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房総半島一周280K〜ジャーニーじゃなくてサバイバルレース(千葉サバ)だった件

7月15〜17日の三連休はコロナ禍以降中止だった分水嶺トレイルが再開すれば参加予定だったけど、結局、今年も中止になってしまったところへちょうどハマったのがこのイベント。千葉県民だし、房総半島は大好き、あちこちを走ったりドライブしたりしてるので庭みたいなもんだとジャーニー気分でエントリーした、と言うか“してしまった”のだ。何しろ7月の半ばの暑い最中に超がつく長距離を走るなんてのは正気の沙汰ではない。ジャーニーランの経験はあるけどなんでこの時期に?まぁ他の大会との兼ね合いとか大人の事情なのかなとか思いつつ、身体がどんな具合になるのか半ば人体実験のつもりでとにかく出走してみようと心を決めた。

今年は6月24〜25日に甲州道中“鳥の旅”に参加して途中リタイアしたけど167kmほど走った。

真夏に走るのも初体験だが、100マイル走った3週間後に超長距離を走るのも初体験。疲労を溜めるより抜いた方が良いと考えてこの間はほとんど走らず。1週間前に30km走で暑熱順化と脚への刺激入れだけして大会を迎える。

コース全容はこれ。

コースマップ

赤のマークがエイドで紫のマークがチェックポイント。チェックポイントで写真撮って通過したことを次のエイドで証明する。エイドでは腕にはめたタグで時間計測する。南の方に寄ってるのでチーバくんに見えないのがちょっぴり残念。チーバくんを描くと何キロになるんだろうか?
こんど描いてみよう。
言っとくけど走りませんからね。
あくまでも地図上で。

チェックポイントとエイド、エイドの関門時間、関門時間から算出したエイド間平均ペースはこんな感じ。黄色の網がけがエイドで、網がけの無いところがチェックポイント。

チェックポイントおよびエイド

最後の2区間の平均ペースがキロ10分代と速い。それまではだいたいキロ11分代なのに。
ふつうは距離が増すほどペースを落とすのでは? 自分みたいな一般人には計り知れないけど、おそらく超◯態をスクリーニングするという主催者の意図なんでしょう。まっ、そこまで辿り着ける自信も無いのでどうでもいいけど。

スタート(10:00)
スタートはゆる〜い感じでジャーニーの雰囲気。 

(スタート)パデル&フットサル晴れのち晴れ

そんなに大勢いるわけでもないのに知り合いが結構いたりする。なにしろ◯態の集まりやからね。

スタートして国道16号線を延々と走る。

走り始めは脚が元気なのでハイペースで走れるんだけど、都会は信号も多いので、速いからと言ってどんどん先へ行けるわけではない。信号の変わり目を狙って早過ぎず遅過ぎずペースを調整しながら前へ進む。

途中、金子康代さんの私設エイドがあった。
まだまだ元気な頃。

木更津駅東口無縁観音講

第1チェックポイント(木更津駅東口無縁観音講)通過。街中は風通し悪くて暑い。人間は暑くなる環境を自ら作り出して暑がっているだけかもなぁ。

富津岬向かう国道16号線。以前走ったことあるんだけどこんな暑い日じゃなかったし、向かい風のせいかなんだかとても長く感じる。

夕暮れの富津岬

ようやく辿り着いた第1エイドの富津岬。ちょうど陽が沈む前で海風と景色に癒される。ここら辺は初日だし、まだジャーニー気分だったように思う。

富津岬から逆サイドを走る。
気温も下がり、向かい風も和らいで順調に走る。

19時過ぎ。夜を走り切るためにコンビニ弁当で腹ごしらえする。

志駒不動様の水

これが第2チェックポイント「志駒不動様の水」。写真撮り忘れたけど蛇口が並んでて水が常時出っ放しなのでびっくり。ガブガブと水(冷たくはない)を飲み、水筒に補給して前へ進む。

パクチー銀行

第2エイドのパクチー銀行に到着。真っ暗闇を抜けた後に快適なカフェ空間に抱かれて安堵の気分。スタッフやボラやってる知り合いにも会えて談笑。孤独に走って来たからこそ、このひと時の有り難みが増す。

本格的なジビエカレーをいただく。旨い。
この後、攣りかかった脚をマッサージしてもらったり、マグネシウム・クリームを塗ってもらったり、至れり尽せりのひと時に元気を一杯貰いました。

ずっとここに居てもいいくらいだけど、暗闇に向かって出発。

漆黒の道を孤独に走ってると目の前にトンネル。トンネルと言うと色んな怪談話しを思い起こして怖い。出たらどうしよう。

青雄寺房総別院

怖いトンネルを抜けて下って里へ降りたところで第3チェックポイントの青雄寺房総別院を通過。まだ夜だ。

館山の夜明け
館山の夜明け

館山に着く頃に夜が明ける。ジャーニーランで迎えるこんな薄明の時が大好き。

洲崎神社へ向かう途中に不思議な雲を見た。
まだ朝早くてそんなに暑くないのでいいペースを維持。

渚の駅たてやま

第4チェックポイントの渚の駅たてやま通過。

海岸線を安定したペースで走り続ける。

洲崎灯台

洲崎灯台が見える。陽がだいぶ上がり、だんだん暑くなる。

第5チェックポイントの洲崎神社の前に立ちはだかる長い階段。120kmも走ってこれはキツい。主催者はドSだな。

洲崎神社

スローモーションのようにして階段を登り切って第5チェックポイントの洲崎神社に到着。
旅の安全を祈願。

房総フラワーロード

洲崎神社の先の海岸線は日光を遮るものが無く、陽もかなり上がってきて暑い・・・なんてナマ優しいもんじゃなくて灼熱地獄だ。一睡もせず走り通してきたので強烈な睡魔に襲われる。熱さと眠さに頭が朦朧とする。普通だと果てしなく続く道に心が折れるとか言うのだろうけど、そんなレベルを通り越して心を失くしてしまって全く走ることができない。この辺りからジャーニー気分は吹っ飛んでサバイバルと化す。どこかで仮眠しようかと思うが適当な日陰が見つからず、朦朧としたままとにかく歩き続ける。

途中、超長距離ランナー界隈では知らない人はいない半蔵門の炭やの女将の私設エイドで冷たいソーメンをいただいて一息ついてまた前へ進む。

滝口駐車場

そしてなんとか第3エイドの滝口駐車場へ到着。◯態ランナーの聖地、新宿一丁目cocoさくらのcocoさんのエイド。何としてもここまでは辿り着こうと思ってたので一安心。あまりの過酷さにここでリタイアなんてことも辿り着く前は脳裏をよぎったけど、美味しいもの食べて応援で元気貰ったら前へ進まないわけにはいかない。

野島崎灯台

元気を振り絞って出発したものの走る気力湧かず少し走っては歩くを繰り返す。睡魔のウェーブがあって眠いと走れない。眠気が和らぐと走れる。眠気とは身体を休めろというサインなんだろう。


仮眠しようと思うのだが日陰は少なくて、適当な場所が見つからない。さきを急ぎたい気持ちもあってここならと思っても思い切れず先へ進んでしまう。道の駅ちくら潮風王国まで来てどうにもこうにも辛抱しきれなくなったので吹き抜けの通路のベンチでようやく仮眠。寝過ごさないようアラームを掛けて20分間。一瞬で意識が遠のく。なんだかんだで40分近く滞在してただろうか。たった20分でも眠気はだいぶ醒めた。眠気が無いとそこそこは走れる。そこからはある程度ペースを取り戻して前へ進む。しかしどうしようもなく熱い。

時々眠気に襲われるので、右側を走った方が向かっくる車が見えるので安全だが日陰が無い。辛抱たまらんので家や木の陰がある左側を走る。フラついて車道にはみ出たらヤバいのでなるべく外側を慎重に。

仮眠のお陰で眠気のウェーブは遅くなりペース遅くても走ってる時間は増えた。こんなことならとっとと仮眠しとけば良かったと後悔する。自分は寝ないでも走れる派だとか思い込んでたけど、これだけ熱いとエネルギーの消耗が激しくて寝なきゃ身体が持たない。眠気はそのサインだ。今回の最大の学びだと思う。

第3エイドから28km。ようやく第4エイドの江見漁港に辿り着く。冷うどん、豆腐、スイカ。何でも食べる。思いの外、胃はしっかりしている。陽も傾いて暑さは和らいできた。スタッフの方が次の第5エイド(官軍塚)までは歩いても間に合う(12分/kmくらい)と言われて出発したものの、もう一晩を寝ずに走る自分が想像できない。次のエイドまで辿り着いたとして深夜だし仮眠する時間は残されてない。第5エイドで中途半端に終わるのは今の身体の状態には負担が大き過ぎる。今なら電車で家まで帰れるはず。そんなこと考えるほど前へ進むモチベーションが下がってしまってリタイアを決意した。5kmほど歩けば太海駅がある。

独りトボトボと歩いてると後ろからスイーパーの薮さんと美樹さんがやってくる。スイーパーと一緒なら行けるかもと少し思ったりしたけど、決意変わらず。駅の近くで2人と別れて太海駅へ到着。ローカル線は本数が少なくて1時間弱待って20:31発の電車に乗りおよそ3時間ほど掛かったけどその日のうちに無事帰宅。
車内の冷房が酷く寒く感じたのだが家帰って風呂に入った後、体重計のったらびっくり。

4kgほど体重が減って体脂肪率は半分に。過去最低の数値だと思う。過酷さを物語ってる。脂肪燃焼の極み。身体を食べて走ってるようなもんだ。こんだけ体脂肪が減ってたらそりゃ冷房が寒く感じるだろう。

薬湯市原店

翌日に預けていた荷物を引き取りにお昼くらいにゴールの薬湯市原店へ。雲一つ無い青空。前日にも増して暑く感じる。たとえ夜通し走れたとしてもこの暑さを走り切ることは出来なかったろう。第4エイドでリタイアは賢明な判断だったと思う。コース上をまだ走ってるランナーを心底リスペクトする。

参加賞として貰ってた無料の入浴券で風呂に入る。酷使した身体が少しでも早く回復するようサウナに入り温冷を繰り返す。筋肉痛は酷いけど日常生活に支障をきたすような故障は無さそう。仮に完走出来たとしても故障で動けなくなるようなことにはならないようにしたい。まだ現役サラリーマンだし、翌日に何事も無かったかのように仕事をする。この一線だけは守りたいと思ってる。

出走62人の内、完走12人。完走率19%。
まさにサバイバルだ。

リザルト

自分の走りを記録から総括すると、スタート時点から災害級の暑さだったけど初日の余力で乗り切り、富津岬過ぎてからは陽がくれて気温が下がったのでパクチー銀行までは順調なペース、館山で夜明けを迎えてから気温が上がり始め、洲崎神社から先は暑さと睡魔でペースダウンしつつ滝口駐車場へ、そして滝口駐車場からはさらに暑くなり眠気も限界に達してさらにペースダウンし江見漁港へ、そしてリタイア。

それぞれ、関門時間までの残り時間は、
 富津岬 1時間半
 パクチー銀行 2時間15分
 滝口駐車場 1時間半
 江見漁港 15分

滝口駐車場から江見漁港までの28kmで大幅に貯金を減らしてしまったようだ。適切なタイミングで仮眠をとっていればここまで減らすことは無かったかもしれない。貯金があれば次のエイドまでは行く気になってたと思う。

もし来年もエントリーするなら、この経験を活かして、完走できるとは思えないけど、次のエイド、その次のエイドまで辿り着けたいなと思う。

喉元過ぎれば暑さ忘れるってやつかな。

FINE

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