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調整トレーニング

今週末より、大学野球の春季リーグ戦が開幕する。
ここからリーグ優勝を目指し、8週にわたる試合期となる。
さらに優勝を果たすと、その翌週より開催の大学選手権に駒を進め、大学日本一への挑戦権を得ることになり、そこまでを想定すると、10週間の戦いとなる。

ピリオダイゼーションという言葉が浸透し、ターゲットとなる試合・大会に向けて、計画的・段階的に強化し、仕上げていくということはどのチームにおいても行われるようになってきている。

また、いよいよ試合を迎える段階になると「ピーキング」をすることになる。
ピーキングに関する細かな考え方や理論背景等は、別の機会に綴るとして、今回は大学野球のリーグ戦を戦う上での調整トレーニングのイメージをざっくりと記していきたい。

「調整トレーニング」と聞くと、何か特別なことをするという印象を持つ方もいるかもしれないが、ベースはその前の段階で何をどのぐらいやっているかに依存すると、私は考えている。
つまり、それまでに何週間かかけて取り組んできたトレーニングの内容が前提となって、重量・回数・セット数、あるいは時間や頻度を調節していくことが調整トレーニングの基本となるのだ。

以前、トレーニングを見学に来られた方で、たまたま試合週の調整トレーニングを見られた方が「試合前なのに結構重い重量でしっかりやるんですね」とコメントされたことがあった。
しかし、それはその方にとって重い重量と感じたのかもしれないが、その選手にとっては普段扱っている重量から落とした、無理なく扱える重量であり、十分に「調整」となっていたのだ。

さて、話を本題に戻す。
リーグ戦は、試合週と試合のない空き週があり、試合週には調整、空き週は強化に充てるというのが基本的な考え方となる。
あるキーとなる種目とその重量を例に、試合期の理想的なイメージを記すと以下のようになる。

例えば、ある選手がスクワットをリーグ戦開幕の前週までの段階で、メインセットで150kg5回挙上していたとする。
それを基に、リーグ戦でのトレーニングのプランを立てると以下のようになる。

①試合週-1:スクワット140kg5回
②空き週:スクワット155kg3回
③試合週-2:スクワット140kg5回
④試合週-3:スクワット140kg5回
⑤空き週:スクワット155kg5回
⑥試合週-4:スクワット145kg3回
⑦空き週:スクワット155kg5回
⑧試合週-5:スクワット145kg3回
⑨空き週:スクワット155kg5回
⑩試合週(選手権):スクワット145kg5回

リーグ戦の終盤ともなると、当然疲労が溜まってくる。また春季リーグ戦は徐々に気温も上がってくることから、体重コントロールも難しくなってくることから、なかなか上記の通りにはならないが、選手にイメージとして伝えているのは上記の通り。

ざっくり言うと、普段メインセットで扱っている重量(Max)のー10kg程度で調整し、空き週では可能な限りチャレンジして重量アップを図る。
そして、上手く挙上重量が伸びると、同じ調整でも、リーグの序盤よりも終盤の方が扱う重量が重くなり、筋力が上がった状態で終盤の優勝がかかった試合、さらには大学選手権を迎えることができるようになる。
もちろん、かなりアバウトなモデルで、どの種目もこのような重量の増減幅ではなく、また選手によっても全然変わってくる。

ただ、大事なことは試合期に入ったからと言って、特別な内容に変えたり、極端に重量を下げたりしてしまうのではなく、調整と強化を繰り返しながら、右肩上がりでレベルアップしながら試合期を戦い抜くイメージを持つことなのだ。

そして、これをもっとマクロな視点で、1年の周期で考えると、大学リーグなら、春季よりも秋季の方がさらにレベルを高めて戦うということになる。

果たして、このイメージ通りにいくのか。
トレーニングが、野球という競技における試合の勝敗に、どれほど影響を及ぼすものなのか、未だに分からないが、たとえそれが数%の影響(貢献度)だとしても、そこを担う者としてイメージを描き、プランを立てながらアプローチしていきたいと思う。

JPFストレングス工房
鬼頭 祐介

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