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パフォーマティヴな言語行為についてのメモ

今日の研究。
パフォーマティヴの理論と言語行為論は、ジュディス・バトラーが身体をめぐる行為(行動)にまで広げていることと関連して言語が実践の問題として応用されているということも含めて理解されるべきであろう。

バトラーは身体性、物質性ということを強調しているが、『ジェンダー・トラブル』はむしろ言語、言説という上部構造の問題をパフォーマティブに実践するという方法ではなかったかと思われる。

私は、修士論文では言語行為論はほぼ言及せずに、接合理論から意味作用の社会理論について考えたのだが、言語が行為や社会的な実践と関わることには常に関心を寄せているので改めてオースティンを読み始める。

コンスタンティヴな事実確認的発話の明証性は、確かにポストモダン言説以降では、ジャン・フランソワ・リオタールがいうように、大きな物語という科学的な正当性が疑問に付された言語ゲームという共同体内部の小さな物語がいくつもある状況として考えられる。リオタールは、ポスト産業社会にも言及していたはずで、ダニエル・ベルはポスト産業社会を分化された領域から社会を考えており社会学的にもいろいろと考えられる。そこから陰謀論が生まれたのは、ポストモダン言説の負の側面であろう。リオタールのポストモダン論は、英語版序文のフレドリック・ジェイムソンが決定的な役割を果たしていたともいわれ、ここでもジェイムソンが浮上してくる。

その一方で、パフォーマティヴな行為遂行的な発話も、不確かなシニフィアンの戯れに陥る可能性もある。そこで、真実ではない言説の強さを接合理論によるヘゲモニーの均衡関係における言語の闘争、意味作用の政治学から考察することが重要になってくるだろう。ここがカルチュラル・スタディーズにおける言説理論が取り上げているところであり(粟谷「カルチュラル・スタディーズと「意味作用の政治学」」)、バトラーはエルネスト・ラクラウとの共著があることからも、このあたりの議論は関連していると考えられる。

バトラーのマルクス論も読んでいきたい。

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