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AIイラストを受け入れて、倫理の観点でのバッシングをやめよう

Midjourney V6が出たあたりから、AIイラストでしかシコっていない。アークナイツのスズランかススーロのエロ絵でしかシコっていない。流石にこれは盛りですけど、AIイラストでばっかシコってるのは本当です。

なぜアークナイツのキャラでシコってるのかと言うと、AIが得意とするゴージャスなイラストがアークナイツの世界観にかちんとハマるからだ。「上手い絵」とは「合っている絵」というのはモ誰の言葉だが、正味ブルアカとかのAIイラストはゴージャス過ぎてあまり惹かれない。デフォルメが効いた絵なら、まだ人間が描いた絵の方がいいし。

俺はイラストを描いている。俺はAIイラストを生成しないし、ソフトウェアに触れたくもない。しかし、俺は全くもって反AIではない。

さらに断っておくと、俺はAIイラストがこの世に存在しなくても困らない。バカみたいな大日照りの光が差し込む部屋で油が塗りたくられた食品サンプルみたいな肌を見せびらかしてるスズランやススーロのエロ絵が無くてもオナニーはできるし、別にそういう絵って潜在的にも顕在的にもそれほど見たかったわけではないからだ。

さらに断っておくと、俺はAIイラストがこの世に存在することで若干困っている。スキルフルなイラストを手を動かさず生成できてしまうとなると色々な側面で勝ち目が無いし、Twitterイラストが単なるピンナップの発表会ではなく、複雑かつコンテンツ以外の要素が絡み合うメタゲームになってしまった。あと、AI絵師という撮り鉄みたいなキモい人種のコンプレックスと悪意が噴き上がっているのが、素朴に見ててつらい。

それでも、俺はAIイラストのアンチではない。

理由1:クリエイターは違法な・非倫理的コンテンツを利用したりインプットして成り立っている側面もあるから



俺はクリエイターの始点と終点は、必ず「イリーガる・イリーガられ」だと思っている。これは俺の造語で、クリエイターは基本的に違法行為や法的にグレーな行為からキャリアを積み、有名になったあとにそのツケとして、無断転載なりクロい商売のリスクに漬け込まれたりするのが自然な流れ‥‥ということを言い表している。

みんなが大好きなあの大人気インディーズゲームの作者だって、MOTHERのハックロムを作っていた。海外によくあるリソースぶっこ抜きサイトだって、有名なクリエイターはいっぱい利用していた。淫夢だってクッキー☆だって、言うたら音MADだって、有名なクリエイターをたくさん排出した。

なによりもかによりも俺が経験した時代では、インターネットの無断転載コンテンツが文化的価値の源泉になっていた。当時はプラットフォームが散逸していた上にキュレーションサイトもあまりなく、pixivの閲覧数ソート機能も無かった覚えがある。

俺はマジコンや漫画村に相当するサイトは利用しなかったし、当時から相応に冷ややかな目で見られていた。ただ、2ちゃんねるやふたばちゃんねるで時折立つ、割った漫画の炊飯スレッドやニコニコの映画転載は咎める空気が無かった。みんなで感想を分かち合ったりとか、あるいはキモいレスバをしたりとか、あるいは的外れな議論や批評をしたりとか、ゴミの集まりなりに楽しくて生産的なことをしていたからだ。要は一人で割って「消費」するような閉じた役割じゃなくて、カスの文化的炊き出しのような役割があったのだ。

何が言いたいかと言うと、俺がクリーンな手段でクリーンなクリエイテビティだけを享受していたら、今よりもっとずっとつまらない人間になっていたし、もっとずっとつまらない思い出しか抱えられなかったと言うことだ。そして、俺と同じ道を辿った人はクリエイター全員だ。野獣先輩の顔を見たことがないのか‥‥「ないんだな それが」とか言ってる栃木のヤンキーだって、無断転載でしょう。曲がりなりにも・相応に、楽しい思いをしてきたはずだし、正味なところインプットの雑部分の大半って、そういうカスの文化的炊き出しのおこぼれがでかいはずだ。内輪ネタで変なスタンプなりを作ったり、普通に無断転載したピクチャーを貼って炊き出す側に回った奴も、たくさんいる。

とどのつまり、間接的にも直接的にも俺らネットユーザー全員が表現にあるべき倫理や規範を破って、楽しい思いや良い思いをしているということだ。言うまでも無いが、忘れている人間は多い。

ではなぜAIが悪者にされるのか?主観的な「キライ」に留めているならいいけれど、AI利用をbioにサラッと書いただけで「禁止」したり、倫理のスケールでの議論はたびたび行われている。AIイラストの規制を求める運動体もある。そのようなネットユーザーのポジショントークには全くスジが通ってない。

理由2:クリエイターと一般ネットユーザーの非対称性


仮にクリエイターがイリーガる側からイリーガられる側になってしまったとして、それは「やめてください」という個人的な要望と、法的措置・プラットフォームの規約パンチ以外に切れるカードは無い。たとえば無断転載禁止って、別に禁止できないからだ。

俺の話を少ししよう。俺の絵を勝手にアイコンにされたことがそこそこある。けれども、正直それで納得している。だって俺は俺以外の絵を勝手にアイコンにしたことがあるし、そのツケを今払ってるに過ぎないからだ。

じゃあ、クリエイターじゃ無い人たちはイリーガルな領域にライドしっぱなしでいいのか?と言う話になってくるが、俺はそれで良いと思っている。

クリエイターの作品が大なり小なり連続的にイリーガられるなら、そのクリエイターはほとんどばあい(粘着・中傷や交通事故的な悪意などを除いたら)、大なり小なりクライアントやパトロンからお金を取れる。平たく言うと、転載とか加工とかされるくらいには耳目を集めるなら、スケブとかで売れるよね、と言う話です。

そして、ぶっちゃけクリエイターもイリーガルな領域にライドしっぱなしな人は多くいる。平たく言うと、同人ゴロや版権で支援サイトの集金を図る人たちいっぱいいるよね、と言う話です。

つまり、お金を取ったりネームバリューをかざしながらインターネットにフリーライドできる。事実そうなっている。クリエイター・一般ネットユーザーの二文法で語るなら—————ちょっと慎重に行くと絵師・受け手で語るなら—————絵師は版権のエロ絵や同人グッズで金儲けしつつ闇で無断転載をしたりAI拓也でゲラゲラ笑ったりできるし、受け手はニコニコプレミアムを解約してエロ絵描きのファンボックスに入りながらAI拓也でゲラゲラ笑うか、hitomi.laでシコるくらいしかできないということだ。

この構図って、ファンボで金儲けできるAI絵師とそれに入るバカの構図とそんなに差があるとは思えない。確かに俺が絵を描いたら4時間くらいかけるし、上手い人ならもっとかけるかもしれない。けど、工数なんか描いた人以外にはどうでもいい。AIでクリエイター名乗ったり高説垂れてるのはキモいけど、キモい以外に言うことが思いつかない。

少なくとも「絵師」と「AI絵師」という属性で相対化すると、クリエイティビティにも商業的営為にも露骨な差は見出せない。述べた通り、同人ゴロとか版権ゴロみたいな絵師はあまりにも多いからだ。

付け加えておくと、デジタルで絵を描く人を「絵師」と抽象化することが腑に落ちないかもしれない。ただ、言うことのスジを通すなら、作品もモラルもクリーンで・なおかつフリーライドに苦しむ一貫して潔白なネットユーザー、もしくはクリエイターでなくてはいけない。該当する人は、俺は一人も知らない。

おわり


さんざん述べたけれど、さっき言った通り俺はAI絵師をキモいと思ってるし、AIイラストがいっぱい流行ると困る。

俺は絵を描く人が好きだし、だからこそ絵を描く自分も好きである。ただ、クリエイターが形にしたものや飾られる言葉は美しくても、別に実情は綺麗ではない。無断転載を禁止してる垢でポプテピの画像貼ってどうのとか、手垢が付いた批判だけど有効だ。だから俺は過去に「悪意がないなら勝手に絵を転載したりAI学習したりしろ」と言っている。

そして、キタナいモノはパワーだということも付言しておく。俺はAI拓也を週35で見ているが、ぶっちゃけAI拓也というか淫夢が無かったら誰も作品を見てくれなかったであろうクリエイターっていっぱいいる。さっきMOTHERのハックロムの話をしたけれど、MOTHERってIPを盗んだから自分も周りも楽しませられたんでしょう。

AIイラストも過度期である。今は害の方が目立つけれど、存続していくと使われ方も変わってくる。キタナいものに助けられれているのはみんな同じだし、とりあえずのところは受け入れて、個別の悪意や実害を非難すること以外は控えるべきである。

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