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S660のドアノブのポケットカバーを作ったよって話

新商品を発売開始しまして

初回は合計11セットだったんですが瞬殺という感じで、待機していたのに買えなかった方には非常に申し訳ない…。
初回ロットで特に不具合が出なければすぐに再発注しますので、よろしくお願いします🙇‍♂️

開発のあらまし

愛車であるS660は2015年3月から生産が開始され、丸8年が経過。
私のも2016年納車で7年が過ぎ、走行距離もそろそろ10万kmに達しようかというところです。
そうすると、クルマの端々の傷みが気になってくるわけで。
特にこのドアハンドル周り…。

あんまり傷が写ってないけど

指を突っ込むポケットの部分が擦れて傷付いてしまっています。
ここにカバー付けたいな~と思ったのが開発の始まりです。

実は先行品がある

実はそういうコンセプトの先行品は既にあって、
ユニカーボさんの「S660リアルカーボンドアハンドルカップ」です。
本物のカーボンを使った製品で、非常に完成度が高いです。

が、お値段が…結構する…という…。(16,500円+送料)
カーボン製品なので、そんな大量にポンポン作れるものではないでしょうし納得のお値段ではあるのですが、小遣い月2.5万円マンには高嶺の花です…。
同じように、欲しいけど手が届かず指を咥えているオーナーさんが結構いるのでは?と思って、やってみる事にしました。

型取りに難儀する

要は凹みの形状をそのまんまコピって、干渉する部分をカットすれば良い分けですが、どうやって形状を捉えるのかが問題です。

とりあえず紙粘土を詰めてみた図

とりあえず粘度での型取りを試したのですが、奥の方まで入れ込むのと取り外しが難しく、なんだかイマイチでした。
仮に形状を上手くコピーできても、その後のモデリングでいちいち書斎⇔ガレージの往復をしながらトライ&エラーをやるのはめんどくさすぎるので

ハンドルだけ買いました!(ヤフオクに片側だけ出てた)
で、これを3Dスキャナでメッシュデータにしました。

フィッティング調整地獄

ハンドル側のモデルは出来たので、あとはそれに合わせて地道にサーフェスを描いてモデリングしていきます…。

線がヨレヨレ
とりあえずそれっぽいのは出来た
スライスにかけたら線のヨレヨレ具合がはっきりと😂
初回にしてはそれなりですが、やはり若干の隙間が

で、ここから調整地獄の始まりです。

積み上がる試作品

数十回の試行錯誤の末、これでどうや!!というところまでいけたので、試作品を発注しました。

いつものMJF方式で出力
良い感じ

で、最後の微調整を入れて製品版を発注するも、注文殺到で瞬殺だったというわけです😂

製品版

ちなみに、取り付けは付属の両面テープでペッと貼って貰うだけです。

外装用両面テープ貼り付け済み

貼り付ける位置で結構フィット感が変わるので、事前にどの位置が良い感じになるか確認してから貼るのがおススメです!

MJFナイロンも万能ではなく

MJFのナイロンは異方性がなく、機械特性、耐薬品性、耐熱性、諸々優秀ですが、尖ったエッジの出力は苦手で、検品の段階で結構引っかかります。
しかしこのエッジを丸め過ぎるとフィット感に影響が出て来るので悩ましいところです。(後々歩留まり改善はやっていきたい所存)

B級品としてどっかで放出しようかな…

あと、耐候性の問題もあって…。
今まで屋内や車内で使用するものしか作ってこなかったのですが、今回はガッツリ屋外で使用する物です。
気になったので調べてみると、約4年間相当の耐候試験結果がありました。

https://www.3dees.cz/images/printers/hp/certifikaty/Accelerated-Weathering-Mechanical-PropertiesHP-Multijet-Fusion-3D-printed.pdf

この結果からいくと、ヤング率の安定性は高いものの引張強度が劣化するみたいですね。
硬さは維持できるけど、受ける応力に対して破壊に至る閾が下がると…。
脆くなっちゃうみたいです。
まぁ、そんなに応力を受ける部品ではないので大丈夫…?

退色の方も心配で、こんな論文がありました。

https://www.researchgate.net/publication/355289567_Mechanical_properties_and_fracture_characterization_of_additive_manufacturing_polyamide_12_after_accelerated_weathering

試験に1500時間かけてみたらめっちゃ退色したよって、衝撃の画像が…w
ただこれ結局現実時間に換算すると何年になるのか?というのがイマイチよく分からず、なんとも言えない感じでした。

というわけで、屋外使用で何らかの影響が出るのは明確なのですが、実用的な期間でどうなるかはよく分からないという雰囲気です。
なら自分で試験やってみるかとも考えてみました。
しかし、試験の見積りを取ってみると、年間の売り上げ全部持ってかれるぐらいの費用感だったので諦めました…。
なので、商品説明に「耐候性は不明なので塗装や耐UVコーティングをおススメします」という文言を付け加える事に。

ここは自分でもイマイチと思ってるポイントで、なんかどうにかしたいんですが…うーん。
とりあえず自分のクルマで実用テストはしているので結果が出るのは数年後ですね…。

是非レビューをお願いします

あと数日ぐらいで初回ロットが全国に届くと思うのですが、レビューを読むのが非常に怖い😂
自分で使ってみて不満がない程度には頑張ってるつもりではあるのですが、市場でどう評価されるのかとても気になります…。
特に今回は "フィッティング命!" というタイプ商品なので…。
良くも悪くもSNSにレビューを投稿頂けると幸いです🙇‍♂️

2023年7月3日 追記:

当初は↑上の様にどんな評判になるかビビッてたのですが、おかげさまで非常に好評で、1ヶ月ちょっとでそろそろ累計販売が200セットに届くかという感じです。
この勢いがどれだけ凄いかというと、去年の10月から販売を開始したドリンクホルダーの累計販売数と同じぐらいで、こんな勢いで売れるとは全く予想していませんでした😂
一時品切れになったり、なかなか購入できなかったりとご迷惑をお掛けして申し訳なかったです。

今のところ在庫は豊富ですので、是非ご検討ください!

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