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吉田寮には食堂の西側に洗濯室とシャワー室があったが、私たちが入寮する半年前に火災で焼失していた。寮生はどうしていたのか知らないけれど、私たちは毎日出る4人分の洗濯物に困った。
仕方なく歩いて5分ほどのコインランドリーに通うが、混み合っていることもしばしば。それでも何度か往復し、終わるのはいつも昼ごろになった。

大学側は簡単には再建してくれない。さすがの貧乏寮生も困っていた様子で、年度初め恒例のリサイクル市に有志数人で行って洗濯機を手に入れることになった。
卒業生のお下がりを新たに必要とする新入生などに譲り渡すイベントらしく、当時「衛生局」を担当していたK君(私達を吉田寮に介護を通じて繋いでくれた彼)から一緒にゲットしに行こうと誘われる。
私たちは個人的に手に入れたい物があったが、洗濯機は最重要品の一つ。協力することにした。

商品代金はカンパ制。希望者は指定時間内に欲しい商品を囲む。スタート合図とともに一斉にジャンケンで決定。
1台でも多くの洗濯機を必要としていたのに、協力者は4~5人程度。とはいえ、健闘した結果3台の洗濯機を手に入れることができた。

しかし置き場所がない。延焼を免れた食堂の隅に決めるも、火災の残骸の掃除や排水溝の確保に手間取り、実際に使えるようになったのは数ヶ月後のことだった。
たった3台の洗濯機では200人近い寮生に対応しきれるはずもない。2層式洗濯機による洗濯法(※)にも時間がかかり、私たちにはあまり役に立たなかった。


この頃は全自動型洗濯機が定着し始めていたが、寮生は二つの理由により、あえて2層式洗濯機を利用していた。
一つは節水のため、もう一つは故障したら自分たちで修理が可能という理由であった。「溜めすすぎルール」の解説はすぐさま貼り出された。

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