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独自研究:アヴァリスの使用したジツ全数調査

!※!
ニンジャスレイヤー最新話
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』までの
ネタバレがあります。


弔辞と前書き


 アヴァリスが死んでしまって本当につらい。

 初登場のアシッドフォージ戦からもうかなり好きになって、シーズン4開始早々ワクワクしながら読んだ。開始後しばらくは本編も読めていなかったが、儀式異物として追跡され始めたあたりの戦闘があらゆる面ですばらしく濃厚で、もはや今シーズンはアヴァリス目当てで追いかけようと思った矢先に父祖の影であることが判明して、心が受け身を取れなかった。筆者はもともと常にサツガイ=サンへの好意を持てあましているが、まさかアヴァリスが関係者とは思っていなかった。

 アヴァリスは個の存在として降りてきてからはまだ本当に若く、自己同一性に飢えて、不快さを覚えては懊悩する。他者のジツを奪う権能をはじめから持っている存在が、自分なるものを見いだし損ねてそうなっているのも本当に良かった。因果応報なんかに捕まらず、どこまでも好きにやってくれ!と願いながら見ていた。憎まれっ子がのびのび邪悪しているのを見るのが好きだ。植物要素も特に好きだからよけいに嬉しかった。そうして見守っているとマガタマを手に入れた。

 筆者はサツガイ=サンが好きすぎる故に、サツガイ=サンの人格面における毒性の強さ(能力も危険だが気質の方がさらに危険だと思う)は身に染みていて、もちろんそういう所こそ好きではあるが、だからこそアヴァリスが始祖であることに寄りかかろうとした時は本当に心配した。弟を見守るような気持ちになった。下手すれば幼くさえある全能感も微笑ましくはあったが、絶対ひどいことになるのが目に見えていた。実際一度はひどいことになった。

 サツガイ=サンはたとえ死んでも半分そこにいるし、たとえそこにいても半分死んでいるようなぐにゃぐにゃした手触りのおしゃべりなデカい空洞なので、自我のよりどころを掴みたい存在とはあまりにも相性が悪い。態度の表層はまあまあ本当に親切なせいで、自分はうまく助けてやっていると素で勘違いしていそうなあの鈍感さもなお悪い。

 アヴァリスはまだ生まれたてだったから案外真面目にサツガイ=サンのやりように乗ってしまった。しかし、互いに全く合わないと自力で判断できた。ちっとも反りの合わない兄弟から離れると、そもそも初めから母かつ娘のクロヤギ・ニンジャが短いこれまでの記憶の隣に居たことに気付いて、そこに軸足を置いた。本当に嬉しかった。もう気分としては完全に弟を見守っていた。ようやくこれからがアヴァリスの人生だと思った。

 ただ正直、いずれどこかで例の自刃用短刀をマスラダに刺されるなとは理解は出来ていた。どう見ても明らかにその展開だけは避けられなかった。が、そんな読者の展開読みなんか蹴飛ばしてほしかった。そんなの置いといてとにかくアヴァリスはこれからが人生だった。もちろん最後のイクサはよく立派に生きたと思う。大気からも抜け出して本当に偉かった。赤飯を炊いてやろうかと思った。でもこれからが人生だったんじゃないのかとやっぱり思うし、やっぱりどうしても思い返す度に頭がさっと冷える感覚がしてとてもつらい。

 こんな記事を書いておいてなんだがまだ本編は完結していない、もしも父祖の影として人格の一端でも残ってくれたら諸手を挙げて歓迎するし良い焼き肉でも奢ってやりたい気持ちが非常に強くある。でも最終決戦の読み味からして、こういう風に動いて悩んで吹っ切れて自我を定義して戦ったこのアヴァリスとはここでお別れのような気がしてならない。

 あとこれは私怨だが、筆者は創作の手が遅くて忘れっぽい。連載中のアヴァリスも色んな姿をどんどん見せてくれるからもちろん描きたかったが、なにせ本編が速すぎて下書きばかり増えて全然完成しなかった。キャラクターが存命の間に描くのと死後に描くのとでは頭の回路がもう全然違って、後者が特に不得手だ。今ここにあるつらさの瞬間最大風速は、たぶん描けずにもたもたしている内にすぐに失われて、単になにも出来ないままちょっとずつアヴァリスのことを普通に忘れる気がするし、それが許しがたい。ちょうどアヴァリス存命期間中は一貫して創作の調子が悪かったから、あれもこれも描いてやりたかったとひたすら後悔ばっかり出てくる。うまくやってやれた記憶があんまりない。とにかく不甲斐ない。それも相まって余計につらい。

 絵やら小説やらに対する瞬発的な創作性はもう現段階の自分には全然出せない。となると、普段仕事でやっているような、創作性のその字もない黙々した作業だけが、今この時を逃さないうちにアヴァリスに渡してやれる手向けだと思った。筆者は仕事で森を扱っている。してやれることはもう林分の調査測量くらいしか思いつかない。ならせめて目いっぱい毎木調査してやろうと思った。本編の爆発四散を見届けた後は一睡もできなかったのでちょうど何かする必要があった。

 というわけで、以前から気になっていたアヴァリスのジツの使用総数を洗い出し、どのようなジツを使用していたのか振り返ることにした。

調査方法

 まず『ニンジャスレイヤー』エイジ・オブ・マッポーカリプス:シーズン4本編全体に目を通し、下記の項目をgoogleスプレッドシートに羅列した。

  1. アヴァリスが使用した全ジツの名称(登場順)

  2. 元のジツ使用者

  3. ジツの概要

  4. アヴァリスからの評価(本編内での言及がある場合)

  5. 登場エピソードおよびセクション

  6. ジツの使用回数

  7. 動物要素を含むかどうか

  8. 原データへのリンク

 ただし、アヴァリス不在下でもネオサイタマ全域に影響を及ぼしているクロヤギ・ブンシン・ジツハヤシ・ジツはカウントが困難なため、この2種類だけは広範囲に影響し始める前、『デストラクティヴ・コード』までの登場回数をカウント対象とした。同じくアヴァリス不在下でクロヤギ・ニンジャが他ニンジャのジツを運用している場面もあるが、それらも除外した。
(2023.7.10追記:ヘンゲヨーカイ・ジツとハヤシ・ジツの間でソニックカラテを使用しているが、一応カラテである以上「ジツ」という括りからは外れると判断してこの記事では除外した。)

 なお、原データに誰もがアクセスできる状況を確保するため、有料公開のnote版ではなく無料公開のtwitter版を引用元原本とした。note版加筆箇所については今回の調査では反映されていない。

 またスプレッドシートには、togetterのセクション別まとめ(twitter版)およびnote全セクション版へのリンクを掲載した。

 次に、得られた表より、それぞれのジツの概要および簡単な私見を当記事に記載した。また、得られた表を俯瞰することで気がついた事項を最後に記載した。今はそこまでする元気がないため定量的な考察までは今回行っていない。

全数調査結果(スプレッドシート版)

 得られた表は上記リンク先のとおり。

全数調査結果(紹介)


アシッドクラフト・ジツ

登場エピソード
『プレリュード・オブ・カリュドーン』
『デストラクティヴ・コード』
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:アシッドフォージ
使用頻度:高(5回使用)

評価
「楽しげなジツ」「それなりに珍しい」「よいジツ」

概要
 アヴァリス初登場の『プレリュード・オブ・カリュドーン』にて、顔見せがてら奪った暗殺ニンジャ・アシッドフォージのジツ。致死性の酸の霧を放出してそれを凝縮し、鼈甲色の酸の短刀を形成する。

 このジツは応用が利くらしく、『デストラクティヴ・コード』セクション9では大盾を生成したほか、『ビースト・オブ・マッポーカリプス』では短刀からダーツに変化させてマスラダを襲わせた。

 アヴァリス曰くカトンやコリのようには偏在しておらず、だからこそ興味を強く惹いた模様。奪った後もどうやら気に入っており、『デストラクティヴ・コード』ではセクション3、6、9で使用しているほか、最終決戦でも登場した。

サモンエレメンタル・ジツ

登場エピソード
『ヴェルヴェット・ソニック』
『デストラクティヴ・コード』
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:サマナ
使用頻度:やや高(4回使用)

評価
『ひどく魅力的で便利なジツ』『多人数を相手にするイクサにおいて、召喚のジツは重宝する』

概要
 本編時系列の外でアヴァリスが奪っていた、獄麗の侠客・サマナのジツ。背中のネオンタトゥーから星座精霊を召喚して戦わせる。ナラク曰くシシン・ニンジャのユニーク・ジツで、精霊にはそれぞれに意思があるとのこと。

登場した精霊は下記のとおり。

  • 白いネオン虎(4回使用)

  • ネオン・ドラゴン(1回使用)

  • ネオン・ウミガメ(1回使用)

  • ネオン・フェニックス(1回使用)

  • ネオン・キメラ(1回使用)

  • ネオン・エレファント(1回使用)

 ネオンというからにはカラフルそうだが、色が分かっているのは白いネオン虎と青いネオン・ドラゴン(※アヴァリスではなくクロヤギが使用したときに色描写が登場したため、今回作成の表からは確認不能)しかいない。

 アヴァリス曰く、ジツのクールダウンに時間を要する関係上、召喚系のジツは便利とのこと。運用面でも美意識面でも気に入っている模様。実際に使用頻度も高く、特に虎は『ヴェルヴェット・ソニック』の内輪もめから『デストラクティヴ・コード』のセクション3と9、最終決戦まで広く登場した。

オルタ・ブンシン・ジツ

登場エピソード
『デストラクティヴ・コード』

元所有者:不明
使用頻度:中(3回使用)
評価:不明

概要
 本編時系列の外でアヴァリスが入手していたジツ。自身の鏡像を生じて、本体と鏡像を任意に入れ替えることが出来るブンシン・ジツの一種。

 代名詞ともいえるクロヤギ・ブンシン・ジツがあるにも拘らずまさかのブンシン被り。アヴァリスがマガタマを呑む前までのクロヤギ・ブンシンはいざというときにしか使わない秘蔵っ子だったので、手札全体のカモフラージュに一役買っていた可能性もある。

 アヴァリスからの評価は不明だが、『デストラクティヴ・コード』セクション2、6、8で使用されており、1エピソードあたりの使用回数としては多い部類に入る。ただしクロヤギ・ブンシン・ジツを乱用できるようになってからは完全に出番がなくなってしまった。

ハリネズミ・ジツ

登場エピソード
『デストラクティヴ・コード』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用:破棄)

評価
「便利だが、あまり好きではない」『好きではない。装束に穴が開いてしまうし、なんとも美しくない。ネズミとは。』

概要
 本編時系列の外でアヴァリスが入手していたジツ。背中全体から無数の鋭利な棘を生やし、攻撃する。

 アヴァリスはとにかく気に入っていないらしく、便利なのは認めておきながらも複数回「好きではない」と言われてしまっている。利便性だけではなく個人的な趣味でアヴァリスがジツの選り好みをしているのがよく分かる。なおハリネズミは分類学上かなりネズミとは遠く、アヴァリスが感覚で喋っていることもここからわかる。

 後述のオーレフォーム・ジツを入手した際に上書き保存されたため、『デストラクティヴ・コード』セクション3でアヴァリスの使用可能ジツではなくなった。

オーレフォーム・ジツ

登場エピソード
『デストラクティヴ・コード』
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:シャゴタイト
使用頻度:中(2回使用)
評価:「珍妙だが……もらっておこう」

概要
 アヴァリスが本格的に活躍し始めた『デストラクティヴ・コード』にて、儀式異物たるアヴァリスを破壊しに来たセト陣営の一員・シャゴタイトから奪ったジツ。ぽろぽろと剝がれやすい鉱石を体表に析出させ、防御や攻撃などに使用する。

 当該エピソードでは追手のニンジャが多く、ジツのクールタイムを考えると再充填を待つよりも上書き保存した方がいいと判断され、ハリネズミ・ジツと入れ替わりで手札に加わった。

 アヴァリスの口ぶりからするとあまり気に入ってはいなさそうだが、意外にも『ビースト・オブ・マッポーカリプス』の最終決戦にて、リアクティブ・ムテキの防御兼カウンター攻撃手段として再登場した。

オニビ・ジツ

登場エピソード
『デストラクティヴ・コード』
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:グリーンウィスプ
使用頻度:やや高(4回使用)
評価:「こいつは救済の炎らしいぞ!」「濡れて、こびりつき、落ちる事はない!」

概要
 
『デストラクティヴ・コード』にて、セト陣営の一員・グリーンウィスプから奪ったジツ。緑色の濡れた炎を操って攻撃する。

 先述のオーレフォーム・ジツの時点で既にハリネズミ・ジツと入れ替えを行っていた関係上、ジツのスロットは確実に8枠すべて埋まっていたはずであり、このジツも何かを削除して上書き保存されたと考えられる。消えたジツの詳細は不明。

 評価の欄にはアヴァリスの台詞を載せたが、これはジツ自体の性能がどうこうというより、グリーンウィスプがこのジツを「救済の炎」と称して襲い掛かってきたことを皮肉るかたちの発言。アヴァリスを殺すよう指示を出した大本であるブラックティアーズをこのジツで攻撃しながらの台詞であり、おそらく綺麗ごとを言いながら殺しに来られたことに腹が立っていたのだと思われる。

 『デストラクティヴ・コード』ではセクション3、6、9で使用。また変則的な出番としては『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション6にて、何の説明もなく乱打されるジツのひとつとして名前だけ登場した。

クロヤギ・ブンシン・ジツ

登場エピソード
『デストラクティヴ・コード』
『アシッド・シグナル・トランザクション』以降常に登場

元所有者:クロヤギ・ニンジャ/ヴァイン
使用頻度:極高
(デストラクティヴ・コード内で3回使用、以降ほぼ常時発動)
評価:「いい。暖かくてな」「ヴァインとの絆」

概要
 アヴァリスといえばこれ。『デストラクティヴ・コード』にて、ヴァインの指を喰らっていたという事実とともに初登場し、マガタマの力を手に入れて以降はネオサイタマを覆いつくしていたジツ。無数の黒山羊に分裂してダメージを殺し、攻撃を行い、眷属として運用する。

 「ヴァインを喰らって手に入れた」という事実からしてこのジツも八芒星のスロットを最低一つは埋めていると考えられるが、ハヤシ・ジツと合わせて1スロットなのか、各々1スロットずつ合計2スロットなのかは不明。(詳細後述)なんにせよ、手札から外す気のまったくない切り札だったことは疑いようもない。初登場『デストラクティヴ・コード』ではセクション4および6~8(3セクションに渡り背景でなんかモゴモゴしていた)と9で使用。以降はほぼ常に発動している。

 アヴァリス曰くこのジツは暖かいらしい。ふかふかした哺乳類が寄り合えば当然それはそうだが、最終的にアヴァリスが何を捨てて何を残したのかを見ると、その希求はかなり切実なものだったというのが分かって非常にしんみりしてしまう。

 余談ではあるが、よく育つ植物種の生育に向いているかどうかは温度と降水量にかなり依存する。(ニンジャの記事であり論文ではないので詳細は端折る。)植物系ジツ使いにとっては単純に暖かいほうがよいはずだ。アヴァリスは初登場時にも「ネオサイタマは湿っていて暖かい」との言及をしていたがこれは完全にそうで、ケッペンの気候区分でいうとキーウ/オクダスカヤーノフは湿潤大陸性気候[Dfb](冷帯)、東京/ネオサイタマは温暖湿潤気候[Cfa](温帯)になる。しかもネオサイタマは東京より見るからに年間降水量が多い。「暖かい」という発言には間違いなくやわらかい感傷もあったろうが、それはそれとして単純に強いバフを得ていることも申し添えたい。

ヘンゲヨーカイ・ジツ(ハイエナ)

登場エピソード
『デストラクティヴ・コード』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 本編時系列の外でアヴァリスが入手していたジツ。ハイエナと人間の合いの子じみた姿になるヘンゲヨーカイ・ジツの一種。

 『デストラクティヴ・コード』開始時点での初期装備ジツの一角であることだけは確実だが、一度しか使用されておらず情報が少ない。

 それにしてもハリネズミを気に入っていなかったとはいえ、初期装備の50%に哺乳類を含んでいる(虎、ハリネズミ、クロヤギ、ハイエナ)のは特筆に値する。ジツを喰らう過程でどうしても獣相手に食い気が出てしまうのか、単純に動物好きなのか、あるいは変わり種を選り好みしているうちに哺乳類率が上がってしまったのかは不明。

ハヤシ・ジツ

登場エピソード
『デストラクティヴ・コード』
『アシッド・シグナル・トランザクション』以降常に登場

元所有者:クロヤギ・ニンジャ/ヴァイン
使用頻度:極高
(デストラクティヴ・コード内で1回使用、以降ほぼ常時発動)

概要
 
アヴァリスといえばこれというジツ2つ目。ヴァインを喰らったときにクロヤギ・ブンシンと合わせて奪ったと考えられる。さまざまな植物を生い茂らせ侵食し、攻撃にも転用する。

 代名詞的なジツではあるが実はクロヤギ・ブンシンと比べて戦闘での使用実績がかなり少なく、アヴァリス本人が画角に映っている文章のみを調査対象とする今回の手法ではあまり情報収集できない。戦闘での出番こそ少ないものの、ネオサイタマ全域を支配下に置くうえでは完全に主力のジツ。

 戦闘における登場としては唯一『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション2において、マスラダとの最終決戦で蔦による攻撃を行っている。

デン・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:中(2回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。青白い稲妻を操り攻撃する。3部でおなじみ。
(2023.7.10追記:よく読み直してみるとナラクからキンカク経由のジツがあると突っ込まれていたことに気付いたが、クロヤギが集めてきた分のジツとキンカクのジツはよく見分けがつかない。以降の「クロヤギが集めてきた」と記載しているジツは全て「クロヤギが集めてきた、もしくはキンカクから参照したジツのいずれか」と読み替えてほしい。)

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション2にてマスラダを攻撃し、ヌンチャクで打ち返されたほか、同セクション5では何の説明もなく乱打されるジツのひとつとして名前だけ登場した。

 このあたりからアヴァリスのジツ複数運用がとんでもなく大味になってくるため、この記事でも詳しい言及が難しくただのジツ紹介になってしまう場面が多く出てくる。大変申し訳ないが、これはアヴァリスが悪い訳でなくサツガイ=サンが悪いし、サツガイ=サンが悪いということはつまりサツガイ=サンが魅力的ということなので、筆者に免じて許してほしい。

フォックススピリット・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。九本の尾を生じさせて攻撃する。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション2にてマスラダを攻撃した。これもまた哺乳類系のジツ。

タカガリ・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。光の鷹を使役して攻撃する。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション4にてマスラダを攻撃した。ナラク曰く、タカジョウ・ニンジャクランの高位ソウルは動物としての鷹を使役せずとも光の鷹を召喚できるようになるらしい。哺乳類ではないが、これもまた動物系のジツ。

 なお、このジツを選択する場面から八芒星の分岐が増えてジツスロットが64個になっている。恐らく描写がないだけで、デン・ジツの時点から既にそうなっていたと思われる。また、このジツの選定にあたってはアヴァリスが八芒星に相談し、キンカクがそれに同調するという一幕が挟まっている。読者には認識できない形でサツガイ=サンが会話していた可能性が高い。

ディスインテグレイト・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。掴んだ相手を粉々に分解する。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション4にてマスラダを攻撃しかけ、躱された。ナラク曰く、コダマ・ニンジャクランの荒業とのこと。

バリキ・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。生命力を異常活性化させ、爆発させる。2部でおなじみ。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション4にてカラスの群れにジツを使い、マスラダを攻撃させた。なおこの時のバリキ・ジツはナラク曰く、本家であるマズダ・ニンジャのものではなく、他のクランに秘儀が漏れ伝わった不完全なものだろうとのこと。

 ジツそのものが動物系という訳ではないものの、信頼と伝統のバリキ鳥類ミサイルはまぎれもなく動物である。

プロテクションフロムイビル・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。粒子状の光が衣めいて体を覆い、防御を与える。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション4にて、上記のバリキ・ジツにアヴァリス自身が巻き込まれぬよう使用した。ただし絶対防御ではなく、複数回攻撃を受けるうちに破れてしまった。

トビウオ・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。無数のトビウオが飛来して攻撃する。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃した。

 コンスタントに増え続けるアヴァリスの動物系ジツだが、あんなに暖かさを好んでいたはずのアヴァリスが哺乳類→鳥類ときてついに変温動物を使うようになってしまった。ジツ運用の雑さがあまりにもアヴァリスらしくない所といい、こういう所からもアヴァリスっぽい部分が薄れつつあるのが分かって初読時は不安だったし、サツガイ=サンの方を見て途方に暮れた。

ダイジャ・バイト・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。腕を蛇化して攻撃する。1部でおなじみ。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃した。なおこの時は左腕だけを大蛇にしており、右手はそのまま残している。またもや変温動物だがこれも動物系のジツ。

ダイダラ・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。オヒガンに囚われている幽巨人の肉体を限定的に召喚する。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にて、腕や足などを出現させてマスラダを攻撃した。

バーニングハンド・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。瞬間的に極高温化したチョップを繰り出す。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃したが、ガード不能攻撃であることをナラクが見破ったためマスラダに先手を喰らわされ、不発に終わった。

ボーンバイト・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。白骨牙を召喚する。『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃したが、躱された。

 いつものアヴァリスであれば自分の美意識にかなうかどうかでジツを選定している節が強かったが、このジツは動物系なのにも拘らずもはや何の動物なのかさえ気に留めていない。骨が存在することから、一応脊椎動物ではあるらしい。

カラテバブル・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。詳細不明。『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃した。ナラク曰く炎で溶かせるとのこと。

ヴォイドテンタクル・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
  
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。詳細不明。『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃した。ナラク曰く出現地点に法則性があるとのこと。動物系ジツである可能性もあったが、あまりに情報量が薄く断定が困難なことから除外した。

シャドウピン・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。影を縫い止めるカナシバリ・ジツの一種ではあるが、本編では説明がなかった。『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃した。

カラテコメット・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。詳細不明。『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃した。

特に説明なく乱打してきたジツの一覧

  1. コリ・ジツ

  2. デン・ジツ ※重複、当該ジツの項目でカウント

  3. スイトン・ジツ

  4. コウモリ・ジツ

  5. ヒュプノ・ジツ

  6. ヤイバ・ジツ

  7. スラッシング・ジツ

  8. オニビ・ジツ ※重複、当該ジツの項目でカウント

  9. テツバリ・ジツ

  10. ドトン・ジツ

  11. ブレッシング・ジツ

  12. ドク・ジツ

  13. フドウカナシバリ・ジツ

  14. タタミ・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(重複分を除き1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。すべて本編では説明はなかった。『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション5にてマスラダを攻撃した。

 コリが特に顕著だが、アヴァリスの趣味ではありえないジツが混在している。コウモリが唯一動物系(哺乳類)のジツだが、それ以外のジツはなんとなく連想ゲームめいた順番をしている。デン→スイトン、ヤイバ→スラッシング、ブレッシング→ドクなど、見るからに「前者を使ったときに後者の存在を思い出した」「逆ならばシナジーがあったのにむしろ無意味すぎる順番で使っている」という並びが散見されて、らしくない。

クモノス・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。詳細不明だが、おそらく糸を放出している。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション6にてマスラダを攻撃したが、躱された。動物系のジツだがついに脊椎動物でさえなくなった。

 このジツを使用した時のアヴァリスの自我はかなりサツガイ=サンと混線している。サツガイ=サンは『アルター・オブ・マッポーカリプス』にて白く光る八筋の蜘蛛糸をニンポとして使用していた前科があるため、手に馴染みのある蜘蛛糸をアヴァリスに選択させた可能性は否定できない。

ディレイド・デトネイト・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。遅発性の小爆発を起こす。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション6にてマスラダを攻撃したが、躱された。

カラテミサイル

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。カラテ粒子を射出して攻撃するが、本編では説明がなかった。2部などでおなじみ。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション6にてマスラダを攻撃したが、躱された。

ライフスプリング・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。無数の卵が割れ、羽の生えた生き物が羽化(孵化の誤記か)し、すぐに死ぬ。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション6にて使用されたが、このジツ単体では何をどう攻撃するのか不明。本編内では後述のコープスナパーム・ジツがあって初めて攻撃手段として成立した。

 孵った時までは生きていたので一応動物系のジツとする。これまで哺乳類(恒温脊椎動物)→鳥類(恒温脊椎動物)→魚類・爬虫類(変温脊椎動物)→節足動物(変温無脊椎動物)と戻って来たアヴァリスの逆『胎児の夢』が、とうとう何の生き物かわからないところにまで到達してしまった。「よくわからない何かが孵って死んだが特に興味はない」という、ある意味ではサツガイ=サン性の極北のようなジツがこの局面に登場したことが感慨深く、おそろしく、筆者にはこの怖さが非常に好ましかったし、アヴァリスがあまりにも心配で途方に暮れた。

コープスナパーム・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。生物遺体を爆破する。3部やAoMでおなじみ。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション6にて、ライフスプリング・ジツで発生した生き物の死骸を爆破してマスラダを攻撃した。

ブギー・ジツ

登場エピソード
『ビースト・オブ・マッポーカリプス』

元所有者:不明
使用頻度:低(1回使用)
評価:不明

概要
 
眷属のクロヤギをネオサイタマ中に蔓延らせ、アヴァリスが入手していたジツ。肉体を暗い泥に変じる。

 『ビースト・オブ・マッポーカリプス』後編セクション6にて、マガタマを摘出する際に使用した。これ以降のアヴァリスはクロヤギ・ブンシン・ジツとハヤシ・ジツ、そして己のカラテだけで最期まで戦うことになる。

私見(全体を通して)

 ここからは全体を俯瞰した際に気が付いたこと等について述べる。

基本情報

使用したジツ総数 42種類
うち動物系のジツ数13種類(うち1はバリキ・ジツ)
動物の種類数   18種類

マガタマ吸収に伴う複数ジツ運用方針の変化

 アヴァリスがマガタマを喰らったのは『デストラクティヴ・コード』セクション8最終ツイートでの出来事だった。当該ツイート以前に入手していたジツとそれ以降の境目は、紹介文でいうところの「ハヤシ・ジツ」と「デン・ジツ」の間に該当する。

 上記に紹介した通り、ここを境にアヴァリスの複数ジツ運用は大味極まりなくなる。要因としては八芒星のスロットが8から64になって余裕が生じたことや、サツガイ=サンのざっとした性格の悪影響などが考えられるが、確たる根拠はないのでここでの原因究明は行わないこととする。

 ともあれ見るからにジツ運用の手つきが変化しているほか、ジツの運用可能個数なども変化しているため、ここからは『デストラクティヴ・コード』セクション8以前を「マガタマ以前」、それ以降を「マガタマ以降」と呼称して区別することにする。

スロットのジツ内容

 マガタマ以前のアヴァリスは最大8個のジツを所持できたが、手札の全容が正確にすべて明かされているタイミングは一度もない。最も多く判明しているのは『デストラクティヴ・コード』セクション5からマガタマ事象までのタイミングであり、内訳は下記のとおりだった。

  1. アシッドクラフト

  2. サモンエレメンタル

  3. オルタ・ブンシン

  4. オーレフォーム

  5. オニビ

  6. クロヤギ・ブンシン

  7. ヘンゲヨーカイ(ハイエナ)

  8. (ハヤシ?)

 クロヤギ・ブンシン・ジツとハヤシ・ジツが同一スロットなのか別なのか不明なため正確な全数把握には至らないが、ひとまず別スロットと仮定すれば8枠の内訳は推定できた。なお上記以降の時間軸では、オルタ・ブンシン・ジツとヘンゲヨーカイ・ジツが削除された可能性を否定できないため、把握は不可能となる。

ジツ選択に含まれる趣味の要素

 マガタマ以前のアヴァリスはジツに対する好悪をはっきり表明している。本編描写より、アヴァリスがジツ奪取の際に気を付けている要素の優先順位をまとめると下記のとおりだった。

  1. 希少性が高い

  2. 美しい

  3. 利便性が高い

  4. クールタイムの都合上現在必要

 希少性を1位に置いたのは、必要に迫られたでもなくアシッドクラフト・ジツを狙った理由として珍しさを挙げていたこと、サモンエレメンタル・ジツも同じような動機で狙われた可能性が高いこと、そしてその2つのジツを最終盤まで手放さなかったことに起因する。また、便利だが美しくないという理由でハリネズミ・ジツが破棄されていることから2位と3位の順位付けを行った。動物系のジツが多いことについては自己言及はないが、無自覚なのか偶然生じた偏りなのかは不明。

ジツのクールタイムの長さ

 マガタマ以前のアヴァリスはジツのクールタイムを必要としていた。
(2023.7.10追記:『デストラクティヴ・コード』セクション3ではジツの再装填について「然るべきザゼンが必要」と説明されていたが、本編では一度も該当シーンを挟まずにジツスロットが復活しているので、ザゼンについて当記事では勘案しない。)
マガタマ以降についてもクロヤギ・ブンシンとハヤシだけはラグなしで多用していたものの、他のジツはクールタイムを要していた可能性がある。そのため、どの程度の時間経過でジツの再発動が可能になるのか、同一エピソード内での再使用描写があるジツから評価を試みた。

ただし本文中の時間経過を評価するのは非常に難しいため、前回のジツ使用時から何ツイート目で再使用に至ったかをカウントした。カウント内容は前述のスプレッドシート内、2シート目に掲載した。

 カウント結果は下記の通りだった。

 なお上記の表はあくまで「ジツを再使用した時点での経過ツイート数」であり、ジツを使う必要がそもそもなければ再使用はしないはずのため、顕著に大きい値(サモンエレメンタルとデン)には重きを置かないこととする。中央値でもある121ツイートから考えて、おそらく120ツイート分程度のクールタイムが必要と推測される。

動物系ジツと系統樹の逆走

 ジツ紹介で何度か述べたように、アヴァリスのジツには動物が多く、なおかつ後に登場するジツほど進化の段階をさかのぼっている傾向にある。ジツで使役したりジツのモチーフになっていたりする動物が分類学上どこに位置するかを整理するために、スプレッドシート内3シート目に各動物の分類(綱)をまとめた。

 まとめた結果は下記のとおりだった。

 マガタマ以前のアヴァリスは哺乳綱の動物のジツしか使用していない。(サモンエレメンタルは様々な動物を使役できるが、マガタマ以前は虎しか出していなかった。)当人が言っていたとおり「暖かい」動物を気に入っている傾向が非常にはっきりしている。

 ひるがえってマガタマ以降は、哺乳綱のフォックススピリットはいいとしても鳥綱のタカガリで哺乳綱以外を使役しはじめ、もはや暖かくない変温動物のウミガメや実在しないドラゴン等を経由して、多少のぶれはありつつも徐々に系統樹を遡上し、やがてはライフスプリング・ジツの孵ってすぐ死ぬ何かに至る。

 考え過ぎの可能性は高いが、サツガイ=サンの影響下にあって、少しずつ混沌とした祖に還ろうとする動きをアヴァリスのジツが示してしまったことは、たとえ偶然だとしても示唆的に感じられる。

 そして最後はそれを放棄してクロヤギの暖かさに戻った。それも含めて示唆的に思えるし、こうして調査を進めて考察を深める中でも無性にアヴァリスのことが誇らしかった。

後書き

 あまりに眠れずとにかく心の整理をつけたくて定量評価に挑んだが完成しても心の整理は全くつかなかった。業務の頭でものを書くうちに冷静になるかと思いきや結局ほとんど祈りながら書いた。

 やっぱり整理がつかないので、できる範囲でできることを今後もしてやりたい。

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