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【Review】ゲーミングモニターZOWIE XL2566K(360Hz,DyAc+対応)

本記事はベンキュージャパン株式会社 様より商品(XL2566K)をご提供頂いてのレビューです。

どうも、おっさんずVALOのOFFです。

とんでもない事になりました。
これまで商品を提供頂きレビューを書かせて頂けるというありがたい機会はありました。
思い返せば私がゲーミングデバイスのレビューを書き始めたのは2004年のお話。RAZERのCEOからメールを貰いRAZER DiamondbackとeXcactMatが我が家に空輸(略)

冒頭で話がそれるのを回避するクラッチプレーしましたか今!

改めまして…
改めましてですね。
とんでもない事になりました。
ZOWIEです。
XL2566Kです。
360HzのDyAc+です。
eSportsのゲーミングモニターといえばZOWIE、
ZOWIEといえばeSportsのゲーミングモニター
これくらい代名詞なデバイスをですね。
みんなの憧れであり、世界のデファクトスタンダードであるZOWIEのXL2566Kをですね…

レビューさせてくれるんですって…

41歳(2023年12月現在)のただのeSports老害が本商品のレビューを書くことでZOWIEさんに何のメリットがあるのか分かりません。
当の本人が「わかんない」って言ってるんですから、当然ですがこの記事を読んでらっしゃる読者の方々も…まぁ「わかんない」ですよね。
”3分くらい考えても分かんない事は、考えるだけ時間の無駄”という本質的な学びを41年の人生で得ています。
やめましょう無駄な事は。

ちなみにレビューに関しては
「OFFさんのテイストで(好きに)やっちゃってください」
とZOWIEの方からお許しを頂いてますので、もう好きにやっちゃいます。
(…ん?あれ?好きにって言ってたかな?)
あと
「絶対忖度もしないでくださいね」
とも言われていますので、もう治外法権です。
やりましたね、やってしまいましたねZOWIEさん。

という事で、前置きはこのあたりにして…
早速ですが

早速ですがゲーミングモニターの昔話をしていきましょうか!

昔のゲーミングモニターといえば
そう、CRTですよね!

違うそうじゃない。

CRTといえばモニターという時代ではなくなってしまいましたか…
CRT(Cathode Ray Tube)、陰極線管ですね。
真空管内に配置された電子銃から発射された電子ビームを蛍光面に射出して発光させる表示デバイスですね。
早い話がブラウン管と呼ばれるものです。

よくゲーミング老害がCRT最強!みたいな話をしてると思うんですが、現代人にとってみればCRTの何が良いねん?と思いますよね。
CRTがゲーミングモニタとして優れていた点、メリットは以下の2点
・遅延が無い(応答速度が速い)
基本的にCRTというデバイスは入出力信号が基本的にはアナログで処理されています。フレームを保持するようなメモリーは無し。グラボから出力された信号がほぼ即座に描画されます。
・残像がほぼ無い
前述のCRTの発光原理「蛍光面に電子が衝突して発光」これをフレームごとに繰り返す形で動画を表示することになる訳ですが、発光と消光のサイクルが非常に短いため残像はぼほありません。

2000年初頭における液晶モニターは遅延と残像がCRTに比べると非常に大きかった為、ゲーミングモニターとして液晶が選択されるという事はほとんどありませんでした。
…液晶モニターメーカーさんが大会スポンサーについていた関係で大会採用モニターが液晶なんていう事もありましたが、選手やプレイヤーが普段使っていたモニターデバイスはほぼCRTで占められていたのは間違いない事実です。
表示リフレッシュレートとしては現代のゲーミングモニターに比べると低かったんですよ。CRTの上限はXGA(1024x768)で140Hz程度です。(※実際使っていた設定は85Hz程度くらいの人が多かったかもしれません)
でも遅延0、残像ほぼ0という環境はそのリフレッシュレートの低さを感じさせないほど快適でした。(人間の目が差を認識できるフレームレートが何フレームくらいかという話でもあります)

本質的に重要なのは「応答速度と残像」というのは古の時代から変わらなかったんですね。

…さて、そろそろCRTの話はやめましょうか。

いや、あと少しだけ、ほんの少しだけお願いします。
2004年頃のCRTのデファクトスタンダードは何だったかという話だけお願いします。すぐ済みますのでどうか。
当時のデファクトスタンダードなCRTモニターといえばEIZOのFlexScan T766でした。19インチのフラットタイプのものですね。
私も使っていましたし、みんな持ってました。
みんな持ってるって親にゲームをねだる時に使う常套句なんですけど、これは本当にマジでみんな持ってました。
少なくともLEDZONEというCounter-Strikeが遊べる超先進的なゲームセンターで使われていたのもT766です。LEDZONEで使われていたデバイスなら間違いないです。LEDZONEで使われていたゲーミングキーボードがREALFORCE特注バージョンだったことからもその性能と信頼性の高さが伺い知れると思います。

2005年7月撮影の私のデスクトップ写真
右側のサブディスプレイもEIZO製で表示されているのはnegitaku.org
CPL2004Summer会場のLEDZONEの筐体
ガワを被っているので分かりにくいですが、中身はT766でした(出典:LEDZONEプロデューサーの土屋さん)。
画像はnegitaku.orgより引用

アレですね…
どっちの写真にもKeNNyさんのネームプレートが付いてるので、知らない方からすると当時のCRTモニターには必ずKeNNyさんのプレートを付けなければならないマナーみたいなものが存在すると勘違いされてもおかしくないですね。
私が持っていたこのKeNNyさんのネームプレートはと言うと

あれ?この記事…何のレビューでしたっけ?

今のところ
XL2566Kという文字列
T766という文字列
これらがが登場した回数で言うと、状況はほぼ五分 ややXL2566Kです。

すいませんZOWIEさん、そろそろ本題に移ります。
必要な前置きだったんです許してください。

神々しい!!神々しい!!!!

満足感がヤバいです。
いつも見てる大会で選手たちが使っているXL2566Kが目の前に鎮座しているというこの状況…CPLで選手たちがT766を使っていて、自分も家でT766を使っていた2004年を彷彿とさせてくれます。

なんだったらモニターの裏面のZOWIEロゴが見えるように壁に鏡を取り付けたいくらいです。
分かりますこの気持ち?
いっつもオンラインで大会配信見てる時も、オフラインの会場で見てる時もモニターの裏側と選手の顔が映し出されてるじゃないですか。

こんな感じで。
(VCT Pacific League LCQ決勝 ZETA vs TSより)

いつもあのXL2566Kを裏側から眺めているeSportsファンとしては、あの裏側からのフォルムすら愛おしく感じるのです。
数々の名シーンでも選手たちはZOWIEのゲーミングモニターとともにあったのか…と思いを馳せる時の脳内映像ZOWIEモニターの姿といえば、どちらかと言うと裏側です。
ゲーミングモニターの裏側は後ろ姿というよりも、ある側面では顔なのかもしれません(新しい気付き)。

…たまにスポンサー配慮でロゴが隠されてたりしますが、この後ろ姿で見間違う事はありませんね!

言うまでもないXL2566Kの表示性能について

今更私が言及するまでもないXL2566Kの表示性能について、言及させてください。
XL2566Kといえば
 表示が超滑らかで遅延激少のリフレッシュレート360Hz、応答速度0.5ms
 残像が激少のDyAc+
 敵を超見つけやすくできるColor VibranceBlack eQualizer
あたりが有名な性能ですね。

リフレッシュレート360Hz、応答速度0.5ms

360Hz/0.5msは他社のゲーミングモニターでも対応製品があったりしますね。流石のZOWIEさんと言えども液晶パネルを内製しているわけではありませんから、液晶パネルはどこかの液晶パネルメーカーから買い入れる形になります。
表示リフレッシュレートと応答速度はダイレクトに液晶パネルの性能が反映されるスペックです。ですので、XL2566Kと同じ液晶パネルを採用しているゲーミングモニターであればXL2566Kと同等スペックとなる訳ですね。
(※ちなみにおそらくですがZOWIEさんの液晶パネルは内製では無いですが、使われているのは同じBenQ系列会社であるAUO製のパネルと推測されます。系列会社に液晶パネル製造メーカーが存在するのはアドバンテージになるかもしれません)

DyAc+ (Dynamic Accuracy +)とは

では液晶パネル同じモノなら、どこのメーカーのモニター買っても同じなのか?という疑問が湧いてきます。

これは確実に断言できるのですが液晶パネルが同じでも、ゲーミングモニターとしての性能は違います。間違いないです。
料理に例えるなら液晶パネルは食材だと思ってください。
そして、その素材の味を引き出す仕事をするのモニターメーカーのお仕事ですね。いわば料理人のような存在です。
同じ食材を使っていても、料理人が違えば調理方法も違い、当然味も違う。

コレ…我ながら上手く例えることが出来たと思っています。
ZOWIEさん、この液晶パネルを食材してモニターを料理にする例え使ってくれても良いですよ?(何に使えるかは不明ですが…)

思い出したのでまた昔話の体験談を書かせてください。
前述のゲーミングCRTのデファクトスタンダードであったEIZO FlexScan T766ですが、CRT自体はソニー製のFDトリニトロン管を使っていました。
同じくソニー製のFDトリニトロンを搭載した製品は他メーカーからも売られていたんですが、市場評価やゲーマーの評価は断然EIZO製だったんです。特に評価されていたのはクッキリ感と発色だったと記憶しています。
液晶と同じく、基幹部品であるCRT部が同じだったとしても周辺回路の設計、料理で例えるところの味付け次第で全然違う料理になっていたんですよね。
…すいません、料理で例えるくだり、どうしても使いたくてついまたCRTの話を持ち出してしまいました。

もう流石にCRTの話はしないです。
だってこれゲーミング液晶モニターのレビューですから。
流石にもうね。怒られます。

さて、そろそろZOWIEゲーミングモニタ目玉機能の一つであるDyAc+の話をしましょう。
そもそもDyAc+って何?という話なんですが、ZOWIEさんのWebに詳細に書かれています。

LCD(液晶ディスプレイ)が画像を表示する方法は、いたってシンプルです。
光が液晶分子を通過すると、各ピクセルで色が表示されます。 画面上で物体が連続的に移動するという事は、光が複数の液晶分子を連続的に通過していることを意味します。 モーションブラーが発生するのは、入力信号が高速変化する際、ねじれる液晶分子による光の遮断が完全にできず、前の画像が一時的に表示されるためです。
(略)
過去の様々なディスプレCRT(ブラウン管)ディスプレイは動画の鮮明さの点で最高の性能を発揮します。 CRTは電子銃が電子ビームを発射して画像を作成するため、移動するオブジェクトには残像がありません。

https://zowie.benq.com/ja-jp/what-is-dyac.html より引用

舌の根の乾かぬ内にCRTが再登場してしまいましたか今!!!!
いや、これは不可避なので。
ZOWIEさんのwebに書いてあるのを引用しているだけで不可抗力なので。

液晶(LCD)とCRTの描画の違い。
原理的に液晶は残像が発生

端的に言うとDyAc+は残像の発生を最小限に抑えてくれる素晴らしい技術の事です。

フレームとフレームの間に黒フレームを挿入し、かつ黒フレームの挿入に合わせてバックライトを消灯させることで、その効果を高めている訳ですね。

DyAc™ /DyAc+ ™ は、CRT(ブラウン管)の現像原理をシミュレーションしたバックライトコントロール技術に基づいて、残像感軽減効果を生み出す独自技術です。
(略)
BenQ ZOWIEは量産された液晶パネルをそのまま採用せず、独自技術で電子回路とファームウェアを厳密に調整し、残像感を最小限に抑えています。

https://zowie.benq.com/ja-jp/what-is-dyac.html より引用

良いですね。
素晴らしいですね。
何が素晴らしいって、技術の中身も素晴らしいですがCRTをお手本にされてるのが素晴らしい。
ゲーミングモニターの性能面でのゴール地点がどこにあるのか、しっかりと理解してらっしゃる。非常に好感が持てます。
他社のゲーミングモニターでも似たような技術が導入されていますが、CRTを引き合いに出して技術説明されているものはありません。

ちなみにTokyoGameShow2023のZOWIEブースでは世界に一台しかないXL2566K特別カスタムモデル(DyAc2.0搭載)が展示されていました。
DyAc+だけでも十分素晴らしい技術なのですが、そこから限界ギリギリまでチューニングを追い込んで更なる進化を遂げたのがDyAc2.0だそうです。
ZOWIEの方曰く、「DyAc+とDyAc2.0の差は非常に微々たるもの」らしいのですが、それでもその差をトコトン突き詰めて良いモノを作るというモノ作りの姿勢がとても好きです。
なるほど、こういうモノ作りの姿勢がブランドの基礎を築いていくわけですね。勉強になります。

で、どうなのXL2566KのDyAc+は

長々と前置きを書いてきました。
皆様にこの性能を文章でうまく伝えられるか自信が無いのですが、率直な感想をお伝えしますと
 うん、凄い。
 めっちゃ良い。
 41歳のポンコツ反応速度でも分かる残像の少なさ。
 バックライトチカチカさせてるはずなのに全然ちらつかない。
 輝度も十分。凄い。
 ようやっとる。
というような感想です。凄すぎて語彙力小学生になりました。
ブラインドテストでXL2566KとCRTとを横並びにされたとき、その差に気付く自信がありません。それくらいのものです。

eSports特有の製品の気配り

画質面での言及はこのくらいに、次は筐体について。
細やかなZOWIEさんの気遣いに感銘を受けたんですよ。
この台座の角度とモニター高さ調整部分の目盛りを見て下さい。

とてもeSportsです。
非常にオフライン配慮です。
eSports選手にとってオフライン会場というものは特別な意味を持つのは皆様ご存じの通りかと思います。
オフライン会場で何よりも大切な前提条件はいつも通りの実力を発揮する事、場合によってはいつも以上の実力を発揮する事なのは前提条件ですね。
よって選手はゲーミング環境をいつもと同じように整える必要がある訳です。モニターの場合は角度や高さ、距離をいつも通りに配置するための基準としてこういう目盛りがあると簡単ですよね。
とても小さな配慮ではありますが、こういう所がとてもZOWIEさんらしく、この機能を使わないにしても ”ちゃんとここまでeSportsの事を考えてるんやなぁ” と感じられるだけで存在価値があります(ブランドイメージ的に)。

不満について

ここまでポジティブな要素ばかりを書き連ねてきましたが、なんか不満無いんかお前!というご意見、そろそろ出てくる頃合いかと思います。
不満、あります。

①XL Setting to Shareについて

XL2566Kはモニタ設定をかなり細かく色々を変更できます。
前述のDyAcの設定もそうですし、それ以外にも色関係の設定や明るさ関係の設定など。全ての最適解を見つけ出そうと思うと中々の試行錯誤が必要で大変です。
そこで登場するのがXL Setting to Shareという専用ソフト。プロが使う設定をさくっとパクってこられるので試行錯誤の回数を大幅に低減できます。
なんたってプロが使ってる設定なんですから、まぁ間違いないですよ。
CS1.6で例えるとnoppoさんの秘伝configファイルを貰ってくるようなものです。

それだけ聞くとええやん、最強やんけ!という話なんですが……

この設定ファイルを公開しているVALORANTプロが少なくて…
ZOWIEパートナーであるZETA DIVISIONの選手方も公開しているんですが、XL2566Kじゃなくて一つ前のモデル240HzのXL2546Kなんですよ。
ZOWIEの方にZETAの選手方の設定ファイルが公開される予定ありますか?とお尋ねしたのですが、本稿執筆時点(2023年12月)で公開予定はないそうです…
非常に残念。
情報開示請求したい所です。

②顔について

eSportsにおいてモニター裏面は、ある意味でモニターの顔みたいな存在であるという訳の分からないことを書きました。
私の想像していたXL2566Kの顔は

これなんです。
あ、モニターアームの事じゃないです。
もうちょっと拡大しましょうか。

これ。これなんですよ。

そして実物はと言うと…

ZOWIEのステッカー?が無い!!!
内容物をひっくり返してみても無い!!!
ZOWIEの方に「あのステッカー、非売品ですか?」とお尋ねしたところ
「非売品です」
という無常な回答が得られました。
えええ…残念過ぎますよ
あのステッカー別売でもいいので何とかなりませんかZOWIEさん

価格と買い時について

2023年12月現在の価格

XL2566Kはとても素晴らしい製品であることは間違いないのですが、その分お値段も結構立派です。約10万円。
消費者心理としては少しでも安く手に入れたいと考えるところでしょう。
私もいつ買うべきか非常に悩んでました。
買うべきタイミングとしては以下のセールが狙い目です。

①Amazonのセール
Primeセールなどのタイミングでは1万円以上、タイミングによっては2万円以上値引きされていることがあります。
②楽天のセール
不定期ですがセール商品にXL2566Kが含まれる場合があります。
直近ですと2023年9月に東京ゲームショウ出展記念で15%オフ+ポイント11倍なんていうセールが開催されていました(2023年12月現在はセールは終了しています)。

15%OFFで約9.4万円(ポイント分を含めると約8.4万円)

XL2566K欲しいけど、そこまで急ぎじゃない
という方はAmazonや楽天のセールを待つのもアリかもしれません。

おわりに

さて、いかがでしたでしょうか?
実はXL2566Kが初めてのZOWIEのゲーミングモニターだったんです。
実際この製品に触れた事で、また周辺情報を調べて知った事で
ZOWIEさんのゲームやeSportsに対する真摯な姿勢を感じることが出来たのが個人的には一番の収穫でした。


ZOWIEさんがゲーミングモニターで目指すゴール

最強ゲーミングモニターであるCRT
という事だけでも憶えおきましょう。
ココ次のテストに出ます。


<了>

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