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大きな課題に取り組むために"課題を共有する"方法

ファンズ株式会社 CTO の若松と申します。前回の記事では、マネジメントにおける考え方を書きました。

今回は、1人では解決できない課題に取り組むための、課題共有の重要性とその課題を共有する方法について書いてみました。


大きな課題に取り組むには人との共有が必須

「課題を自分だけで解決できる」のは組織が小規模なときだけ

私自身はもともと創業時には1人のエンジニアとして参画しました。エンジニアとして、現場のメンバーとしてコードあるいはドキュメント等で自由にアウトプットを構成することができる立場でした。

創業期から Funds の立ち上げに至る時期では、エンジニアは数人のチームで開発をしていました。そのため技術的な課題がある時に、少々込み入った問題があるとしても、自分自身でアイディアを構成して実装してしまうことができました。

設計のコンセプトなどはドキュメントやイメージなどを作っておくとしても、実装して最終的なアウトプットを示せれば十分というという具合です。

チームが大きくなると、解決するべき課題を共有する必要がある

その後チームが大きくなり、関係する人が多くなると、自分だけが分かっていても自分一人で解決してしまうというのは適切ではなくなります。属人的にもなりますし、その課題解決の方法が、自分では最適なと思っていたとしても、思わぬ落とし穴がある場合もあります。

そもそも自分自身で解決解決するというのは、リソース的な観点からも限界があります。先に述べたようにもともとは私自身が開発をしていましたが、現在では私自身がコードを書くこともほとんどありません。

課題に感じることがあったり、課題に対して解決策のアイディアを持っていたとしても、自分では解決できないことがあります。

このような状況では、どのような課題があるのかをチームや組織に伝え、伝えることを通じて課題を解決を促す必要があります。

「頭の中には解決策がある」というスタンスは、チームプレーでは通用しない

ときどき、頭の中ではできあがっている…などと言われる人がいます。しかし、頭の中でできあがっているだけでは、チームでの取り組みを実現することはできません。何が課題なのかを説明できる形に言語化し、組織の中で課題感を共有できる必要があります

課題共有の前に、自身が課題を深く理解しておく

先ほどのまでの話の中で、課題解決のためには、関係者やチームメンバーにも課題を理解してもらう必要があることを述べました。それでは実際に課題を理解してもらうためには、どのようなことが必要なのでしょうか。

課題を他人に理解してもらうためには、まず自分自身の課題に対する解像度を高くしておく必要があると考えています。

課題についての理解が浅いと、人に対して適切に伝えることはできなかったり、その伝え方が十分ではないために、課題に対する理解が得られない場合もあります。

課題はどのような影響を及ぼすのか?

課題に対しての洞察を深めてみると、そもそも課題だと思っていることが、本当の課題ではない場合もあります。

例として「システムの設計が適切ではない」という課題を挙げてみます。

設計が悪いこと自体が課題であるようにも思えますが、本当にそれは正しいのでしょうか?「システムの設計が適切ではない」という問題の理解を深めてみると、次のようなことが考えられそうです。

  • 機能改修のコストが高い

  • 不具合を生み出しやすい

  • 組織の維持や新規人材獲得に対して不利になる

これらの課題に対して、ソフトウェアの設計や実装を見直すことも手段の1つですが、唯一の手段ではないことも同時に認識できるのではないでしょうか。

本当にその課題は重要なのか?

課題の影響を考えた上で、そもそも課題だと思っていることが本当に重要な課題であるのかも考えておく必要があります。また課題の重要性を判断するには、前提となる環境や条件も認識しておくことが必要です。

例えば、ソフトウェアに設計上の問題があったとしても、ほとんど機能改修が行われないものであれば、わざわざコストをかけて設計を改修する必要性は限られます。

また、多少の不具合が生じようともミッションクリティカルなシステムでない場合は、不具合を許容しやすいこともあるかもしれません。

課題を定量的に分析しておくことも大切

ここまでは定性的な考え方を軽く説明しましたが、定量的にも分析しておくと、重要性をより適切に評価することができます。

例えば、機能改修のコストが掛かる、不具合を生み出しやすいという観点については、次のように掘り下げることができます。

  • 機能改修のコストについて、もし追加機能の開発が必要な場合にどれだけ工数の差が出るのか?

  • 不具合はどのような不具合が考えられ、どのくらいの損失が生まれる可能性があるのか?

時間や金額、またその発生可能性を考えてみると、感覚的には重要そうでも、意外と定量的には重要ではなかったり、逆に想像よりもインパクトが大きいなんてこともあります。

定量的な分析では「仮定」を置いておく

定量的に分析しろと言われても、ケースバイケースだからそんな簡単に評価できない、と思われる方もいると思います。

その通りです。現実の課題というものは往々にして複雑なもので、ほとんどの課題は一元的に判断することはできないでしょう。

一方で、ケースバイケースだからといって考える努力を放棄してしまうと、やはり課題に対しての共感を得にくくなる局面もあると思います。

このような時には一定の仮定を置いて考えてみることも1つです。仮定を置いておくことで、仮定に対しての裏付けを取ることも、仮定を変えて考え直すこともできるようになります。

相手が大事にしている観点を踏まえて伝える

先ほどまでの点で、システムの設計適切ではないという課題を例に、どのように課題への理解を深めていくことができるのかを述べてみました。

実際に課題を共有する上では、課題を伝える相手が何を大事にしているのかということを理解しながら伝えることも重要です。以下では先ほどの例を題材にしていくつかのケースを考えてみます。

リファクタリングの必要性をソフトウェアエンジニアに伝える場合

課題を共有する相手が同じソフトウェアを開発する同僚のソフトウェアエンジニアであれば、リファクタリングの必要性については大まかな課題提起でも理解を得られるでしょうし、それで十分かもしれません。

ただしソフトウェアエンジニアだからといっていつでも無条件に課題が伝わると考えるべきではありません。そもそも問題となる技術を理解していない場合は前提となる知識から伝える必要がありますし、ドメイン特有の観点がある場合などはそれらも伝える必要があるでしょう。

リファクタリングの必要性を事業責任者に伝える場合

課題を伝える相手が事業責任者であれば、事業計画の達成に対してどのような影響があるのか、 PL や KPI をどれだけ改善できるのか?という点を気にするでしょう。

このような事業責任者に対し、リファクタリングの重要性を説くために「リファクタリングという考え方があって〜」とか「システムの継続的な運用には必要なこと」などという説明をしても伝わりませんし、適切ではありません。

システムの安定性がユーザーの体験に影響を与えて機会損失を生じるとか、メンテナンス性が損なわれて将来のプロダクト開発の競争力を失うなどという観点を起点とし、それが将来の PL や KPI に対してどのように影響を及ぼすかなど、事業責任者の視点で気になる観点から重要性を説明することが必要です。

リファクタリングの必要性を財務責任者に伝える場合

同様に財務を握っている財務責任者に対して伝えるのであれば、どれだけのコストやキャッシュフローの拠出があるのか、またそれはどのように回収できるのか、取り組まなかった場合にはどのようなリスクがあるのかなどを説明する必要があるでしょう。

また将来の IPO やエクイティファイナンスを見据えるうえでは、エクイティストーリーを描く必要もあります。現在の変更が将来どのように影響するか?どのようなビジョンの実現可能性に影響するのか、なども説明できると、一定の説得力を持つのではないかと思います。

課題をうまく伝えるために意識したいこと

大きな課題であればあるほど、伝える労力が必要なことを覚悟する

複雑な課題やややこしい課題であればあるほど、そもそも課題を伝えるのも億劫であったりします。特に同じチームで仕事をしている人であれば伝えることは簡単でも、コンテキストを共有していない人に伝える場面であれば伝える場面であるほど、前提として共有できていることは少ないはずです。

そうした時に前提の話から進めていくと、導入のための話がすごく長くなってしまい、めんどくさいなと感じてしまうこともあります。

なのですが、大きなことを取り組もうとする場合、伝えるにもそれなりの労力が必要なことを認識するべきだと思っています。

もちろんツーカーで仕事ができるほうが仕事がしやすいこともあるでしょうが、取り組むべき課題が大きなものであればあるほど、専門分野を超えた連携や・コンテキストを共有しない方々を巻き込んでいくことが求められます

課題を伝えるために最適な手段を使う

課題の伝え方としても、口頭だけで伝えるのではなく、文字やテキストで言語化することも必要です。またロジックや因果関係を説明するには、図表を使うなどして、うまく伝わるようにするのも有用なアプローチです。

個人的には、たいしたことのない内容でも誤解なく適切に伝えたいことがある場合は、できるだけ資料を用意してうまく伝えられるように工夫しています。

また自分の意見だけではなく、第三者目線からの意見やファクトがあると、説得力を増すことができます。ただし第三者目線の意見はあくまで傍証としてのものであり、それがなくとも説明できるものにとどめるべきではないかと考えています。

課題を理解してもらえる人が1人いると伝えやすい

課題を共有するときに。前提を詳細まで説明しなければならない課題や、複雑な問題の場合など、課題感を共有した時に、なかなか理解してもらえないこともあるでしょう。

このような時に、同じチームの中で1人でも課題感を理解してもらえる人がいると、状況はだいぶ異なってきます。課題感に伝えた時に、そうだよね、という声があることで、1人よがりの意見ではなく、一定の妥当性があるものであると見えてきます。

課題を共有できるキーパーソンに課題を理解してもらい共感を得ることで、課題の伝達しやすくすることもできると思います。

まとめ

今回の記事では、大きな課題を進めていくにあたっての課題共有の重要性、どのように課題を共有していけばよいかという話を書きました。

「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」という有名な諺もありますが、大きな課題を解決するうえではどれだけ多くの人たちに対して課題感を共有し、巻き込んでいくことはとても重要なことのように思います。

ファンズが解決しようとする課題

ファンズは、「未来の不安に、まだない答えを。」というミッションのもと、「国民的な資産形成サービスを創る。」というビジョンを実現し、将来の資産形成にまつわる課題解決を実現しようとするスタートアップです。

まだまだミッション・ビジョンが実現するには課題も多く、道のりは長いと感じてはいます。しかしそれでも、代表の藤田を筆頭にミッション・ビジョンを伝え、社内外の方々に共感を得られているからこそ、組織としてこの課題にチャレンジさせてもらえるのだと思います。

さまざまな人を巻き込みながら、ファンズとしての社会課題の解決を実現していければなと考えています。


ということで、以下はファンズが実現しようとする世界へ共感していただける方へ。

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