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先行指標と遅行指標から見るプロダクトマネージャーの役割とは

はじめに

この記事はZOZOテクノロジーズ #4AdventCalendar2019の記事です。昨日は@tkaniさんのPostmanで301リダイレクトをテストしてみるの記事でした。

ZOZOテクノロジーズでPMをやってるysk_urです。広告やったりとか画像検索やったりとか他AI関連プロダクトとかをやってます。
プロダクトマネージャーのみなさん、色々施策を回していると、ステークホルダーとのコミュニケーションで困ることがありませんか?

先行指標と遅行指標とは

まず、その前に先行指標と遅行指標について。KPIと一言で言っても、何か施策をして直接的に伸ばした指標なのか、それが結果的に伸びた指標なのかの切り分けがうまく出来ていないことも多いです。
施策を行い直接的に変化させることができるのは先行指標です。(先行指標に変化がないことももちろんあります。)
先行指標が変わった結果、遅行指標に変化が生まれます。

参考
https://www.dentsudigital.co.jp/reports/2019/1128-00001/page1.html

先行指標と遅行指標の事例:ダイエット

先行指標と遅行指標についてダイエットを例に紹介します。
運動や食事制限をした結果として、体重が減ります。先行指標が変化しないことには、体重は減りません。
変えることができるのは、運動や、食事と言った行動であって、体重でないことがわかるかと思います。

機能を追加(改善)するということ

では、PMの業務における先行指標と遅行指標についてです。簡易的に、既に機能Aと機能Bが存在する特定のページに機能Cを新規に導入する事例で説明します。

この事例では、機能を追加するという行動で、変更前のA+Bの利用率が90%のものが、変更後で利用率はA+B+Cで70%になっています。Cの機能を導入した結果、機能全ての合計の利用率が20%減少しています。
では、この機能Cは良いものだと言えるのでしょうか?機能Cを追加したことで、離脱が増えててるので良くなさそうですが、まだこの指標だけではわかりません。

ここでわかることは、
・機能Cを使っている人は特定ページに来た人のうち10%
・機能Aの利用者は20%減少
・機能Bの利用者は10%減少
・離脱は20%増加

遅行指標はどうなるのか

では、結局この施策は良かったと言えるのでしょうか?
以下のような結果だったと仮定しましょう。

よくある回答例

経営者:Q.あの新しく追加した機能Cはどうだったの?(売上は上がったのか?)
PM:A.あの機能の利用率10%で、売上は300円でした。
経営者:お、おう。(いや、そうじゃなくて、結局プロダクトは良くなったのか?売上が伸びたのか知りたい。)

このコミュニケーションでは、(いくつか問題がありますが主に)以下の点で情報の粒度がずれてしまっています。
・このPMは機能のみにフォーカスが寄りすぎており、全体としての話ができていない
・先行指標と遅行指標を切り分けて話すことができていない

理想の回答例

経営者:Q.あの新しく追加した機能Cはどうだったの?(売上は上がったのか?)
PM:A.あの機能での売上は300円でした。全体としては、離脱率が20%増加するネガティブな要素もありましたが、機能Cの売上が大きいため、全体で100円のアップとなりました。
ただ、離脱率20%増加と100円増加のどちらを取るべきかで悩んだのですが、今期は売上を重視するべきだと思うので、機能Cの導入は成功として進めたいです。また、離脱の増加に関しては施策Dで解決できそうな目処があります。
経営者:OK。それで。

全ての指標が完璧に良くなる施策だけではないので、「結果の解釈がそのタイミングで重視すべき事項により変わる」場合もあります。
いろいろなものをトレードオフして、その場その場で会社やユーザーなど各ステークホルダーに求めらている選択を総合的に判断して決断することも必要になってきます。

先行指標と遅行指標から見るPMの役割

PMの役割の1つには、「エンジニア・デザイナーと一緒に先行指標を変化させて、経営者に対して遅行指標への影響をレポーティングする必要がある」とういうのがあると思っています。
(※両方の指標に対して全ての関係者が業務をしていることは言うまでも無いです。)

施策の期待結果(遅行指標)を伝え、企画の承認を取り、先行指標を変えるために施策を実行する、その結果の遅行指標をレポーティングするという流れがよくあるのではないでしょうか。

おわりに

直接的に変えているのは先行指標で、遅行指標は結果的に変わっているという点に気付いてもらえると嬉しいなと思っての記事になります。

先行指標が変わるタイミングでプロモーションなどで打ち出すことで、そもそもの規模が増えて売上が伸びてるみたいなこともよくあるので、注意して事実を切り分ける必要があります。

明日は@iiizukkeyiiiさんの投稿になります。
何を言ってるかわからないと思いますが、今年の弊社はアドベントカレンダーが5つもあります。是非他のも読んでください。

ZOZOテクノロジーズ #1AdventCalendar 2019
ZOZOテクノロジーズ #2AdventCalendar 2019
ZOZOテクノロジーズ #3AdventCalendar 2019
ZOZOテクノロジーズ #4AdventCalendar 2019
ZOZOテクノロジーズ #5AdventCalendar 2019

あと、おすすめの本を貼っておきます。



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