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アイドルの時代は必ずくる

はじめに

「推し」や「ヲタ」を堂々とアピールできるようになったのはいつからだろう。

アイドルの現場に飛び込んで半年、なんとなく(地下)アイドルも市民権を得ていく過程にある雰囲気が漂っている気がしているので、自分の中で整理しておきたい。

noteは論文ではないので、ちゃんと文献をあたればなんとなく先行研究もありそうだけど、2回に分けて感覚的な話、そしてアイドル現場に新規で入るハードルを自分が忘れる前に残そうと思う。

男子校の男子目線、鬼の主観だらけだけど。

わきまえていた、オタク

そもそも、オタクのイメージといえば自分より上の世代は宮崎勤であり、自分たちは電車男だった。
よくわからなくて怖い、忌避の対象。もしくは挙動不審でキモい、下に見る存在。イメージはよくなかった。

このイメージ。

男子校だった自分たちの間では、少年誌のアニメ好きとラノベや美少女が出てくるアニメのオタクにも明確な違いがあったように思う。

ONE PIECEやNARUTOが好きな話はしやすかったが、ラノベの「灼眼のシャナ」や「とらドラ!」の話をしている人たちとは違う層だった。この当時は「推し」じゃなくて、「萌え」という文化だったように思う。

自分たちが好きだったテニスの王子様や銀魂を違う目で見ている「腐女子」を怖がっていたことも覚えている。

もちろんオタクも一大勢力だし、女子の目もないのでイジメなどは発生しないまでも、校内カーストやヒエラルキーが明確にあった男子校において、オタク側もわきまえてマジョリティ側に踏み込んではこなかった。

ヒエラルキーの境界線が曖昧になったニコニコ動画

中学生の時の自分は、ぎりぎり大丈夫そうなラインの好奇心には飛び込むことが"是"だった。新興宗教っぽい宗教施設には大体行ったし、出会い系のメールには大体返信してみた。

それと同じレベルで、オタクたちの文化を知ろうと初めて飛び込んだのが「メイド喫茶」だった。ちなみに怖いものみたさで飛び込んだその店ではちゃんとぼったくられ、後ほどその店はちゃんと摘発されていた。

メイド喫茶には全くハマらなかったけど、そこでメイドさんが歌っていたアニソンが気になった。
「鳥の詩」「アンインストール」「創世のアクエリオン」「だんご大家族」「撲殺天使ドクロちゃん」「もってけ!セーラーふく」「God knows…」「ライオン」

そこからニコニコ動画にハマり、今まで蓄えたSOUL'd OUTやマキシマム ザ ホルモンの血にボカロやアニソンが混ざった。

(゚∀゚)o彡゜えーりん!えーりん!

アニソンが刺さらなかった勢とも、今で言う「ミーム」で共通言語ができた。陰陽師やらんらんルー、「城之内死す!」やジョジョの台詞なんかともここで出会い直した。
その頃、2ちゃんねるも結構みんな見ていたのでそのミームも同様に共通言語だった。痛い。

こうして、アニソンやラノベ、ニコニコ動画の話題で男子校内のヒエラルキーの境界線が少しだけ曖昧になっていった。

アイドル勢の出現

自分たちはモー娘。やミニモニ。全盛期の小学生時代を過ごしたのでアイドルに対する抵抗感は少なかったんだと思う。毎年どこかの学年が運動会で踊ってた気がするし。

と言うことで、関西で過ごしていても高校2年生くらいにはAKB旋風が吹き荒れた。ハロプロから乗り換えた広告代理店の力は偉大だった。
なんだか理由はよく分からないけど、ここで再度境界線がくっきりした。2次元と3次元。そして自分は2次元側になった。

自分はがっつりボカロ道を進んでいたのでAKBに興味はなかったが、部室でもともちん派とかまゆゆ派とかマリコ様派とか色んな派閥ができていた。

勢いあった。

握手会まで行く強者もいたのに、KARAや少女時代のプチ流行を経て、大学に入るとほぼ全員がAKBの話をしなくなった。

LINEやmixiの隆盛とともに、クラブミュージックにノリながら、本当に出会える女性とのコミュニケーションへと移行していったことも大きい。

今思えば、SNSで個人が発信する時代の境目で悶々としていた男子高校生の疑似恋愛に似た何かだったんだろうと思う。3次元だし。

こうして、自分の周りから(AKB的な)アイドル好きはほぼ絶滅した。残ったのは、疑似恋愛を続けている層と、一瞬の熱狂に対する気恥ずかしさと、音楽チャートを席巻された苦々しさだった。

「まだ(歌やダンスが不完全な)アイドル好きなままなの?」勢の出来上がり。
ここで、一つの壁ができる。ももクロやでんぱ組の流行を「アイドルでしょ?」と、見ようとしない層ができたのだ。

そのまま社会人になり、しょうもないヒエラルキーは消え去った。
ただ、この時生まれた「(所詮)アイドルでしょ?」は、先日会った同級生たちにもかなり根深く残っていた。

2次元「萌え」ではなく、「推し」

アイドル(AKB)が勢いを落としたタイミングで、再びアニメが力を取り戻した。

ディズニーとジブリは別枠だという認識だったが、新海誠の「君の名は。」がちゃんと流行った。アニメも少年誌と女性の購買力の融合点で「進撃の巨人」が売れた。

円盤だけを考えても、エヴァ(は違うか)やマクロス、ガンダムで円盤を買っていた層とも、物語シリーズやけいおん!、まどマギを買っていた層とも違う購買層が進撃の巨人で流入。

一定層が合わさって、その後のラブライブやおそ松さんに続いている気がする。明らかに、女性を巻き込めると売り上げがあがる。萌えじゃなく、推しという概念。

売れることは正義、国をあげて「クールジャパン」に金を流した。広告代理店、強い。
ドラマ原作も漫画が多数作成され、鬼滅の刃はアニメ化→映画化でどちらも大成功。アニメ映画も漫画の実写化も売れ続けている。

めちゃくちゃよかった。

同じくらいのタイミングで、自分の「好き」を発信しやすくなった。一般人も、有名人も。
テレビの権威性が下がり、サブスクが解禁されたことによって国民的な歌手を育てることが難しくなったところに漫画やアニメのコンテンツは上手くハマった。

ジャンプの熱さだって、京アニの作画だって昔から大きく変わったとは思えない。時代だ、としか言いようがない。「アニメが好きだ」と、「このキャラが好きだ!と言える時代の空気になったのだ。

本題A: アイドルの時代はすぐそこまできている、はず。

要するにコンテンツが社会の中に溢れて、「好き」と言える雰囲気になればいい。アニメと同じく、コンテンツ力は強いので。

そして、アイドルにもその空気が少しずつできはじめているように見える。

①-サバ番とK-POPアイドル

女性を巻き込むという意味では、外せない。TWICEやBTSといった、SNSを上手く活用して世界的に有名になったいわゆるKpop第3世代を聴いて育った層が、そろそろお金を落とせる年代になってくる。

K-Popがややこしいのは、韓国発なので保守層おじに刺さらないかもしれないという難点だ。ただ、アイドルが好きだと言える雰囲気を醸成する一助にはなる。
(余談だけど、保守おじさんは本来アイドルと相性よさそうに思える)

そして、K-pop第4世代では女性アイドルだけでもIVE、Kep1er、LE SSERAFIM、NewJeansなど(賛否ありながら)日本でもよくTVに出る"完成系"に近いアイドルが出てきた。

本質的に日本人に刺さりやすいのは努力や成長のようなストーリーと愛嬌で、そういった意味でもJO1やINI、NiziUやME:Iのようなサバイバル番組は話題となった。

清水恵子1ピックです

こういったグループに言及する人が増えると、アイドルが好きだと言いやすくなる可能性がある。
しかもめちゃくちゃ歌が上手かったり曲がよかったりするし。

②-CDの売り上げランキング、音楽番組以外の新たな動線

CDの売り上げやレコード大賞みたいなものが信じられなくなった後、YouTubeの視聴回数やサブスクの再生回数という新たな基準が出てきた。

そこで、例えば米津玄師やYOASOBI、Adoなどが存在感を示し、ボカロが少しだけ市民権を得た。すとぷりやいれいすなどもアイドル的な人気を博した。ボカロPとの掛け算やアニメの流行との掛け算という動線もできた。

また、ファーストテイクで知名度を上げるという動線ができた。TikTokで聴いた曲や、30〜40代が青春時代に聴いていた曲もファーストテイクを経由して再ブレイクした。

EXILE以降も流行り続けるLDH系に加えて、超特急やDISH//が女性を中心にバズり、歌ったり踊ったりできる俳優という動線も増えた。BUDDiiSのファン、強い。

流行り続けるで言うと、旧ジャニーズのSnowManや SixTONESも相変わらず強いし、AKB派生の乃木坂や日向坂も強い。なんならさらに派生?した=LOVEや≠ME、≒JOYも強い。

そしてハロプロ。広告代理店がAKBや坂道に移った後も着々と力をつけ続けて一定のファン層を保っている。ハロプロがちゃんとどこかの動線にのればもう1回ちゃんとバズる気がする。研修生も含めることで日本人好みだし。笠原桃奈の影響で再注目もあるかも?

そして、TikTok発でバズる歌手が徐々に増えてきた。というか、ちゃんとバズりたきゃTikTokをはじめとしたショート動画で流行ることが王道みたいな雰囲気すらある。

で、そんな要素が集まってHoneyWorksの曲や、FRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」、iLiFE!の「アイドルライフスターターパック」がバズったりした。

レコ大新人賞、武道館アイドルですものね。

新しい動線から裾野が広がって、結果的にアイドル好きって公言できる雰囲気ができていくように思う。思うが…

例えば今の職場は誰1人フルーツジッパーを知らなかった。課を4つ合わせたら2〜3人聴いたことある人がいる。動画コンテンツのフィルターバブルに入らない×音楽番組見ない人たちはそんなもんだ。

そして、運良く曲と出会ったとしてもライブ現場に行くハードルはかなり高い。
アイドルに対するハードルだけじゃなく、正直アイドルファンがたくさんいるライブへのハードルが高い。

自分がアイドル現場に飛び込んだ時の心理的ハードルをもとに、そちらも次回整理したい。気が向けば。

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