混合(ジフテリア、破傷風、百日咳)、MR(風疹・麻疹混合)、水痘、おたふくかぜ、日本脳炎、インフルエンザ、HPV(ヒ

          大人のオススメワクチンTOP3

          食物繊維で腸がパンパンになっちゃう人へ

          腸管メンテナンスでは繰り返し食物繊維の重要性を強調してきました。 最後は食物繊維が逆効果になってしまう病気を紹介して終わりにしたいと思います。 SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth:小腸内細菌異常増殖症) 通常は大腸に多い腸内細菌がなんらかのきっかけで小腸で増殖してしまっている状態です。このような状態だと食物繊維の発酵が小腸で行われてしまい、水素やメタンが小腸内で増えてしまい、鼓腹感が強くなります。 小腸に細菌が増殖してしま

          食物繊維で腸がパンパンになっちゃう人へ

          腸内細菌で過敏性腸症候群を治す

          過敏性腸症候群(IBS:irritable bowel syndrome)は10人に1人がなる病気です。お腹の痛みや調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。 原因はストレスと粘膜の荒れ はっきりとした原因はわかっていませんが、腸の動きを支配する自律神経の不調で腸の収縮運動と腸の変化を感じとる知覚機能が共に過剰になっている事がわかっています。その原因としてストレスが考えられます。

          腸内細菌で過敏性腸症候群を治す

          腸と体を守る腸内細菌

          腸管メンテナンスの最後は腸内細菌をみていきます。私たちの体内に菌がいるのかと思われる方がいらっしゃるかと思います。ここでまずおさらいですが、腸管の内腔は我々の「体内」でしょうか、「対外」でしょうか。この絵をじっと見て答えて頂ければと思います。 「体外」ですね。口の中も体外ですしそこから管で繋がっている胃も小腸も大腸も体外です。体内は無菌の状態であり、もし体内に菌が進入してしまうと感染症を引き起こしてしまいます。四肢や胸や背中など私たちが通常「体外」と認識する部位は全て皮膚で

          腸と体を守る腸内細菌

          使い続けると危険な便秘薬

          前回は快便のコツをみてきました。 とはいえ、すでに便秘薬を使っていてある程度大丈夫だという方もいるかもしれませんので皆さんが使っていて特に要注意の便秘薬を2つみていきましょう。 1つ目は酸化マグネシウムです。 酸化マグネシウム(塩類下剤) マグネシウム製剤は安全で日本で最も使用されています。市販の薬も多く使用した事がある方も多いのではないでしょうか。重炭酸塩となって浸透圧維持のために腸壁から水分を奪い、腸管内容物を柔らかくし緩下作用を示します。ただし①高齢者の方②抗菌薬を使

          使い続けると危険な便秘薬

          治療費160万円が70万円に。前立腺がんの最新治療

          男性の3人に2人はがんになる 日本人の2人に1人はがんになる。そう言われて久しいですが、国立がん研究センターの統計( *1)によりますと生涯がんにかかるリスクは、男性65.5%、女性50.2%と算出されており、男性は3人に2人はがんになる時代です。 男性のがんの1位は前立腺がん 男性のがんの中で最も多いものが前立腺がんです(*2)。前立腺は膀胱の下に位置し一部の精液の分泌を担っていますが、ここにがんが出来てしまいます。初期の段階では何も悪さはしませんが、進行して大きくなって

          治療費160万円が70万円に。前立腺がんの最新治療