何度目かのアヤワスカセレモニー in NY #5

しばらくすると目が開けていられなくなくなるが、蝋燭の光に集中し、目を開けようと努力する。必死にこの場にとどまろうとするが、すぐに自分の世界に入っていきそうになる。ソングブックもぼやけて全く読めない。行き来しながらも、ほぼ無意識にマラカだけは振り続け、吐き気を覚えながらも”マラカは現世にとどまらせてくれる楽器なんだ!”と静かに感動していた。しばらくその葛藤をしていると、徐々に気持ち悪さが抜けてくると同時に少しづつふわっとした幸福感を感じる様になる。

濃い黒紫が渦巻いたような世界に段々と柔らかくて暖かい光が差し込んでくるようなイメージが入り込んできて、気持ちも身体も穏やかな波を感じるようになる。本当に真面目にソングブックを見ながら参加している隣の友人を美しく、愛おしいと思い、目の前に座っている素敵な夫婦を見て笑顔が溢れてくる。

そんな幸福感を感じると同時に、段々と目が開き、頭がはっきりしてくるのが分かった。なんとも言えない高揚感を感じ始め、立ち上がり、音楽に合わせてその場で踊りはじめる。周りを見ると数人同じように立ち上がり踊っている人がいた。

彼らはどんな光景を見ているのだろう。

身体が音の波が物理的に包まれているような感覚になり、無限という物質がアメーバのように脳に入り込んで私の時間感覚を操っているような錯覚に陥った。実際にどれくらいの時間だったのかはわからないが、時間という概念がない空間に滑り込んだようだった。

段々と戻ってくる感覚を自覚し始め、時計をみるとまだセレモニーが始まって3時間も経っていない事実に驚愕し、自分な感覚の変化に恐怖すら覚えた。特に3杯目からもう何時間も何時間も経っている感覚だった。

最後の余韻を感じている時に4杯目のオファーがあった。少し悩んだが、とても長い長い旅から帰ってきたばかりなのと、すでに大きな充実感があったので、飲まないことを選択する。いつもなら自分が何か大切な経験をミスするんじゃないかと、がめつい性分が出てくる所だが、今回は最初の少しの迷いはあったものの、はっきりと選択できた事が嬉しかった。

その後1、2時間歌い、踊った後シャーマンからのアナウンスメントがあり、セレモニーの終わりとが告げられた。メンバーの一人が用意してくれた焚き火にあたりに外に出る。新月の夜だったので、満天の星に感動し首が痛くなるまで一人で眺めていた。

焚き火の周りでは皆パイプでタバコを吹かしたり、ギターを弾きながら静かに歌ったりと、誰も会話はせずに過ごす。友人が持ってきてくれたヨガマットに寝転び星空を眺めた。

テントに戻った頃には結局4時頃になっていた。
最初の夜は主に浄化のために使われ、2日目の夜はもっと深い旅に入る。体力を回復させるためにぐっすりと眠る。


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