見出し画像

中学の数学 (10) パスカルの三角形と中心二項係数

[ サイトマップを見る ]


今日できるようになること

パスカルの三角形の中心にあらわれる数列の性質を式であらわすことができる。

パスカルの三角形

パスカルの三角形(図1)という興味深い数字の列があります。

図1. パスカルの三角形

1行目に 1,2行目に 1, 1,3行目に1, 2, 1 と並んでいます。これは次のルールで作られています。

  1. n 行目には数字をn個置きます。

  2. 1行目には数字を1個。

  3. 2行目には数字を2個。

  4. 3行目には数字を3個置きます(以下,続く)。

1行目の数字は 1 とします。2行目以降,自分の左上と右上の数字を足して,その数を自分の数とします。図2では4行目の数をどうやって決めているかを表しています。

図2. 数の決め方

二項展開の係数とパスカルの三角形

こうしたルールで作られるパスカルの三角形ですが,なにが面白いかというと例えば,二項展開との関係。

$${(x + y)^0 = 1}$$

$${(x + y)^1 = x + y}$$

$${(x + y)^2 = x^2 + 2xy + y^2}$$

$${(x + y)^3 = x^3 + 3x^2y + 3xy^2+ y^3}$$

$${(x + y)^4 = x^4 + 4x^3y + 6x^2y^2 + 4xy^3 + y^4}$$

係数に注目すると,パスカルの三角形と一致しているのがわかります。

図1. パスカルの三角形(再掲)

コンビネーションを使う

パスカルの三角形のそれぞれの数は,次のようにコンビネーションを使って求めることもできます(図3)。

図3. パスカルの三角形とコンビネーション

コンビネーションは組み合わせの数を用いるときに使います。
組み合わせとは,異なる n 個のものから r 個を取り出すことをいいます。例えば,a, b, c, d の4枚のカードから 2 枚取り出す仕方は,a, b であったり,b, c であったり,いろいろありますね。その取り出し方の総数は次の公式で算出できます。

$$
{}_n \mathrm{C}_r = \frac{n!}{(n-r)!r!}
$$

a, b, c, d 4枚のカードから2枚取り出す総数は次のように求めることができます。

$$
{}_4 \mathrm{C}_2 =\frac{4!}{(4-2)!2!}
$$


$$
\frac{4 \times 3 \times 2 \times 1}{ ( 2 \times 1 ) \times ( 2 \times 1 ) } = \frac{24}{4} = 6
$$

組み合わせの総数は 6 です。この組み合わせを使えば,パスカルの三角形の m 行,左から n 番目の数字を算出することができます。パスカルの三角形の上から m 行目,左から n 番目にある数字を $${P(m, n)}$$ としたとき,その数は次のように求めることができます。

$$
P(m, n) = {}_{m-1} \mathrm{C}_{n-1}
$$

中心二項係数

パスカルの三角形で中心にある数値があります。二項係数の中心にくる項の係数といってもいいです。これらの数値を中心二項係数といいます。この中心二項係数にはおもしろい性質があります。つぎの式が成り立つことがわかっています。

$$
{}_2n \mathrm{C}_n \leq 2^{2n-1}
$$

この式を使って何がわかるのか,それは別の記事で紹介しましょう。

関連する書籍

[ サイトマップを見る ]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?