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迎えた入学式

いよいよ、息子の入学式を迎えた。
翌日から、親同伴の登校が始まった。まずは私が息子と娘と3人で登校。夜の帰宅が遅い連れ合いは、中間休みに私とバトンタッチする。
夜間賑やかになる上、朝から登校の準備をしなければならない私たちは、体力的にかなり辛かった。
特に連れ合いは心身ともに疲労が増し、軽い鬱状態になる。

この広い寮内に一部屋でも空いている部屋はないのか。寮生に掛け合った結果、半年の長期旅行に出かけていて使われていない寮生の部屋があることを知り、事情を伝えて留守の間借りたいと申し出た。
例によって結果が出るまで時間を要する寮のシステム。借りるまで1ヶ月かかった。

やれやれと安堵したのも束の間、借りる部屋は散らかり放題ですぐに使える状態ではない。住人は寮内でも知られる掃除嫌いらしく、数センチのホコリが積もる。
しかし、こちらも面識もない寮生の部屋を借りる身。勝手に片付けるわけにもいかず、ふとんを敷くスペース分だけ荷物を避けて、掃除機でホコリをそっと吸うしかなかった。
連れ合いはようやくこの部屋で寝泊りを始めるも、数日後に咳が止まらなくなった。ホコリが原因の気管支炎だった。

思えば、私たちは吉田寮のことをほとんど理解できていない状態で入寮していた。小学校に上がる障碍児を抱えて、少しでも「暮らせる」環境にしたいと思ったが、それは寮生の反発を招くばかりだった。

彼らにとっての寮生活には、私たちが考える「住みやすさ」を犠牲にしてでも守りたい大切な「何か」があったのだけれど、入寮当時の私たちは生活するだけで精一杯だった。
交渉のしかたが分からず「ああしてくれ、こうしてくれ」と要求するばかりに映り、「困った新入寮生」として厄介者扱いだった。
私たちは生活が滞る事態に直面することが多く、しょっちゅう揉めた。


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