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酒よ

▼会議のため,京都に来ました。京都駅に着いたのは夜の9時過ぎでしたが,駅の中は以前来た時とは比べ物にならないほど閑散としていました。ただ,駅前に出ると観光客らしき姿がちらほら見かけられ,特に若い人たちがかなり出歩いている印象を受けました。明らかに,岡山や広島とは違った,どこか浮足立った感じがして,少し複雑な気持ちになりました。

▼宿にチェックインして,あとはひたすら部屋で原稿仕事です。岡山の自宅に居ようが京都のホテルに居ようがやることは全く変わりません(苦笑)。せっかく京都まで来たのだから何か美味しいものでも食べに行きたいところではありますが,こんな状況下でふらふらと飲みに出かけて感染リスクをわざわざ高めるわけにもいきません。コンビニで買ったパンをかじりながらおとなしくパソコンに向かっています。

▼そういえば,私は普段,滅多に酒を飲みません。せいぜい,広島で仕事帰りに行きつけのお好み焼き店に寄った時にハイボールを1~2杯飲む程度です。家にいる時はまず酒は飲みません。晩酌という習慣もありません。別に,酒が嫌いなわけではありませんし,飲みに行く時は延々と芋焼酎を飲み続けることもありますが,普段は特に飲みたいとも思いません。

▼ただし,例外的に飲みたくなる時があります。それは,土瓶蒸しを食べる時と,フグを食べる時です。前者は日本酒の熱燗を,後者はひれ酒を,それぞれ飲みたくなります。そういう意味では,私にとって酒は「料理のためのもの」であって,単独で好んで飲むものではないのですね。だから,「酒好き」と名乗ることはできないでしょう。別段,銘柄にこだわるわけでもありませんし,味の違いがわかるほど味覚が優れているわけではありませんから。

▼これまで飲んだ酒で一番美味かった酒も,別に高価なものでも有名な銘柄でもありませんでした。

▼一つは大学院生の頃,横浜のおでん屋の屋台で飲んだ麦焼酎の水割りです。当時は横浜の高校生対象の塾で働いていて,夏の暑い盛りのある日,仕事帰りに講師仲間で飲みに行くことになりました。たまたま入ろうとした居酒屋がいっぱいで,その向かいにあったおでん屋の屋台からおばちゃんが手招きしていたので,入ってみました。

▼真夏に,扇風機だけがからからと音を立てて回っている冷房のない屋台の中でおでんの鍋を囲んで酒を飲むというのは,ある意味,罰ゲームに近いものがありましたが,大きなグラスに氷と焼酎を入れ,ひしゃくでポリバケツから汲んだ水を入れて,さらに,卓上にあった自家製の梅干しとシソをたっぷり入れた焼酎の水割りは,塩辛さもきいて,実に爽やかでたまらない美味さでした。あの暑さがあったからこその味だったのでしょうね。

▼逆に,真冬に飲んだ酒で一番美味かったのは,確か西明石駅前だったと思いますが,カウンターだけの串カツ店があり,そこで飲んだフグのひれ酒でした。雪がちらつく寒さの中,体の芯まで温まり,「五臓六腑に染み渡る」とはこういうことか,と思ったものでした。

▼銘柄にこだわりはない,と言いましたが,実は,数年前,芋焼酎に関してはお気に入りの銘柄と出会いました。仕事で宮崎を訪れた時,たまたま入った居酒屋で出会った「茜霧島」という焼酎です。今はコンビニでも売られるようになりましたが,当時はまだ発売されたばかりで,岡山に戻ってからはなかなか見つからなかったのですが,その後,通販などで買えることがわかって何本か注文しました。フルーティな香りと味わいで,口に含んだ後の香りが実に素敵な焼酎です。初めて飲んだ時は「えっ!これ,焼酎なの?」と驚き,感動しました。是非お試しを。

▼そうそう,焼酎と言えば…以前は水割りばかり飲んでいましたが,今はソーダ割の方が好きになりました。あと,ちょっと不気味かもしれませんが,ミルク割も意外といけます(笑)。

▼それから,居酒屋でたまに出会うのが「ガリチューハイ」。寿司屋のガリをたっぷり入れたチューハイです。これもゲテモノのように思えますが,癖になる乙な味です(笑)。若い頃,寿司屋でガリをつまみにウイスキーの水割りを飲むのにハマっていたことがあったのですが,蒸留酒とガリは合うのではないかと思います。おそらく,砂糖が入っているからではないでしょうか。ブランデーにしてもウイスキーにしても甘いものとよく合いますから。それに,生姜についてはアルコール入りのジンジャーエールだと思えば違和感はないはずです。多分(笑)。

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