GPU/HDD マイニングの効率を比較する

(この記事は 2021年9月 くらいの情報です)

4月くらいから本格的に仮想通貨マイニングをやってきたわけですが、ちょっと環境も落ち着いてきたので GPU マイニングと HDD マイニングの効率を比較してみようと思います。

特に、CHIA の言う
「HDD マイニングは GPU マイニングに比べてクリーン(電気を食わない)だよ」
というのが末端でも本当なのかどうか、という点に関してみていきます。
※ データセンターで、ということになるとちょっと話が変わってくると思う。

現在の環境

現在、うちでは4台の PC が稼働しています。

<PC1> メインPC、普段使いや仕事用兼用
・11世代 i7
・RTX3070

FractalDesign define 7 XL に入ったでっかい PC です。
うちで一番いい GPU が入っていて 24時間 mining もしていますが、効率度外視で 3Dゲームやったりもします。

<PC2> Plot 作成&GPUマイニング
・9世代 i9
・GTX1080

M.2 SSD 2本で Plot の作成を行っています。(公式 Plotter)
あと、GTX1080 でちまちま mining もしています。

<PC3> Chia Farming
・内蔵HDD10本+外付け20本

Chia を収穫する PC です。
昔はここにも GPU 載せてたけど、発熱の関係で移しました。

<PC4> GPU Mining
・RTX2070 Super

GPU マイニング専用機です。PC3 から移してきました。

<NAS1> TS-859 Pro+
・8TB × 8 RAID6 : 42TiB くらい
<NAS2> TS-473
・2TB × 4 RAID0
・外付け 13本

NAS2 の RAID0 は Plot 作成の 2ndCache & 生成した Plot の一時保存場所。
その他は Plot の保管領域です。

CHIA Farming

CHIA に関しては、以下のような状況

Plot NFT : 1283 Plots (130TiB くらい)
Plot OG : 1508 Plots (150TiB くらい)
残り空き容量: 40TiB くらい
追加 1.5~2 Hour/Plot

画像1

画像2

Pool は SpacePool を使っていて、OG は HPool です。
収益は Pool が 0.02XCH/day 強、OG が 0.03XCH/day 前後。
月で合計すると 1.5XCH くらいでしょうか。
(8月が 1.5XCH 強だったので、今はもう少し多いかも)
当然だけど、メンテの為に止めたりすると大きく落ち込みます…

画像3

Chia Calculator によれば、2780Plots だと 2XCH くらいっぽいので、結構足りてない気はします。

画像4

NAS を含めた電力消費は 500W くらいです。
(Plotter 除く)

Chia の初期費用

Chia の初期費用は
・PC 等の費用
・Plotter 用の SSD の費用(MAD Max ならメモリの費用)
・保管用 HDD の費用
となると思います。

保管用 HDD に関してはどのような HDD をどのように確保するかで大きく金額が変わりますが、単純計算にするために 1500円/TB で考えます。
これは、WD Blue 6TB を新品で買って、ポイントとかの値引きを考慮したくらいの金額(9000円くらい)です。

そうすると、空き容量を考慮して、
240TiB = 270TB くらい × 1500円 = 40万円くらい
となります。

PC とか、SSD とか含めると、ざっと 50万円としましょうか。
実際には NAS が高かったり、より高容量の HDD が高かったりするので、もうちょっと高額だったりはします。

Chia の運用効率計算

これらをベースに、Chia の運用効率を計算します。
1か月は 30日 で計算します。
1XCH = $210、$1 = 100円 で計算します。

1)対電力効率

500W = 360kWh/月 で 1.5XCH/月なので、240kWh/XCH です。
現在 27円/kWh でなので、6480円/XCH になります。
23100円稼ぐのに6480円かかる = 10000円稼ぐのに 2800円くらいの電気代がかかる計算ですね。

月の収支はざっと 1.5XCH=35,000円 - 360kWh=10,000円 = 25,000円 というところでしょうか。

2)対初期費用

Plots や NetSpace の増加で収入も変わりますが、初期費用を「現時点の容量」で計算したので、収入も現時点のもので計算します。

そうすると、
50万円 / 2.5万円/月 = 20ヶ月
です。
実際には初期費用がもっとかかっているので、現在の XCH の価格ではペイするとは思えません(笑) 
1XCH = $1000 くらいならいいんですけどね。

GPU Mining

うちでは3つの GPU を3台の PC で運用しています。
GPU 温度が 65℃以下、ホットスポットが 85℃以下になるように気を付けています。
発熱によってファンの回転数が上がり、うるさくなるのが嫌だからですw
ですので、ガチでやっている人はちょっと別の結果になるのではないかと思います。

RTX3070 : PL55% (120W) - 58MH/s
RTX2070 Super: PL50% (125W) - 42MH/s 
GTX1080: PL55% (100W) - 24MH/s

GTX1080 に関しては、GDDR5X のタイミング調整はかけていません(エラー多発したので) 

この3台で概ね 0.07~0.08ETH/月 くらい掘っています。

画像5

Crypto Compare によれば、125MH/s で 0.08ETH/月 くらいらしいので、いいところかと。

GPU Mining の初期費用

私が揃えたときは
RTX3070 : 13万くらい
RTX2070 Super: かなり前なので忘れた、6万くらい?
GTX1080:中古で 4万くらい
でした。

これに PC の金額を足す(メインPCは贅沢構成なので含めない)と、全部で 30万円弱、ってところでしょうか。

現在は RTX3070 がもう少し安く手に入りますが、LHR (Light Hash Rate) 版で Mining には不向きのものなので注意です。
探せば non-LHR で安いものもありそうです。

GPU Mining の運用効率計算

ETH は価格の変動が大きいので比較は難しいですが、とりあえず 1ETH = 35万円 とします。
(今の ETH の価格が bitFlyer で 1ETH = 35.8万円)

1)対電力効率

こちらは計算簡単です。
GPU の消費電力に、システムの消費電力(50-100W 程度、CPU による)を足せばいいです。
「システムの消費電力」が結構な割合になってしまう為、Mining RIG を使って1台で複数 GPU を駆動した方が圧倒的に効率は上がります。

まぁ、うちではむき出しは嫌だった(音とか埃とか)ので、1台ずつケースに入ってます。
なので、個別に足していきます。

120W + 125W + 100W + 50W×3台 = 500W くらい

おお、偶然 CHIA の消費電力と同じくらいですね!w
これは計算しやすくていいぞぉ(大根役者)

360kWh/月 で 0.07ETH/月 なので、5142kWh/ETH です。
35万円稼ぐのに14万円くらいの電気代がかかります。
1万円あたり4千円くらいの電気代です。

うちの収支としては、
0.07ETH=24500円 - 10000円 = 15000円/月
というところでしょうか。

2)対初期費用

30万円 / 1.5万円 = 20ヶ月
ということで、こちらも CHIA と同じ結果になりました!

…なにこの予定調和。
いや、狙ったわけじゃなくてホント偶然なんですけどね。

HDD Mining (CHIA)  vs  GPU Mining (ETH)

数字が出そろったところで、HDD Mining (CHIA) と GPU Mining (ETH) の比較をします。

1)対電力効率

1万円稼ぐのに必要な電気代は
CHIA : 2800円 = 100kWh くらい
ETH : 4000円 = 150kWh くらい
でした。
ただ、GPU の方はガチでやれば(並列度を高めれば)もっと安くなります。

また、電気代は安い国は本当に安いので、値段で比較するより消費電力で比較した方が良いかと思います。

ちなみに、どちらも +α で空調が結構かかります。
冬は暖房の費用が節約できてよさそうです。

2)対投資回収率

共に20ヶ月でした。
ただ、CHIA はまだ成長過程で、全体の NetSpace の増加率に追いついていかないと収益が下がります。つまり食い下がるには追加投資が必要であるという点には注意が必要です。

一方で、ETH は ETH2.0 になって PoW が終了し PoS に移行すると、
「取引に使うにはいいけれども、(今の方法の)Mining は終了のお知らせ」
という感じになる可能性が高いかと思われます。
そうすると当然ペイなんぞできるわけがなく…となりそうです。

3)空間効率

要するに「置き場所」です。
これは比較するまでもなく GPU の圧勝でしょう。

画像6

HDD が物理的にでかすぎるので、CHIA は場所食いすぎます…

結論

ということで、「末端で」の HDD Mining と GPU Mining を比較してみました。

結論としては

「CHIA ってそんなにクリーンじゃなくね?」

って感じです。
HDD って結構電気食って発熱するんですよ。
冷却しないと触れないくらい熱くなります。

CHIA の Plot 保管用に、2000-4000RPM くらいで超大容量の HDD が出てきたら状況変わるかもしれないですね。
回転数落とすと安定してプラッタを浮かせることができなくなるので、難しそうな気もするけど。
もしくは、SSD のように高速ではなくて、HDD 並の速度だけれども消費電力がめっちゃ低い半導体ストレージとか。

夢は HDD Mining の方がある気がします。

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