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博士と妻 第五回 キャスガの謎

妻が大阪にやって来て少し経った日、私たちは妻の用事で中之島まで車で出かけることになった。

妻と私は、妻が大阪にやってくるのに神奈川から一緒に車に乗って来たので、車の運転は上手いことは分かっていた。神奈川から大阪までの旅路に関する出来事は改めて述べたい。

新御堂を南に向かい、途中で事故による渋滞を挟んで私たちは中之島に着いた。大阪は交通マナーが悪いとも言われているが、大阪生まれの私にはわからない。湘南ナンバーの妻は少しビビっていたが、そうでもなかったようである。用事の後、図書館に行ってランチを食べて満足して帰路についたのであった。

帰りの新御堂筋で緑地公園から桃山台に向かうあたりだった。妻が不意に「キャスガ」と言ったのである。最初何のことか私はわからなかったが、すぐにわかった。道路標識の「春日」を妻は「キャスガ」と言ったのである。私はすぐに
「キャスガってオードリーの春日がテレビに出始めの時に自己紹介してたやつやね」
とツッコむことを忘れなかった。妻は
「全て拾うね」
と恥ずかしそうにしていた。私は
「キャスガってトゥースは今でもやっているけどもうやってないよ」
とツッコんだ。私は久しぶりに聞いた「キャスガ」に笑いが込み上げて
「キャスガ、キャスガ」
と一人で唱えて笑ってしまった。そして、妻が今はもう知られていないギャグをさらっと会話に挿入してきたことに、お笑いの感度が高いと感心したのである。

妻が大阪のツッコミ文化の洗礼を受けた一日だった。

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