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交換様式についてのノート(読書日記20131219)

柄谷行人の交換様式を読む。『力と交換様式』「第4章 交換様式Dと力」

ここで交換様式を説明する時に、「原遊動性」という概念が取り上げられる。「原遊動性」は、遊牧民や漁民を「原遊動性」の記憶を備えたものとして、帝国が成立してからは世界宗教と区別しながら普遍宗教における預言者、その他ソクラテスや中国の思想、ブッダなどが挙げられている。

『力と交換様式』の前の論考である「交換様式入門」(2007)においては、『力と交換様式』では交換様式Dの説明として登場する「原遊動性(原遊動性U)」の説明は次のように述べられる。

「未開社会において、互酬交換が社会構成体を形成する原理であったことは疑いがありません。しかし、それは最初からあったのではない。人類が狩猟採集遊動民であった段階では、B・C だけでなく、Aも存在しなかった。そこでは、生産物は均等に分配されたと見てよいでしょう。遊動しているため、蓄積することができないからです。遊動的バンドは、狩猟のために必要な規模以上には大きくならず、また小さくもならなかった。集団の成員を縛る拘束もなかった。他の集団と出会ったときも、簡単な交換をしただろうが、戦争にはならなかった。このような状態を、私は原遊動性 U と名づけます。」「交換様式入門」

福嶋揚「柄谷行人と終末論」『福音と世界』2023年7月号では、交換様式と宗教、終末論について論じられているが論点は異なる。

遊動性について、少し考えているところです。

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