「自然住宅研究会」~身体を蝕む家~

建売り住宅から新たに建て替えた家で暮らしていたころ、普段利用している自然食品店の一角で「住宅が農薬で蝕まれている」という小冊子が目に止まった。

殺虫剤・蚊取り線香・除菌剤・抗菌剤などは農薬の一種であるという。体内に取り込まれる空気の量は1日に20キログラムにもなり、有害物質は肺から血液中に溶けて体内を循環するらしい。
これまで有害物質を含む食品の購入を極力避けてきたのに、空気が汚染されていたとは!

建売り住宅に住んでいた時代は、最も危険な農薬の一つ「シロアリ駆除剤」が多用される家が多かった。建て替えた家は安全だと思っていたが、基礎周辺の木材には防蟻剤を染み込ませてあったことを知る。

吉田寮に移る前年、その小冊子の著者が「環境市民」という環境NGOに自然住宅を推進する会を設立するという。彼からコーディネーターを依頼され、引き受けることになった。
呼びかけに集まったのは建築設計士や自然素材の建材を扱う業者、高校の講師、出版社の編集者、インテリアコーディネーターなど、多彩な面々だった。

初年はシックハウスをテーマに「住まいを取り巻く健康と環境」について学習会を開き、環境先進国ドイツから講師を招いてセミナーも開いた。翌年から入門・体験・見学・交流までの一連の住宅問題を取り上げた「自然住宅市民学校」という連続講座を企画。中でも「リフォーム体験」では、プロ指導のもと壁紙の張り替えや床材を張り替えるなど、当時としては珍しい参加型のセミナーで好評を得た。

後の「エコリフォーム」の企画は、吉田寮にも繋げた。

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