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太陽を味方につけよう

乳幼児睡眠コンサルタントのゆうこです。
「読む睡眠コンサルテーション」シリーズとして乳幼児の睡眠に関する話をテーマごとにお伝えしていこうと思います。


今回のテーマは朝の起床と太陽の関係について。
ねんねコンサルでは光についてかなりシビアにお伝えしています。なぜでしょう。

それは、光によって人間の本能的な部分が大きく影響を受けるからです。

せっかくなら一生懸命起こしたり寝かしたりせず、人間の本能にそって寝たり起きたりしてくれたら嬉しいし、何より身体にも負担がなく楽なのです。
ではどのように光が身体に影響するのか、その上で生活にどう気をつければよいのか確認していきましょう。

1.夜眠たくなるのは、朝の起床があるから

人間が朝目覚めて夜眠たくなるメカニズムをご存知ですか?眠気を誘う眠たくなーるホルモン(メラトニンといいます)が人間の睡眠に大きく影響しています。

朝起きると、眠たくなーるホルモンの分泌がとまります。そして、その14−16時間後がピークになるよう、また分泌が始まります。
例えば朝7時に起きたら夜9時頃に眠たくなーるホルモンの分泌がピークになります。人間は勝手に眠たくなりません。体の中でちゃんとホルモンが眠たくさせてくれているんです。

この、眠たくなーるホルモンの分泌は生後3ヶ月ころから始まります。なので、3ヶ月以降の赤ちゃんには体内時計に即した生活=すなわち朝の起床時刻を整えることが非常に大切なのです。

Q.どうやって眠たくなーるホルモンが止まるの?

朝起きて日の光を浴びると、脳の司令塔(体内時計)が体中に「朝ですよー!!」とお知らせをします。その号令で眠たくなーるホルモンの分泌が止まります。つまり、朝起きてもずっと暗闇で過ごしていては朝起きたことになりません。朝起きたらカーテンを開け、しっかり光をまぶたに取り入れることが大切です。
※網膜から届いた光が合図となり脳の司令塔(視交叉上核)が号令をかけます。目はものを見るためにあるわけじゃないんですね。奥深い。

2.朝起きたら光を浴びよう

朝起きて浴びる光の量も大変重要です。「ルクス」と呼ばれる単位で照度を確認できます。スマホアプリにも計測できるものがあるのでぜひ色々試してみるとよいでしょう。目安は諸説ありますが、体内時計のリセットには約2000ルクスはほしいところ。たとえばこんな感じで照度が違います。

晴れの日の外(100000ルクス)
雨の日の外(5000ルクス)
コンビニやガソリンスタンド(2500ルクス)
室内の明かり(約300ルクス)

思ったより部屋の中は明るくないのです。でも、晴れでも雨でも、夏でも冬でも毎日起きてすぐ外に出るなんて大変。ベランダに出るのだって無理。なので、家の中で限りなく光が多く届く「窓際」をおすすめしています。(外に出れる人はじゃんじゃん出ましょう)

Q.朝起きる時間を一定にするのはなぜ

体内時計がリズムを刻んでいるのは地球と同じ24時間ではなく、個人差はあれど24時間より長い時間と言われています。毎日リセットせずに過ごしているとちょっとずつ体内時間が地球上の時間とずれていってしまいます。
この体内時計は朝日を浴びることでリセットされ、地球と同じリズムで暮らせるようになるのです。そして、現代は日照時間が大きく異る冬も夏も同じ時刻で生活します。なので、毎朝一定の時間に起きることが非常に重要なのです。

Q.マジ一定にしないとヤバイの?

人間の身体はこれまでに述べた毎日リセットする体内時計以外にも、日照時間に影響を受ける年周期の体内時計もあると言われています。
冬は早寝遅起、夏は遅寝早起という感じで、日照時間の変化とあわせて人間の本能的な睡眠時間も変わってきます。1年を通してきっちり同じ就寝&起床時刻で生活するのは、特に子どもは難しいかもしれません。夏と比べて冬の睡眠時間が長くても問題ありませんので、こどもの様子を観察しながら調整しましょう。

(ちょっと体験談)
我が家の長男が、11月くらいからめちゃくちゃ睡眠時間が長くなって、この子冬眠するのかな・・と本気で心配しました(笑)ただ、こういう年周期の考え方もあるよと知ってからは「そういうもんか」と何もせずにいましたところ、3月過ぎたぐらいから明らかに起きている時間が増えました。見えない冬眠から覚めたようです。人間はもともと哺乳類。ちゃんと野性味を帯びているんですね。

しかし、ここで言う起床時間の変化は年単位の話です。朝起きる時間が、月曜は7時、火曜は9時、水曜は6時、、みたいなブレは身体に負担があります。起床時刻は概ね±30分の誤差を目標にとコンサルでも言いますが…努力はしてほしいけどあまり無理しませんよう。起床時間でストレスマックスになって1日中怒鳴り散らかすようなことがあっては本末転倒です。

最後に、体調不調時はこの限りでありません。しっかり寝て静養してください。

Q.今毎朝9時くらいに起きてるんだけど今日から7時に起こしたほうがいいの?

答えはNO。今9時にリセットされるよう体内時計が出来上がっています。本能が9時に起きているのです。ある日突然7時に起きるようになるのは時差ボケのような状態になり、心身の不調をきたすかもしれません。時間があるのなら、ぜひ徐々に慣らしていくのが良いでしょう。

こんなときは
(1)9時に起きたらまずしっかりリセットする。これ以上遅らせない
(2)15分程度ずつ、起床時刻を早めていく。
   起きたらしっかり体内時計をリセット。

もし1ヶ月後に今より早く起きる生活が始まることが決まっているなら、ある日突然起床を早めて頑張って慣らすより、徐々に早めていくことが身体に負担なく、そして確実に起床時刻を早めることができます。体内時計を見方につけましょう。

3.朝の起床を一定にしたいのに子どもが勝手に早起きするんですが問題

春から夏にかけて、冬は朝までぐっすりだった子が早朝起きするようになります。
7時起床だったのが6時半、6時、5時半・・と親の我慢の限界を軽々と突破してきます。

これは、先に述べた本能的な季節の睡眠時間の変化だけでなく、日の出時間が早くなって部屋が明るくなる時間が早くなることに起因することが大きく考えられます。
部屋が明るくなると「朝が来たんじゃない?!起きた方がよくない?!」と身体が察知するのです。残念ながら目があいていなくても光を察知するのです。(目をつぶっていてもその場が明るいか暗いか何となくわかるでしょ?)

私の住む愛知県(名古屋)の日の出時刻のデータを確認してみましょう。
2022.1  7:00
2022.2  6:51
2022.3  6:22
2022.4  5:39
2022.5  5:01
2022.6  4:39
2022.7  4:41
2022.8  5:01
2022.9  5:24
時間に多少の誤差はあれど、これからどんどん早まるのは全国共通です。

明るい部屋でもなんのその、と、ぐっっっすり寝る子もいるので光で影響を受けるかどうか、これは本当に個人差があります。
一つ確実に言えるのが、「光が入ってくるから早朝起きになるのだな」と思った時にできるのは寝室の遮光をすることです。(予防的に遮光をするのももちろんOK)
朝でも真っ暗「闇」にできるのがベター。
真っ暗闇がどんな感じかというと、一切の隙間漏れを許さない、一切の家電ランプの点灯も許さない、目を開けてもどこに誰が何があるか全然わからない、そんな感じです。

ただ、現実問題、そこまでの闇を寝室で作ろうと思うと超大変です。
絶対早朝起きを許したくないのであれば徹底的に遮光をする、寝室を真っ暗闇にできないよという場合は、こどもの様子を見ながら少しずつ強化していくのもよいです。

ここで気をつけたいのが、大人にとって「これぐらい大丈夫だろう」が子どもにとって「大丈夫でない」可能性が十分にあることです。
大人が「これぐらい遮光しとけばええやろ」という感じで遮光強化を止めるのは好ましくありません。きちんとこどもの様子を見てこどもにとって適切かを判断することを大切にしてください。
誰の何のための遮光対策か目的を見誤ってはいけません。

どちらをどう取るかは、家庭の事情や価値観やお子様の様子で決めていいです。
真っ暗闇が正義で光漏れが悪ではありません。もしかしたら光でちょっと早起きかもしれないけど別に困ってないわという具合だったらこのままで大丈夫。
遮光強化したら親も朝までぐっすりという副産物があるかも・・しれません(我が家はありました笑)

光が原因で早朝起きのこどもに「もっと寝ててもいいよ」と伝えてもあまり効果がありません。ぜひ遮光対策をお試しください。

おさらい

朝日は体内時計をリセットし、眠たくなーるホルモンの分泌も止めてくれる。
起きてほしくない時間にも起こしてしまう。冬は長く眠り、夏は短く眠る。
おぉ、太陽と人間の関係、すごい。
だったら太陽をしっかり味方につけようではないか。


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