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大道芸ワールドカップについての、僕の想い。

今、大道芸界隈をもっぱら騒がしている大道芸ワールドカップ(以下大道芸WC)問題についての僕の想いです。
完全に主観的で個人的な現時点での想いです。いつだって変わる可能性はあるし、ふと消しちゃうかもしれません。

現にこの記事は20日の夜書いた物なんですが、21日には状況が変わっています。一旦は書いたものをそのまま載せて、最後に追加事項についての想いを加筆しました。

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大道芸WCとは何か。今どんな問題が起こっているのかは検索して頂くと直ぐに色んな情報が出てきますが
現状このサイトが一番簡易的にまとめられていると思うので、お急ぎの方はさーっと目を通してみてください。

https://www.nhk.jp/p/ts/5MN78XKQYX/blog/bl/pE02pD9eDo/bp/pdYnx2GYg0/

様々な問題が指摘されている大道芸WCですが、今回は元プロデューサーの発言が浮き彫りになった日から、その後の実行委員会の対応や芸人さん達の動きにフォーカスしてお話しさせてください。

前提として、僕は過去大道芸WCに3回出演しています。オフ部門で1回オン部門で2回。

中学生の頃、ヨーヨーしかやってこなかった自分が初めて出会った"本物の芸"がビデオで見る大道芸WCでした。初めてあの場に立った時は震えるほど感動したのを覚えています。

ドイツに住み世界中のアーティストと仕事をする様になり、日本について聞く話の半分以上は大道芸WCの思い出話です。一度として、ネガティブな感想を聞いた事はありません。それどころか人生で一番の経験だったと語る方もいるほどです。
僕も海外のフェスティバルを巡るようになり、改めて大道芸WCの凄さを思い知りました。あんなに熱気と優しさに溢れた魅力的なフェスティバルは、世界中にも中々ありません。

僕はあの空間が大好きです。フェスのいちファンであるという立ち位置を、まずは明確にさせてください。

その上で、元プロデューサーが書かれたボランティアスタッフ用の文章を初めて読んだ時の僕の感想は

「あ、大道芸WC、終わっちゃう…?」

でした。

理由は、イベントのトップ(実際にはそうで無くても少なくとも"顔"となる人物)があのレベルのヘイトスピーチをしてしまった以上、どんな償いを行ったとしても「市民」と「スポンサー」と「出演芸人」が許さないだろう。と思ったからです。

大道芸WCは市の行事です。予算のほとんどを市民の税金で賄われています。
僕であれば自分が納めた税金の一部が誰かへの「差別」に強く加担していると知ったら、怒ります。強く抗議します。

もちろん、市民からしたらスポンサーへの不信感は募ります。不買運動や抗議活動に繋がる可能性もあるので、そうなると離れていく会社の方が多いでしょう。

出演芸人も、多くの方は辞退すると予想しました。
万が一僕が今回のフェスの出演者なら、元プロデューサーの発言が浮き彫りになった時点で100%辞退していました。
待ってくれてるお客さんに罪はないからという意見もあります。でも僕は差別と迫害の下地の上で、本当のエンターテイメントを届けられるとは思いません。僕にとっては自分の誇りと名誉の方が大切なので、そういう方も多いんじゃないかなと思ってたんです。

これをクリアにする為にはプロデューサーの解任や実行委員長の辞任だけでは無く

元プロデューサーに関わりのあった他の上層部、チェック体制やプロデューサーが選ばれる仕組みに携わった人全員の辞任、もしくは世論が納得できる形の完全なシステム化を行なった上で仕切り直し。が必須と考えました。何故なら、このどれか一つでもまともに機能していれば防げた事象なんです。

となれば必然的に、今年の開催は無理。来年以降も難しいかもなぁ…。というのが、僕の予想でした。

で、この予想って僕の考え過ぎとか過激な思想って訳では恐らく無くて、ドイツに住んでから培ったヨーロッパの感覚に基づいてるんだと思うんです。

実際、この2週間で大道芸WCの問題について語ることが4回ありました。その全員(イギリス人、ドイツ人、イタリア人、ハンガリー人)から概要を話し終わった段階で
「じゃあ中止か。残念だねー…。」
と返されました。

そうなんです。欧州では同様の問題が起こった際中止以外の選択肢がパッと思いつかないほど、大きな問題なんです。
(ちょっと主語がおおきいかも。少なくとも僕の周りには同じ感覚を持った方が多くいます。)

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結果は僕の予想よりも随分穏やかに、大道芸WCは今年も開催されそうです。(現状)

その上で、ここからは芸人さんの一連の動きについて。

まず、僕が知る限り出演芸人の中で一番先頭に立って運営への抗議活動を行っていた「渡邊 翼」は、僕と同じくヨーロッパを中心とした活動をしている芸人です。

彼は何人かの他の出演芸人へ連絡を取り合って同名で運営に嘆願書を出したり、SNSを通じて世間へのアプローチを続けてきました。彼の主張が無ければ組織管理グループの設営や開催後の説明会の確約は得られなかったでしょう。彼の強い主張に対して、大会開催を擁護する人々から批判的な声を多く受けていましたが、彼自身は批判を運営に向けてのみに一貫していました。

最終的に、彼は今回の大道芸WCに出演する事を決めました。出演料と投げ銭は全額寄付するとした上で。

彼も僕と恐らく近い想いを抱いており、通常なら元プロデューサーの発言が出た時点で即辞退していた事でしょう。
彼が辞退しなかった理由は、これが大道芸WCだったからです。
静岡出身で幼い頃から大道芸WCに出演するのが夢だった彼にとって、このフェスは特別なものです。僕にとっては自分の誇りと名誉の方が大切と書きましたが、彼としては自らを犠牲にし、誇りを傷付けてでも大道芸WCと向き合いたいという想いがあったのでしょう。

話し合いの末、決して納得はいっていないが出演へのギリギリの妥協点。とはいえどうやったって気持ちよく使えるお金では無い。その上での全額寄付。という彼の決断を僕は支持します。

彼だけで無く、他の出演芸人さんも同じ様に悩み絞り出した結果だと思うんです。
先にも書いてますが、僕なら100%辞退してます。全力で逃げてます。
僕にとっては大道芸WCよりも、自分の未来と誇りと名誉の方が大切だからです。
それを多くの芸人さんが出演を表明しているのは、見に来て下さる予定のお客さんの為であり
大道芸WCが終わってほしくないという想いからでは無いかと推測します。
皆さんマジですごいと思う。本当に。
嫌味に取られるかもしれませんが、そんなつもりは無く、純粋に尊敬します。

どうか、それぞれの芸人さんの決断が報われる事を祈るばかりです。

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最後に。僕の感覚では、今回の大道芸WCは開催されるだけで「奇跡」です。
何処かのほんの小さな歯車がちょっっっとだけズレてたら、修復不可能なほどボロボロと崩れ、中止どころか永遠に開催できないほどのダメージを受けていたことでしょう。そして、これからそれが起きないという保証もないんです。

お客さんとして観にいく予定の皆さんも、こんなゴタゴタ見たくなかったとお思いの方も多いでしょう。実際そういう意見も多く目にしました。
でも、出来る限り裏で解決しようと尽力した人々がいること。その方々が、運営が表に出している情報を表で批判せざるを得ない環境である事もご理解頂けると幸いです。

今回僕は運営でも、市民でも、スポンサーでも、出演芸人でも無い、完全な部外者です。
それでも僕の意見が、少しでも皆さんの「考える」手助けになればと思い書かせていただきました。

長文おつきあいありがとうございました。
最初にも書きましたが、僕は大道芸WCのいちファンです。
昔のような、活気と愛に溢れたフェスティバルが
またいつか帰ってきますように。

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10月21日追記

「渡邊 翼」のツイッターにて、彼が出演を承諾した際の約束を
運営から一部変更して行うとが通告された事が公表されました。
https://twitter.com/diartsu/status/1583328068432990208?s=46&t=TK7WjReyOcZSiTh8QDArsg

それに基づき、彼は改めて出演について再考するとのことです。

僕としては「翼!一刻も早く逃げろ!僕達にとっては君の未来の方が大切だ!!」という想いです。
どうなってしまうのでしょう。改めて今後の動きを追っていきます。

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