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25年以上、徐々に進行して症状が増えていく顔面神経麻痺と向き合っている経過記録

🎯本作について

※この作品は、以前noteで1話ずつ紹介していた原本になります。

脳腫瘍が判明して手術を受けてから、顔面神経麻痺症状が出てくるようになりました。

2021年頃からは、症状が急激に進行し、日常生活で困ることが多くなってきました。

この症状を改善するのは、非常に難しいみたいなのですが、まだまだ先があると考える僕は、うまく付き合って行く方法を模索しています。

本作は、進行する顔面神経麻痺症状に、25年以上向き合ってきた経過記録集(体験記?・闘病記?・備忘録?)になります。(全部で10話:約13,000文字の長文です)

顔面神経麻痺の仕組みなど関連事項を書いてあることが多いので、そこに興味がある人にはプラスになることがあるかもしれません。また、それぞれの症状に対する対策法を書きましたので、実際に症状が出て困っている人の力になれるかもしれません。闘病記を読むのが好きという人にもおすすめかも!

読んでいただけるのであれば、これまでの生き方を評価されたようで光栄ですし、今後も日々の出来事を書き残していこうと思える起爆剤になるような気がしています。

それではよろしくお願いします。



🎯その1 シワが出ないのは笑いのネタだった…

1995年  (平成7年) 18歳 10月

僕が左半身麻痺を自覚するようになったのは、学生のころに受けた開頭手術以降だから、付き合いはもう25年以上になる。

そのころに、以下のような右顔面神経麻痺も出てきている

  • 右目の周辺がピクピクと痙攣する

  • 右側の頬(ほっぺ)が痛む

  • おでこ(以下:前額部)の右側にシワが出ない(左側には出る)

ただ、術直後に、左半身の動かしづらさを感じていたのは間違いないんだけど、顔面神経麻痺がこの時に出てきていたのかはもう覚えていなくて

それぞれが軽度の、顔面神経麻痺と思われる症状
それぞれが軽度の、顔面神経麻痺と思われる症状

僕は放射線治療を術後2週間後くらいから受けることになった。

その理由は、摘出した腫瘍が悪性度の高い髄芽腫という種類だったから…

以上のことから、顔面神経麻痺の原因がその原因が、脳腫瘍摘出手術によるものなのか?術後に受けた放射線治療の影響なのかはよくわからない

話しがそれちゃうかもだけど、

左手や左足の動きが悪くなったのに、顔面は右側の動きが悪くなった

その仕組みはよくわからないんだけど、首を境にして麻痺が出る半身が異なるんだとか?

人間の仕組み?って不思議なものだな~



🎯その2 なんで今頃になって…?

2017年 (平成29年) 40歳ごろ

そんな顔面神経麻痺症状が急速に悪化したのは、それから20年以上が経過したころ

今までは、それぞれの症状があまりのも軽度だったから、気にかけたこともあまりなかったんだけど、今後どうしたらいいのか?本気で悩むようになってきた。

それぞれの症状がどんな風に悪化したのか?

以前と比較してみたところ…

まったく…やってられないな~
まったく…やってられないな~

①右目の周辺(主に眉毛の外側)がピクピクと痙攣する件

・悪化前
一日に数回あるかないかだったし、あっても数秒ですぐに治まっていたから病院で診てもらった記憶はなく、疲れが溜まったら出るんだろうと思うくらいだった

・悪化後
すぐに治まるのは同じだが、頻繁に起こるように…

②右側の頬(ほっぺ)が痛む件

・悪化前
常時痛むわけではなく、傷み始めてもしばらく耐えていたら自然に治まってくれるから病院で診てもらった記憶はない。

※今考えたら、それも顔面神経麻痺症状なんだろうけど、当時は別物だと思っていた。

2005年くらいやったか?帯状疱疹にかかって顔面に湿疹が出た後からだったような気がするから、帯状疱疹後の三又神経痛なんだろうと…(帯状疱疹ウイルスが悪さをしているんだろう)

・悪化後
痛むことが増えてきた…更に痛み方が激しい

③前額部は、右側だけシワが出ない件

・悪化前
笑い話にする程度…(顔面神経麻痺の一症状とは思っていなかった)

・悪化後
とても気にするようになって、笑い話にはしたくない心境に…

う~ん…

なぜ今になって悪化してきたのかな~?

何で、今になって…
何で、今になって…

🎯その3 両側顔面神経麻痺

2020年 (令和2年) 43歳 7月ごろ 

2年ほど前から悪化傾向だった顔面神経麻痺の症状で、初めて森先生に相談した。

最近悪いんですよ~
最近悪いんですよ~

その理由は、右側に出ていた既存の症状が更に悪化したのはもちろんだけど、(右顔面に)これまで出ていなかった症状が出てきたことと、これまで全く症状がなかった左側にも出てきたところが大きい。

こっちは今まで出ていなかったのにな…
こっちは今まで出ていなかったのにな…

ここでの詳細説明は省略させてもらうとして、右も左も症状だらけで何が何だか訳が分からない…ショック以上の何とも言い難い心情…

先生は僕の訴えをじっくりと聞かれた後、このようなことを言われた。

「右側は、学生の頃受けた開頭手術の影響で20年以上前から症状がありましたが、痙攣する場所が増え起きる頻度も増しているようですし、痙攣以外の症状も出てきている。それだけでも問題ですが、今回、新たに左側も出てきたため両側顔面神経麻痺の状態になっていて、これが進行すれば日常生活に支障が出てきます。手術で改善させるのは困難ですが、できる限りのことをしていきましょう」

「なぜ、顔面は左右で別れて麻痺が出るのですか?」

脳からの指令が異なる道筋で伝わるからだと思ってください」

それでは、僕の場合は両方の道筋に問題が生じているわけですか…手術で治すことはできませんか?」

「片側のみであれば…」

顔面神経麻痺を手術で改善させるには、正常な側の神経を移植する必要があるみたい。だから、僕のように両側が麻痺してしまうと難しいんだって…

ただ、痙攣症状に対しては「バルプロ酸ナトリウム」の内服治療が有効であり、口周辺の麻痺症状に対しては、マッサージや発声練習が有効なので実践するよう言われた。

(お~…完治はあまり期待しないほうが無難かもやなあ…)

それを聞いて、今後は前途多難になるだろうと確信する僕…

「それでは、口を開けて舌を出したり左右に動かしてみてください」

「えっと…こうですか?」

「う~ん…舌にも若干麻痺が出ていますね…」

どうやら、脳神経の1つである顔面神経だけが問題ではなくて舌下神経も合わさった麻痺症状みたいだ。

これらは、脳幹部から出ている脳神経で、髄芽腫のあった付近…(髄芽腫は、小脳付近にあった)

脳幹部と小脳は近いでしょ?
脳幹部と小脳は近いでしょ?

ということは、髄芽腫の開頭摘出手術や、その後の治療が影響しているのか?それとも他に問題があるのか?

先生は、現時点ではよくわからないみたいだった。ただ、舌下神経が原因になりえる症状の一つである「飲み込みにくさ」関しては、誤嚥して飲み込んだものが誤って胃ではなくて肺のほうへ流れないよう「少量ずつゆっくり」を心がけるよう言われた。

僕は、「あっかんべ~」がうまく出来ません…
僕は、「あっかんべ~」がうまく出来ません…

🎯その4 わかったような、そうでないような…

顔面神経麻痺が、以前より悪化してきている原因は何なのか…

森先生は、20年以上前からあった右側も、最近になって出てきた左側も、学生のころに受けた開頭手術が関係しているだろうと言われる。

「右側はわかりますが…左側もですか?」

術後、時間が経過すると出てくることもありますから十分考えられます」

「じゃ~…どうして今頃になって左側に出てきたんですか?」

「最近になって、小さな脳梗塞がどこかの血管で起きた可能性も考えられます」

「それは…どこですか?」

「(そうであったとしても)現時点ではわかりません。ただ、麻痺症状が顔面全体で見られることから、おそらく末梢性でしょう」

末梢性は、脳から顔面までの道筋でということ…
末梢性は、脳から顔面までの道筋でということ…

(末梢性?)

顔面の表情筋やいろいろな動作を命令するのは脳神経(顔面神経)で、その伝わり方に障害が起こると僕のようになることは知っていたけど、そんな言葉は初めて聞いた…ってことで早速調べてみると、「伝わり方が障害される場所?され方?」に中枢性と末梢性の2タイプがあるみたい。

う~ん…それでも原因がわかったような、そうでないような…

それじゃ~

左側の顔面神経麻痺って発症時期ってわからないかな…んだけど、悪化したのがわかる記録って残ってないかな…

あっ!参考になりそうな記録があったぞ~

それは、これまでに2回(2017年と2020年)受けた大腸内視鏡検査

ついでに胃カメラ(上部内視鏡)も受けた
ついでに胃カメラ(上部内視鏡)も受けた

自覚症状はなかったんだけど、職場の健康診断(便潜血っていう検査)で要精密検査になったから渋々…

参考になりそうっていうのは~

まず、2回とも条件が似ていた

  • 同じ医療機関で

  • 前日から入院という形式をとって

  • 体調など変わった点はなかった状態で

意識がない状態で上から下まで検査…
意識がない状態で上から下まで検査…

そんな条件下で、検査前日の夕食後、消灯まで飲み切るよう言われた同じ種類の下剤2リットルを、2017年の時点では不自由なく飲み干せたのに、2020年の時点では左口角から下剤がこぼれ出てしまって思うように飲めなかった。これって2017年以降に左顔面の麻痺が新たに出てきた証拠になるんじゃないかなって…

検査薬の飲み込みに違いがあった!
検査薬の飲み込みに違いがあった!

ま~いつから出てきたのかがはっきりしても…今更って感じがするけどね…


🎯その5 各症状に向けた対応策

2020年時点に確認されていた、両側顔面神経麻痺・舌下神経麻痺と思われる症状と、それに向けた対応策を書きたいと思う。

●左目の周辺(主に目元、眉との間、眉の外側?)に起きる痙攣
●右目の周辺(主に目元、眉との間、眉の外側?)に起きる痙攣
●右側の口周辺(主に鼻との間・頬側)に起きる痙攣

*対応悪:特になし

痙攣は右顔面のほうが頻繁に起こります。何もしないときにも起きるのですが、なりやすい動作として、あくび・口を大きく開ける・歯を食いしばる(「い~」「う~」ポーズ)・目を酷使した後・髭剃り中

●寝ているときにヨダレがたくさん出る

*対応策:枕元にタオルやフラットタイプのオムツを敷き毎日交換する

※これは口がしっかり閉じないのと、僕が横向きに寝るのを好むためではないかと思っています

●起きているときにヨダレが垂れる

*対応策:垂れそう・垂れたときにティッシュで拭き取るマスクや食事用エプロンなどを活用する

●仕事着(白のYシャツなど)にヨダレが垂れてしまう

*対応策:垂れても目立ちにくい黒目の服を仕事着の上から羽織るマスクや食事用エプロンなどを活用する

●外出時、大事な服(他所行き?)にヨダレや食べ物が垂れてしまう

*対応策:垂れても目立ちにくい黒目の服を選んで着るマスクや食事用エプロンなどを活用する

●口内にある水分や食べ物を舌で右や左へ誘導できない

*対応策:下唇の下皮膚を抑えたままの状態で顔を誘導したいほうへ傾ける

●ラーメン(麺類)をすすることが難しい

*対応策:すすらないレンゲに麺を乗せた後、そのレンゲを口に入れる

●気がついたら、下脣が下の歯の歯茎が見える位置まで下がっている

*対応策:常に意識して下唇を上げる。それでも下がるので、気が付いた時点でその都度上げる

●口内(歯外側と頬内側の間)に食べ物が詰まり停滞する

*対応策:こまめに歯磨きをする

●口を動かしにくい
・食事の時に右側でかむのが難しい
・こぼしやすくなり
・頬の内側と歯の外側の間に物が詰まって停滞する
・舌の使いにくさ

*対応策:無理しない程度に動かす練習をする

●舌左側を寝ていて噛みきってしまう

*対応策:特に、横向きに寝るとき注意する

●右目:食事中に涙がこぼれる

*対応策:こぼれそう・こぼれたときにティッシュで拭き取る
※これは、口を動かす顔面神経が誤作動を起こして涙腺を刺激してしまうためにおこるそうです。(ワニの目現象

●両目:涙目になりやすい、こぼれることもある

*対応策:こぼれそう・こぼれたときはティッシュを軽く当て拭き取る
※これって、流涙症なのかな?

こんな感じで、こぼさずに飲みたい…
こんな感じで、こぼさずに飲みたい…

●コップの水を飲むと出てしまう

*対応策:こぼれても良いように下唇の下皮膚をティッシュなどで抑えたままの状態で、コップを下唇から離さず息を吸い込むようなイメージ(ス~~~!)で飲んでみる

●ペットボトル飲料を口につけて飲みづらい
・こぼれる(ラッパ飲み?ガブ飲み?)

*対応策:こぼれても良いように下唇の下皮膚をティッシュなどで抑えたままの状態で、最後まで飲み干そうと意地にならないで飲む。(これで、多少のこぼれはティッシュが吸収してくれますし、後頭部がきついと感じたらそれ以上は飲まなければクリアできるのでは?)

●固形物・水分の飲み込み難さ

*対応策:ゆっくり少しずつ口に入れることを心掛ける。そして、下唇の下皮膚を抑えたままの状態で飲み込んでみる。水分の場合は、こぼれても良いように下唇の下皮膚をティッシュなどで抑えたままの状態で飲み込んでみる

●薬によって飲み込みにくさが違う(飲み込みやすい薬もある)

*対応策:僕が飲み込みにくいのは大きなカプセルや錠剤です。

内服剤にはいろんな形状があるので,、医師に相談して細粒などに変えられるものはそうしてもらっています。

※これまで何度も、錠剤が喉の奥(感覚では上の方)で停滞してしまい、後になって口から出てきたことがあります。ただ、細粒に変えたところ、その症状は改善しています。
僕のように、内服が困難な人がいましたら、同じ効能の薬でも飲み込みやすい形状があるかもしれないので医師に相談してみるといいと思います

●水分や食べ物を右側にこぼす

*対応策:口に多くのものを一度に入れない口にものが入っているときに追加で入れようと口を開けない。家では食事用エプロン、職場では食事用使い捨てエプロンを使用する。水分はこぼれても良いように下唇の下皮膚をティッシュなどで抑えたままの状態で、コップを下唇から離さず息を吸い込むようなイメージ(ス~~~!)で飲んでみる

口に入れすぎちゃダメ!
口に入れすぎちゃダメ!

●食事中などで、固形物がまだ口の中にあるときに水分を入れるのが難しい。(例:ご飯粒が口に入っているときにお茶を飲む)

*対応策:水分に限らず、口にものが入っているときに追加でものを入れようと口を開けない(口に入っているものを、完全に飲み込んだのを確認してから、水分を入れる)

●ストローで吸えない

*対応策:ストローは使わない。どうしてもならストローをくわえた後に下唇の下皮膚を抑えたまま吸ってみる(やったことはない)

●ブクブクうがいができない(出てしまう)

*対応策:コップを下唇から離さず押し当てた状態で、下唇の下皮膚を押さえやってみる。そのときは洗面台や大きなボウルを持つなど、こぼれても大丈夫な環境下で行う

●口内に水分を溜めることができない

*対応策:あえて溜めない。どうしてものときはコップを下唇から離さず押し当てた状態で、下唇の下皮膚を押さえやってみる

●口を「イ~」とすると右目が閉じるなど、顔面表情の異常多数あり…

※これって、病的共同運動なのかな?

●右側の頬が時々激しく痛む
●右側のアゴが時々ヒリヒリする
●左耳の周辺(主に耳たぶ外側)が時々激しく痛む

*対応策:触らないで収まるのを待つ

帯状疱疹のウイルスが関係している場所があるのかなと思っています

●発声困難(特に下唇を使う必要がある言葉)

*対応策:パピプペポなどの発声練習

●左下唇が腫れぼったい

*対応策:特になし
※今はずいぶん改善していますが、血行の問題から起きてしまうとか?
これは、もともと僕がタラコ唇(特に下唇が厚い)なのも関係しているんじゃないかと…

●前額部にシワが出ない
●左の瞼が若干下がっている
●左目:目の前に納豆があるようでねばねば…眼の乾燥?
●両目:目脂が出やすい
●右目:片目だけを閉じることができない
●両目:涙目になりやすい
●右側:瞼がしっかり閉じない
●唇を口笛ポーズ(すぼめる)にできない
●唇を真一文字(上唇と下唇を合わせる)にできない
●表情によっては左右対称にならない
●長く大きめの声で喋っていると、喋りにくくなる(口周辺の筋肉疲労?)
●長く大きめの声で喋っていると、耳の聞こえがおかしくなる(音が甲高くなる?響き渡るようになる?)

*対応策:特になし

えっと…以上、長々と書いてしまいごめんなさい。

これら症状は完治させるのは非常に難しいのはわかっているから、きっちり向き合って有効な対応策を講じていきたいな~!


🎯その6 原因であってほしかった…

2021年 (令和3年) 44歳 10月頃

各症状は順調に悪化している…もうここまで来たら、どの症状が新しく出てきたのかが把握できなくなった。

顔面右側に起こる痙攣は、起きる傾度や強さが悪化…ひょっとしたら他人が気づくレベルになっているかも?左側はそこまでじゃないけど、以前よりは出てくるようになっている…

そのほかの顔面神経麻痺症状は、顔面を縦に3等分した場合の一番下(口周辺)が最も悪い。以前は、食事中の食べこぼしや、ヨダレが出る姿を他人に見られたくない(他人と食事するのは嫌)程度だったのが、以前森先生が指摘されていた誤嚥によって、肺の病気になったり窒息して命を落とす可能性も出てきた

ブレて見えたり…
ブレて見えたり…

加えて、見づらさや、聴力の低下がある。これも、顔面神経麻痺の一症状なのか…?

そんな最悪な状況ではあったけど、改善できそうな望みが一つだけあったから心理的にはまだ余裕があった。

それは、「脳頭蓋内に嚢胞が存在し、それを解放すれば、症状は軽快すると思っていたから!

でも、この時点では、開頭手術になることが怖くて受けることができなかったんだけどね…

僕は、嚢胞が確認できるようになった2006年当時から、顔面神経麻痺との関係性を疑っていた。それが拡大していく中で、症状が並行するかのように悪化の道を辿っていくから疑いから確信に変わっていたように思う。

嚢胞構造の解放が目的の開頭手術を受ければ、きっと症状も改善する)

ところが、大学病院の籾井先生からは、嚢胞の拡大と顔面神経麻痺の悪化は関係がないと以前から言われていた。

(手術を受けても、症状は改善しないのかよ~…そんなはずはない!)

お医者さんの見解を聞いても、そう信じてやまないのは、僕が原因であってほしいと願う心の叫び?意地?みたいなものか…

ただ、内心では受けとめることができていたから、一層手術を先延ばしにしていたんだと思う。

(手術を受けても、顔面神経麻痺の症状が治らないのなら、今すぐ受けるメリットがあまりないような気がするな…)

結局、仕事に支障をきたし始めたから年内に手術を受けることになったんだけど、先生が何度も言われていたとおり、顔面神経麻痺の各症状は良くなることはなく以後も順調に悪化の道を辿っていった。

左右ともシワが…
左右ともシワが…

※手術を受けてからは、左前額部のシワも出なくなってしまいました。(手術の影響で、皮膚に余裕がなくなったためみたいです) →ひっぱりあげている?これで前額部は左右ともシワが出なくなっています…


🎯その7 とことんやっているのか?

2023年 (令和5年) 46歳 4月

2020年ごろにあった症状で、痙攣以外は改善することなく経過…

進行が止まらない現状に不安を感じ、今後について、森先生に相談した。

「先生…21年に受けた手術(囊胞構造の解放を目的とした開頭手術)以降もやっぱり症状は良くなっていないのですが、このような症状は今後も進行すると考えて良いですか?」

「そうですか…わかりました。顔面神経麻痺は陳旧性になると顔面拘縮などが起きるようになります」

先生は直接進行していくとは言われなかったけど、解釈によってはそう受け止めてもいいのかもしれない…

現時点で、これまでやってきた対応策を講じても、上手くいかずに困っている症状は以下の10項目。

ますますの悪化…
ますますの悪化…

①ヨダレが気づかないうちに垂れてしまう…というよりも滝のようにドバドバと流れ落ちると言ったほうが良いかも…

食事中に食べこぼしがある(以前より量が増えた)

③食事中に、口の中から出てきた米粒などが、下唇の下側?裏側?顎側?にへばりつく

しゃべりにくい特に両唇を重ねる必要がある言葉:病院・別府・番号・36度5分など)

⑤会話をしていて相手に内容を理解されないことが多くなった。(特にマスク越し:ということは声量・肺活量が落ちているのか?)

大きめの錠剤を飲み込みにくい(多めの水で一度は飲み込んだのに、喉の上のほうで停滞していて?しばらくしてから出てくることがある。小さな錠剤や粉は大丈夫だが、同時に複数入れて一気に飲もうとすると蒸せて飲み込みづらくなる:舌がうまく動かせないから?)

⑦水分の多い食べ物・逆にパサパサした食べ物や麺類・飲み物・薬などの多くは、口に含んだ後すぐに下唇の下を指で押さえていないとほぼすべてが出てしまう(ゲロゲロ~って豪快に嘔吐する感じ=昔テレビに出ていたお笑い芸人が、ジョッキに並々継がれた牛乳を何度も何度も一気飲みしていて、しまいに飲み干せず大半を吐き出していた光景と重なる…)

寝ている間に舌や下唇の内側を噛み切ったり、横向きになるとヨダレが垂れ流し状態になる

顔面の頬が時々ヒリヒリしたり、ジンジンと痛みを伴うことがある(25歳くらい?に発症した右顔面の帯状疱疹が影響している?三叉神経痛?)

左目の見づらさ(眼科で目に異常はないと言われているので、おそらく左の瞼が下がっていることからそう感じるのだと思う:顔面神経麻痺の症状?)

「不安なのはわかりますが、以前から言っている口周辺のマッサージや体操は続けていますか?」

「ええ、少し…」

「それではダメです!それが仕事だと思って、朝から晩まで何度もやってください。周りに何と言われようともです」

「は~そうですか…」

「やはり、もうダメだと何も手立てを打たなければ、どんどん症状が進む可能性はあるかもしれません。頑張って続けてくださいね!」

何でも、いきなりはできない…
何でも、いきなりはできない…

そうだよな~僕は悪い悪いと不安になる割には、良くしようと努力していないような気がしてきた~もっと頑張ろう!

そう自分に言い聞かせた。

継続して頑張ろう!
継続して頑張ろう!

🎯その8 甘くない現実…

そんな感じで、各症状から逃げずに向き合っていく気持ちは十分ある僕。

だけど、現実はそう甘くない。

「おやおや…今日もしっかりと濡れているね~…」

起床して枕周辺に設置したタオルを見ると、垂れたヨダレでグショグショに濡れている…

それをぼんやり眺めていると、意図せずにヨダレがタラ~とタオルへ落ちていく…(起床時や中途覚醒時は特にヨダレが垂れやすいみたいです)

起床時や中途覚醒時は特にヨダレが垂れやすい
起床時や中途覚醒時は特にヨダレが垂れやすい

新しいタオルに交換後、洗面台の大きな鏡を見ると、下唇がダラ~ンと垂れ下がっていて歯茎が見えている。これじゃ~まるで両頬の皮膚がたるんだブルドックみたいだ…

「君…誰?」

返事がないのは承知の上で鏡に問いかける僕…

そんな感じで最悪なスタートを切った僕は、平日だったら仕事に出る。

新型コロナウイルスが流行りだしてからは、出勤時に測定した体温を報告するんだけど、上と下の唇を重ねる必要がある言語は苦手なので、例えば36・1としてたら「サンジュウロクテンイチブです」とは言わず「サンロクイチです」というようになった

仕事中にヨダレが垂れること自体は手術前からあったことだけど、その程度は徐々に悪化…

ヨダレが垂れたら、瞬時にマスクを外してティッシュや手で拭き取らないと、マスクの内側はヨダレが溜まって拭き取れる状態ではなくなるし、強烈な異臭が周囲に充満することにつながるから、他人に不快感を与え迷惑になってしまう…

下唇の乾燥防止で塗るワセリンは、マスクに付くと濡れているような痕が残ってしまう。これも他人には不快感を与えるだろから注意が必要。

そして、職場での昼食時は試練の時間(笑)

家だったら食べこぼしても気にならないんだけどね…
家だったら食べこぼしても気にならないんだけどね…

なぜなら、食べこぼしが人前に見せられるレベルではないのに食事をする必要があるから

幸運にも社員食堂のようなところで大勢集まって食べるのではなく自分のデスクでの食事だから、仕方がないと割り切ってパソコンで隠れるように下を向いて食べる。そうすると余計食べこぼすわけだけど、その姿を見られるよりはマシだ…

以上のような状態だから、2023年に外食をした回数は「0」

どうしても外食がしたいのなら、お店に行ってお持ち帰りする方法(なんちゃって外食?中食?偽外食?)もあるけど、お目当てのメニューが必ず対応しているとはいえないし、聞き取りづらさやしゃべりづらさがあって結局足が遠のいてしまう。それよりは、スーパーやコンビニで総菜を買って家で食べる(中食)方が敷居は高くない。ま~、正直に言えば外食より味が劣るけど(贅沢?)…

本当はラーメンが好きなんだけど、麺類は特に食べこぼしやすいから外食など絶対にできない…家でインスタントラーメンが主になった。

あとは、「声が変わった」ように感じている。

だからと言って、別人のように声変わりしたわけではなく、「出所が変わった」と言えばいいのかな…

口(唇)を使ってしゃべっているというより、腹話術ではないけどお腹の力でそこから声を出している感覚。他人がどう思っているのかはわからないけど、若干高めの声質になっているような気がする。

あっ…こういうのを構音障害っていうのかも!

ま~、最悪だ(笑)

やってられんわ~
やってられんわ~

🎯その9 積み重ねて花開く

2020年 (令和2年) 46歳 9月ごろ

寝ているときに起こる顔面神経麻痺の影響であろう症状が、マウスピースで改善しないか?歯科へ相談したことがある。

歯科に行ってきた

事の発端はテレビでラグビーの試合を見ていたとき、選手がマウスピースを出し入れしている姿が映ったから!

「あっ、そうだ!僕もあれ(マウスピース)を着けて寝たらヨダレの垂れ流しや口内の噛み切り防止になるんじゃないかな~」

診察前、先生は上下一体型のマウスピースを勧めてくれていた。でも診察をする中で、僕には嚥下障害や鼻呼吸が困難(鼻が詰まりやすい)という症状があることがわかって、マウスピースを着けたら呼吸や飲み込みがしづらくなるし、一番の困りごとである「ヨダレの垂れ流し」はむしろ悪化するかもしれないことから作成は中止となった。

ヨダレがますます悪化するのか∼
ヨダレがますます悪化するのか∼

ただし、口周辺のストレッチやマッサージや発声練習・歯磨きなどが小さな刺激の積み重ねとなり、顔面神経麻痺の進行抑制・現状の維持に繋がるから頑張るようにと言われた。

口周辺のマッサージや発声練習が大切だということは、以前から森先生にも言われていたんだけど、どうしても独学では継続しにくいっていうのか…怠け心が出ていたんだけど、専門のスタッフから「あいうべ体操」というものを教わったから、今度こそは継続して頑張ろうと思う。

また、「歯列はきれいだけど前歯部がオープンバイトだね」と言われたんだけど、治療費が思っていたより高額でとてもじゃないけど支払えそうもないし、顔面神経麻痺のこともあって矯正治療中やその後に何かしら問題が出てきそうだと言われたから、治療はしないで奥歯でしっかり噛んでから飲み込むように気をつけようと思った。

歯の治療も毎日の心がけが大事!
歯の治療も毎日の心がけが大事!

🎯その10 好きで留年する人はいない…

新型コロナウイルスヘの向き合い方が変化してきて、マスク着用の自己判断が尊重される場面が多くなり、外出時にマスクをしていない人をよく見かけるようになった。

症状が出始めた頃、「すでに社会はマスク着用文化だった」という時期的幸運(周りの人皆マスク姿)に恵まれ、これまではあまり負担なく生活することが出来たんだけど、今後はそう簡単にはいかないのかもしれない。

ただ、これから社会がどのような方向へ進もうと、僕の耳にはマスクがかけられているだろうな…(僕は医療機関へお世話になる経度が高いこともあるんだけど、ヨダレや食べこぼしがある状態で安易に外すことは出来ない…というのか外せないといった方がいいのかも)

そんなマスク生活で、気をつけないといけない点がいくつかある。まずは「マスク選び」

気にしすぎなのかもしれないんだけど、下唇にマスクが接触するとヨダレが垂れやすい気がする。だからマスクなら何でもいいというわけではなくて「息がしやすい・会話がしやすい」と宣伝しているような、マスクと口の間に空間があるタイプを探して購入する。

「マスク汚れ・異臭」も注意が必要。

ヨダレが垂れそうになったとき、麺類をすするように息を吸い込むことで、下唇上まで出てきたヨダレを再び口内へ戻すことができる(これを必殺技とする)んだけど、マスクをしていたら必殺技を繰り出す前にヨダレがマスクに付着してしまう。これは下唇がだら~んと垂れ下がって前に出ているためだと思う。

前回書いたように、ヨダレやワセリンが原因となって他人に不快感を与えてしまう恐れが常に付きまとっているから、ある程度汚れてしまったマスクをそのままつけないように、予備のマスクを持ち歩き適時交換するようにしている。

そして、(これまで書いてきたことと矛盾するんだけど)誰かが周りにいるとき(特に仕事の場)は、できるだけ「マスクの付け外しを繰り返さないこと」を心掛けている

なぜなら、ヨダレが垂れてティッシュなどで拭き取る姿は(特に)、外部から来られたお客さんには失礼になるし、見慣れている同僚には「あいつはサボっているんじゃないか?」と思われる恐れがあるから!

だから、「マスクと唇の間をもっと開ける工夫をして、麺類をすするように息を吸い込む必殺技を多用する」、「下唇に塗るワセリンの量を薄くして、下唇上まで出てきたヨダレがツルツルと滑らないようにする」などの対策をしている。

ま~、どんなに頑張ってもヨダレはある程度出てしまうからマスクの付け外しを繰り返さないといけないんだけど、「ヨダレが垂れるのは仕方ないことなんだから気にしないでいいんだ!」とは思わないようにしている。それは働いている人間として最低限の心がけ!

それにしても…マスク着用って面倒くさいな~

だからといって、安易に着用を卒業できない僕…

やれやれだ…

ま~そんな状況下でも、森先生が定期的に話を聞いてくれるからずいぶんと助かっている。(精神療法っていうのかな?)

僕には先生がいる!
僕には先生がいる!

先生は、「頑張ってね!応援しているから…」と励ますだけで、結局は「我関せずの人」とは違う。決して距離を置いたり見捨てることはしない。親身になって話を聞いて意見を述べてくれることは、それだけでも幾分改善したような気にさせてくれる。

それは職業柄当然のことだという人がいるかもしれない。だけど、医療とは関係ないようなことでも1~2時間かけてじっくり相談に乗ってくれるし、顔面神経麻痺などの症状に対して、どうしようどうしようと嘆いてばかりの僕に俳句や絵画を勧めてくれることもある。

それは、もっと多方面に目を向けて症状と共に生活していけるような姿勢を望まれているのかもしれない。まさに僕の親・家族のような目線…これまで多くの医療者と出会ったけど、先生のような方はそう多くはない

そんな先生が僕にはいるんだから、「山頂の見えない山登りをしているような状態?」であっても、弱音を吐くことなく前向きでがんばるぞ!

ー 「僕と顔面神経麻痺」 おしまい ー


🎯病歴(僕と顔面神経麻痺)

病歴については、本作終了時点以降に進展があった場合、続編を作成できなかったとしても更新していきます。

・1995年  (平成7年) 18歳 10月4日以降
開頭手術後から、右側の顔面に痛みや痙攣・シワが出ない症状が出てくる

・2017年(平成29年) 40歳 ごろ
それらの症状が段々と悪化していく(以降悪化は止まらない…)

・2020年(令和2年) 43歳 7月ごろ
「西別府病院 脳神経外科」 外来受診
顔面神経麻痺の症状について初めて森先生に相談する
今時点で、右顔面麻痺と合わせて、左側にも麻痺が出てきていた(両側顔面神経麻痺の状態
両側の場合は手術は困難らしく、マッサージや発声練習を勧められる
痙攣に対しては、バルプロ酸ナトリウムの内服治療が始まる

・2021年(令和3年)44歳 10月ごろ
「大分大学医学部附属病院 脳神経外科」 外来受診
脳内嚢胞の拡大と顔面神経麻痺の悪化に関係性があるか籾井先生に相談するが考えにくいと言われる

・2022年(令和4年)45歳 2月ごろ
「大分大学医学部附属病院 脳神経外科」 外来受診
顔面痙攣は改善傾向のため、バルプロ酸ナトリウムの内服治療は終了となる

・2023年(令和5年)46歳 4月ごろ
「西別府病院 脳神経外科」 外来受診
顔面神経麻痺は陳旧性(時間が経過した状態の事)になると顔面拘縮などが起きるようになると森先生に言われる

・2023年(令和5年) 46歳 9月ごろ
「西別府病院 歯科」 外来受診
マウスピースで、ヨダレや食べこぼし・口内を噛み切ることの改善を期待し、歯科医に相談する → ヨダレは悪化する可能性があるためには作成しないことになる

・2024年(令和6年) 47歳 3月時点
下唇はさらに感覚が鈍ってきた。
そのため、ヨダレや食べこぼしは更に増している。また下唇外側に食べ物(ご飯粒など)が付着しやすくなった。そして口に水を父君維持したくてもすぐに全てが出てしまう。

話しづらさもひどくなっている(構音障害の悪化?)

顔面痙攣は、右の頬(鼻から耳の高さまでのライン)が引き攣るようになっている→これまでと痙攣の仕方?が変わってきている
これまで→ ピク・ピクピク
現在→ ぴきゅ~〜〜〜〜ん!(引き攣って硬直状態がしばらくの間続く)

・2024年(令和6年) 47歳 4月時点

顔面痙攣に対し、再びバルプロ酸ナトリウムの服用が始まる




僕が書くすべての記事(手紙)は、長い時間かけて継続して書いてきた記録や、そうでなかれば得られないであろう考え方や貴重な体験を基にしています。いただいたサポートは、その評価だと捉えさせていただき、それを糧に今後も多くの記事を書いていきますので、どうかよろしくお願いします。