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セレモニー#2

2階のベッドを予約していた私たちはぐっすり眠ることができて、起きたのが11:30頃だった。友人はベッドの中で仏教の本を読んでいた。

この家は相当広い庭があり、奥に行くと、木々が茂ったキャンプサイトもある。おそらくミュージシャンの家で、スタジオのような設備と楽器が所々にある。庭でお茶を飲みながら昨日を振り返る。

12:30頃食事の合図があった。24時間何も食べていないので、本当にウキウキとキッチンに行く。

その場にいた10人くらいの人たちと手を繋ぎ輪をを作る。食べ物への感謝のを述べ祈る。自分でも驚いたが、本気で食物が育った大地、食事、食事を作ってくれた人たちに心から感謝できた。

食事は全てヴィーガンで、スープ、サラダ、キヌアと稗、パン、チアシード、フルーツ。全て抜群に美味しかった。友人はこのコミュニティーは食事が美味しいからいいと言っていた。確かに1日1回しか食べれないからより美味しいものを食べたい。

食事が終わると自由時間。川へ水浴びしに行く人もいれば、昼寝する人もいる。私たちはお腹がいっぱいすぎたので、後でヨガすることにして、キッチンで昨日の体験を書く。
シャーマンKが起きてきて、食事をしながら少し話した。

Kはこのコミュニティーでセレモニーを初めて15、6年経つという。昨日の感想を聞かれ、”Beautiful experienceだったけど、もっと深くまで行きたい”というと、”New Born Baby. 参加してくれてありがとう”と笑いながらハグしてくれた。

アヤワスカは人によっては本当の体験を3回目くらいでする人もいれば10回かかる人もいるから、あまり期待しすぎないように。私があなただったら、もっと怖がっているわ、と言われた。
10回は嫌だ。

Kは強くて優しくて、友人Sに似ているなーと思う。

長い昼寝から目を覚ますともう夜9時近くなっており、皆着替えをしている。私も急いで準備をして下に降りる。今日こそはシャーマンKが初日に言っていた”アヤワスカとは天地への乗り物”とやらを体感したい。Kから新人へ注意事項が伝えられる。”自分をしっかり観察し、信頼すること。植物の力を信じること、自分の身体に耳を傾けること。呼吸すること。”

皆部屋に集まり、昨日同様立ち上がり祈りを捧げる。

ハペの吸引が始まる。私は”あー嫌だなー”と思いながらもSが”あの人上手”と言ってた女性の列に並ぶ。昨日より量が多く、ものすごい強い刺激が脳を覚醒する。席に戻り、私もおっさんばりに痰を吐き出す。もう羞恥心なくできる。周りもガーガー吐いている。ちらっと見るとすごい量を吐いている男の子がいて、気分が悪くなる。

ひと段落ついたらアヤワスカを飲み始める。今回も皆より少ない量が注がれ、少し不満に思いながらも飲み干す。2−30分ほど沈黙し、演奏が始まる。ポルトガル語の曲なので、さっぱり分からず、ついていけなかったが、わかるとこだけでも歌う。正直、そうでもしないと眠気が襲ってくる。

1時間くらいたち英語の曲に変わった。昨日効きだしたのはこのくらいの時間だと思い、自分の感覚に集中してみるが、全然何も感じない。そうするうちに2杯目が配られる。友人SはKにもう少し多くついで欲しいと言っていたが、”後でね”といなされていた。

2杯目は飲んだ直後早々に気持ち悪くなった。しかも結構気持ち悪い。
周りはゲーゲー吐いてる人もいる。私も吐きたいと思いながら、歌う。寒気がきて、吐き気も強くなる。すごくしんどくて、高いお金を払って、わざわざこんなところにきて私は一体何をしているんだろう。もう絶対やらない!と強く思い、唾をバケツにはく。気持ち悪さだけで、トリップ的な何かを感じないまま、歌を歌い時間が経っていった。

そうすると3杯目が希望者のみにサーブされ始めた。気持ち悪さが勝ち、あのまずい味を思い出すだけで更に気持ち悪くなり、並びに行く勇気が出なかった。

だんだんと、寒気が強くなり体の感覚が麻痺してくる。欠伸が止まらず、目を開けてられないし、口はずっと半開き。視覚に集中してみるが、何もビジョンは見えない。夢と現実を行き来する。後から知ったが、効き始めるときに、酸素を欲し欠伸がでるらしい。よく聞いているオードリーのオールナイトニッポンの夢をみながら、自分の底の浅さに驚く。思ってたんと違う。精神世界を旅したかったのになぁ。

そうするうちに最近失恋した相手を思い出す。このときはまだ少し引きずっていて、今日で消化できればいいなと思った。その時かいたメモは”人と比べない。自分に集中すること”だった。月並みだが、これは本当にずっと目標にしていることだ。

一部屋に30人くらいの男女が白い服を着て、吐いたり、号泣したり、歌ったり、踊ったり。すごく不思議な光景だなーと冷静な自分がいるが、目も開けていられず、ネオンブルーの幾何学模様が見えている自分も結構キマっていたみたい。そんなことを考えているうちにシラフに戻って行く。3杯目飲めばよかったとすごく後悔する。

2回目のハペが行われ、目がさめる。長い時間歌を歌い踊る人もいる。皆シラフに戻ってきた様子。完全に素面だが、ずっと座っていて体も痛いので、立って踊る。かれこれもう始まってから7−8時間経っていたと思う。

恐らく午前5時ごろ、4杯目が配られる。

お願いだから効いてくれと思いながら飲み干す。皆席に戻ると座椅子を倒し、寝始める。私は座っている方が効きやすいと効いたので、しばらく座るが、眠気に耐えきれず横になる。少しうとうとして目が覚め、目を開けると美しい花の幾何学模様が見え始める。変化して行くヴィジョンを見ながらいつのまにか寝入ってしまっていた。次に目を開けるともう空が明るくなっていた。

突然女性の声で語りが流れ始める。
”本当のあなたは誰?悪いことに目を向けることは簡単だけど、自分を愛しなさい”的なことを言っていたと思う。

皆少しづつもぞもぞと動き出す。すると突如大音量でゴリゴリのトランスミュージックが流れ始める。皆起き出し、座椅子を端に寄せ踊り出す。

すごくみんな楽しそうに踊っていて、私も眠気と戦いながら起き上がり踊る。Kも友人Sもみんな踊っていた。クラブの様。30−40分くらいすると音楽が止まり、皆着席した。再度ソングブックを開き、サンスクリット語のマントラを歌った。

なぜか急に涙が出そうになる。恥ずかしくて、しばらくこらえていただが、今回の自分の目標を思い出して、なすがままにと自分に言い聞かせる。
そうすると嗚咽が出そうになる程涙が止まらなかった。泣きながら、なぜかすごく温かい気持ちになった。何曲か演奏し、セレモニーが終わった。

後に数度アヤワスカを体験しているが、最後のこの時間は必ずと言っていいほど泣けてくる

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