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誰一人取り残さない。「食の多様性」について考える。UTRTってなんだ?(インタビュー)

こんにちは!ジャスミンです。
今回は、「食の多様性推進ラウンドテーブル(Universal Taste Round Table)」という取り組みについて、とあるゲストをお招きして学んでいくよ〜!


UTRTとは?

食の多様性推進ラウンドテーブル (通称:UTRT は、Universal Taste Round Tableの略)は関西経済連合会が主幹となり、株式会社JTB、そして私たちYRK&が座長となって活動しているプロジェクトです。

UTRTの詳細はこちら

そして今回のゲストは、このUTRTのプロジェクトメンバーの前野恵さんです!まずは、今回初めて登場する「前野さん」のご紹介から・・・!

「食」の業界を強みとしたコンサルタント

前野さんは、YRK&に新卒入社して、35年。
食品メーカー、食品素材メーカー、外食業界など、「食」にまつわる業界を得意分野として長年、ブランディング、マーケティング、プロモーションなどをコンサルテーションしてきたベテランコンサルタント。
好きな国はインド🇮🇳で現地のお友達もいるんだとか!

ジャスミン:前野さん、今回は、UTRT(食の多様性推進ラウンドテーブル)について学ばせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

前野:うん。よろしくね。

ジャスミン:早速なんですが、このUTRTって、一体何なんでしょう?

UTRT(食の多様性推進ラウンドテーブル)とは?

前野:日本でも増えていると思うんだけど「ヴィーガン」「ベジタリアン」といった言葉は聞いたことあるかな?
そういった方々だけでなく、宗教上の理由や生まれた国の方針で「食に関するルール」を持っている方が多く存在しているんです。

そういった方々は、日本に来て、外食店に行った時に必ず「この料理には何が使われているんだろう?」と思うタイミングがあります。
でも、何が使われているか詳細は記されていないことの方が多い
せっかく日本に旅行に来てくれたのに「この料理には食べられない食材が使われているかもしれない…」と食べるのを諦めて、万が一のためにスーツケースに入れてきた非常食で過ごすことがあるみたいです。
僕は、旅行中の食事は旅行の思い出を決めるくらいとても大切だと思います。

外食で悩むことなくスムーズで楽しい旅行となるように、言語が違う方でも分かる「ピクトグラム」を使って、料理に使われている食材を見える化してあげようというプロジェクトなんです。

ジャスミン:へえ〜!なるほど!確かに、私も海外に行った時に、空港とか駅でピクトグラムに頼った時があるので、ピクトで表現してもらえるのは助かりますよね!
UTRTのプロジェクトの意義としては「外国から日本に訪れるお客さんたちが、日本の食を自分らしく楽しめるように」ということだと思うんですが、そもそも、どうしてこの「食の多様性」視点を持ったんですか?

なぜ、「食の多様性」の視点を持ったのか?

前野:私は食品メーカー様や食品素材メーカー様とのお取引が多く、大豆ミートなどのプラントベースドフードの事業戦略やPRプロモーション、飲食店での大豆ミート採用サポートなどのお仕事をすることがありました。

そのなかで、2050年には食料危機になる可能性があることや、ヴィーガン、ベジタリアンの人たちの食生活について、知ることができました。
そうしているうちに「彼らにもっと寄り添えたらいいな」「何か力になりたいな」と考えるようになりました。

しばらくしてインバウンドが途絶えたコロナ禍に、「ABCプラットフォーム」というアジア圏におけるビジネス創出プラットフォームが開催する1年に一度の全体会議に参加し、そこで「外食店メニューにおける使用食材のピクトグラム」について話をする機会がありました。

7か国が参加をしたオンライン会議の中では「日本食はとても興味があって食べたいけれど、言葉の壁があるうえに何が入っているかわからないので、食事をするのにとても困っている。ピクトグラム表示があれば大変便利だ。」というある海外の方の一言が、この活動の具体化につながりました。

2025年には大阪・関西万博があります。
ヴィーガン、ベジタリアン以外にも、宗教における食のルールを持つ人々がたくさん日本へ訪れることが想定できます。

大阪・関西万博の開幕までに、海外の方が食事に困らない環境整備を作ってあげることができれば、より日本の魅力を体感していただけるだろう、そして、関西の飲食業界も相乗的に盛り上がっていくのではないか?というふうに考えることができたんです。

ジャスミン:なるほど。そういう背景があったんですね!
YRK&って、大阪船場で128年前に創業してから、世界恐慌、戦争、高度経済成長、大阪万博(1970年)、バブル崩壊、阪神大震災など、さまざまな時代を経験する中で、どの時代も常に半歩、一歩先のことを考え、いつの時代も新しい商流や価値を生み出してきています。
ずっと関西経済の復興に貢献し続けてきているという背景もあるし、ピンチをチャンスへ変換して新たな価値を見出す!っていう精神はずっと変わらないですよね。
前野さんにも、この「ヤラカス精神(人のやらないことをやる)」が流れていますね!
ちなみにUTRTのプロジェクト構想はどうやって立てられたんですか?

UTRTプロジェクトの構想について

前野:ジャスミンは、プラントベースドフードをメニューとして取り込むのはとても大変であるということは知ってましたか?
なぜなら、人によって食べられる範囲が違うから。
だから、飲食店に「食の多様性に合わせたメニューを考えよう」っていうのは、結構無理がある話だったんです。
だから、僕らができる食の多様性に対応するための第一歩として、今ある料理に何が使われているのかを知らせてあげるだけで、インバウンドの方々が「食べられる料理なのかどうか」を自分で判断して楽しんでもらえるような機会づくりからはじめませんか?という提案をしていったんですね。

それから、食の多様性っていうとさっき話してたヴィーガン、ベジタリアンみたいな話だけかと思うかもしれないけれど、「アレルギー」を持つ方もいらっしゃるでしょう。アレルギーの方にとってもやさしいお店が増えたらより多くの人が食を楽しめる機会が増えるなと思ったんです。

ジャスミン:すごい!食に対する純粋な愛情が溢れていますね。そして、何より「誰ひとり取り残さない」ソーシャルグッドな考え方ですね。

前野:ま、まあね〜!(照)

ジャスミン:さすが前野さん!(笑)
そうそう、UTRTは2021年に設立されていると思うのですが、約2年間活動されてみていかがですか?

前野:実は2024年1月25日にYRK&本社(&square)で関西経済連合会主催の「食の多様性推進ラウンドテーブル」第2回総会を開催したんです。

レポートはこちら

39社の参画企業/団体にお集まりいただき、2年間の活動報告と大阪・関西万博開催までの活動計画を発表・共有する場、またビジネスマッチングを図る良い機会でした。

YRK&の座長を務める中許祐里子専務取締役
当日の様子

農林水産省、観光庁、その他多くの行政や自治体関係者の方や、全日本・食学会副理事長で「あまから手帳」編集顧問の門上武司さんをはじめとする外食業界の関係者各位がご出席くださり、UTRTが非常に期待されていることを感じて、身が引き締まる思いでしたね。

ジャスミン:すごい!!豪華すぎる・・・。
2年間で参画企業様も増えて、少しずつ大きなプロジェクトになっていってるんですね。

前野:そうなんだよね。これからもっと多くの企業様のご支援をしたいと思っているよ。それだけでなく、国にも応援してもらっているプロジェクトだから、自治体とも連携をとって、より多くの人が食を楽しめる世の中を共創していけたらいいなって思ってる。
だからこれからも、僕はこの活動を頑張って伝えていきたいと思っているよ。

ジャスミン:前野さん、本当に「食」のプロフェッショナルですね。これからも数多くの企業様のご支援と、「食の楽しみ方」「食の多様性」を多くの人に伝えていってください!ジャスミンも、背中を追いかけ頑張ります!

「UTRT」のおさらい

食の多様性推進ラウンドテーブル(UTRT)について

UTRTが推進する活動はハラル認証の取得推進ではなく、「ムスリムフレンドリー」という考えのもと、できる範囲で適切なサービス提供が可能な事業者を増やし、プラントベース(植物由来の原材料を使用した食品)も取り入れながら「食材をピクトグラムで表示し、多様な人々の多様な食文化に対応できる環境の仕組みと人づくり」を目指すプロジェクトです。

引用:株式会社フードピクト

新規でレシピ、メニュー開発をする必要はなく、現在提供しているメニューに食材ピクトグラムを付けるだけで、⾷の多様性に対応できる環境を整えることができます。

ピクトグラムを使えば、ムスリムの方やベジタリアンの方が料理を自分で選べ、食アレルギーをお持ちのインバウンド観光客も安心して食事を楽しむことが可能となります。

大阪・関西万博を機にこのような「ムスリムフレンドリー」に対応できる店や施設が増えることで安心して観光を楽しめる国際観光都市に。
そして店舗の受け入れ側の人手不足と言語の壁への緩和にもなります。
今後UTRTでは、食材ピクトグラムの拡大を図るとともに、旅前・旅中・旅後の外国人観光客へのPR、新メニュー開発、食の多様性体験会(ガストロノミーツーリズム)、UTRT構成企業同士のマッチング支援・食の多様性コンサルティングなどにも取り組んでいく予定です。

「誰一人取り残さない食の多様性」に関しての取り組みを強化したい、インバウンドでの食需要をビジネスチャンスにしたいとお考えの企業様、いつでもお問い合わせください。
お問い合わせはこちら。

<参加企業・団体>
(株)大阪国際会議場、(一財)大阪はびきの観光局、オリバーソース(株)、がんこフードサービス(株)、(一社)関西イノベーションセンター、関西エアポート(株)、(一財)関西観光本部、(株)近鉄・都ホテルズ、グリコ栄養食品(株)、国土交通省観光庁、(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネット、静岡鉄道(株)、(一社)全日本・食学会、全日本空輸(株)、損害保険ジャパン(株)、帝国ホテル(株)、東亜食品工業(株)、二宮(株)、NPO法人日本ベジタリアン協会、農林水産省近畿農政局、(一社)ハラル・ジャパン協会、(株)阪急阪神ホテルズ、フジッコ(株)、(株)フードピクト、NPO法人ベジプロジェクト・ジャパン、ホテルモントレ(株)、まねき食品(株)、メロディアン(株)、(株)ライトハウス、(株)ラスイート、(株)ロイヤルホテル、六甲バター(株)、(株)CAN EAT、(株)Human Hub Japan、(一財)KIX泉州ツーリズムビューロー、 TANAKA VALUE PLUS TRADING(株)、(公社)関西経済連合会、(株)JTB、(株)YRK and ※五十音順

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