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花の旅2023 in伊豆〜共走の2日間

 12年ほど前に48歳の歳男から始めたランニングだが、ジョギング→10kmレース→10マイル→フルマラソン→トレイルランニング→ウルトラマラソン→100マイルトレイルランニング→ジャーニーランとチャレンジを続けてきた。12年前には想像もできない自分が、今ここにいる。走り始めた頃は「速く」に執着もあったけど、歳を重ねると速さの限界みたいなことを薄々感じ始めて「長く」へと軸足を移してきた。今更ながらこの選択はとても良かったと思ってる。ワラーチランナーや裸足ランナーの愛読書「Born to run」(クリストファー・マクドゥーガル著)や最近出版された「運動の神話」(ダニエル・E.リーバーマン著)にも書いてあるように「人間より速い動物はいくらでもいるが、人間ほど長く走れる動物はいない」。人間はそのように進化してきたわけで、「走る=速い」は小学生くらいからの教育の刷り込みでしかない。人間は「生きるために走った」のだ。生命の糧となる獲物を追うため、そして猛獣から逃げるために。
速く走る人をアスリートと呼ぶのであって、長く走ることは人間の基本的な能力なのだ。それを最も強く実感したのがジャーニーランの世界だった。速さより強さが大事。年齢も性別も関係無い世界。
これを大前提に走るのが僕にとっての「走る」。「ストイックですねぇ」とか言われるけど、ストイックだなんて微塵も思わない。むしろ快楽だな。持続性のある本質的快楽(笑)

前置きはこれくらいにして、ジャーニーランの世界を垣間見るために、旅の様子を手短に書き記しておきます。

【DAY1】2月25日(土)
9:30 JR御殿場線 裾野駅集合。
裾野と言えばマイカーで関西へ帰省する時に通過するICのイメージしかない。駅があったんだ。新幹線使ったら2時間半くらいで行けちゃうけど節約のため在来線で3時間半掛けて向かう。それでも6時に家を出れば十分間に合うから安いもんだ。

裾野駅に着くと見知った人もたくさんいる。みんな末房ファン。毎度のことながら緊張感の無いユルユルスタート。「8分前だけどまぁええかぁ」みたいな感じで。

市街地を5kmほど走った後、延々と登る。登りになったとたん走り出す人がいて「なんで登りなのに走るのよぉ〜」なんて声も聴こえる。「きっと、そこに坂があるからだよ」って言ってあげようかとおもったけどオヤジギャグだって笑われそうだからやめた。ヤングいないけど(^_^;)

峠を越えてしばらく下ると「三島スカイウォーク」がある。まぁまぁ賑わっている。アジア系の外国人もたくさんいてコロナ前に少しづつ戻りつつあるんだろうな。

スカイウォークとは空中を横切る吊り橋。なかなかの迫力。ちなみに有料ですがエントリー費に込みなので得した気分。

スカイウォークを渡ったところで箱根から続く旧東海道に合流。石畳の旧道を下る。昔のままの石ではないかもしれないけど古の人々が踏んだ道だと思うと感慨深い。旧東海道踏破は絶対やろうと思ってるので、その時にまたここを通るんだろうな。

石畳をしばらく進むと一里塚がある。旧街道のランドマークだ。旧甲州街道や旧中仙道でもお馴染み。

しばらく旧東海道を進む。
わずかに残る石畳やトレイルに癒される。

三島の市街地に入り三嶋大社に到着。

なかなか立派。旅の安全を祈願する。
大楠も立派。根元の図太さに圧倒される。


神社を後にし楽寿園を抜けてすぐのところに源兵衛川があって川沿いというか川の中に飛び石の道がある。

水の上を歩いてるような感じで清々しい。

富士山の伏流水は豊かだ。世界的には土壌破壊と砂漠化が進んでいることを思えばとても有難いこと。その有り難みを忘れないでいたい。この水がいつまでも清らかであることを願う。

三島市街地には鰻屋さんがたくさんあって蒲焼の匂いが漂ってる。食べたいところだけど先月に成田山で食べたばかりだし、いまや高級料理となってしまったのでスルー。

市街地中心部の外れの柿田川公園内に柿田川湧水群がある。富士山の伏流水が渾々と湧き出ている。

柿田川は山から流れてくる普通の川ではなく、全てが湧水だそうで天然記念物に指定されてる。全長たったの1.2km。湧水だけでこれだけの流れを作るって富士山の保水力は凄まじい。

その後、狩野川の土手を淡々と走り伊豆の国市に入る。日暮れが近い。

ぎりぎり陽が沈む前に満開の桜並木を見れて良かった。花の旅らしく一日を花で締めくくる。

お宿はホテルオリーブの木。ドーム型のコテージが30棟くらいずらっと並んでる。郊外にありがちな♡ホテルっぽかったりして。室内は4つのシングルベッドとロフトに2名の6人部屋。ドームなので柱が無く天井が高くて開放的で居心地は良い。着替えてすぐ併設の「百笑の湯」で汗を流し、身体を温める。ホテルは素泊まりなので、風呂上がりに「百笑の湯」の食事処で夕飯をとる。

お酒は弱いけど、このシチュエーションのビールはやっぱり美味い。

豚カツ定食でがっつりと腹を満たす。久しぶりのロング走はそれなりに疲れたのとビールの酔いで部屋に戻ると瞬間で寝落ちしてしまった。

【DAY1】2月26日(日)
翌朝は朝5時過ぎに起きて近くの大仁神社へ朝飯前に散歩がてらお参りをする。

薄明の河面に魅入る。刻一刻と色が変わっていくのでマジックアワーと呼ぶ。

手前の山にほとんど隠れてしまっているが富士山のモルゲンロートが美しい。昨日は曇ってたので富士山を拝めず、やっと拝めて良かった。

今日一日の旅の安全を祈願。

神社の手洗いは一般的な龍ではなくて鮎。これは珍しい。
ホテルへ戻り「百笑の湯」の食事処で朝食バイキングをたっぷりといただいて、8時に旅の2日目が始まる。

5kmほどで修善寺に着く。嫁さんと旅行で来たことがあるので懐かしい。

お寺には立ち寄らず、足湯にも浸からず先を行く。先は長い。

狩野川の上流に向かっていくにつれ川幅がだんだん細くなる。

川沿い近くに地ビール工場がある。

ベアード・ブリューイング・カンパニー。
むっちゃカッコいい。飲みたいところだけどまだ9時過ぎなので開いてない。残念・・・とか言ってお酒弱いので飲んで走ったらヤバい。「飲んだら走るな、走るなら飲むな!」だ。
また別の機会に立ち寄ろう。

道は天城峠へ向かって延々と上って行くが、天城遊歩道は車も通らないし変化に富んでいて飽きることがない。

こんなのに説明の言葉は要らない。写真が物語っている。
途中、浄蓮の滝へ立ち寄る。一度ドライブで来たことがある。遊歩道と違って人が多い。演歌の天城越えが流れて俗っぽい。いかにも昭和の観光地だ。

これが浄蓮の滝、以上!
遊歩道へ戻り再び天城峠へ向かって上る。
ついに旧天城トンネルへ到着。

石積みの手の込んだ造り。歳月を感じさせる苔。旧道の魅力ここに在り!

暗いトンネルから眩い光の中にゆっくりと人が溶けていく。このトンネルもいいけど、トンネルができる前にあった本当の天城峠も残っているなら辿ってみたい。ふとそう思う。

天城峠から下る途中、点々とわさび田がある。それだけ水が澄んでるのだろうが、猫の額ほどの急斜面にあって栽培は大変な労力が掛りそう。いつまでこのわさび田がわさび田であって欲しい。

河津七滝へは急斜面を下るが立派な木の階段があるので楽ちん。

釜滝、エビ滝、蛇滝、初景滝、カニ滝、出合滝、大滝。写真は五滝しかないけど大滝以外は見たはず・・・
河津七滝は歩道の整備が行き届いて歩きやすい。その割に浄蓮の滝みたいに俗っぽくない。森林と滝から発するマイナスイオンシャワーを存分に浴びて心身が整う。普通にドライブする時にでもまた訪れたい。

珍しいループ橋も車でそこを走るより、こうやって下から見上げる方が迫力があって良い。何事も視点が肝だな。

河津に入るとそこかしこに桜が咲き誇る。
冬なのにそこだけ春。
寒くてもそこだけ春。

伊豆の踊り子の宿「福田屋」
川端康成が泊まったらしい。旅の前に小説読んでおけば良かったとちょっと後悔。読んでたらもっと浪漫を味わえたのになぁ。

車が通れないほどの狭くて生活感溢れる小道を行く。なんだかとても癒される。
そして旅の最後は河津の桜並木。

観光地化してるとは言えこの圧巻は一見の価値ありだ。最高のフィナーレ!

2日間で約90km。距離は大したことないけど中身がぎっしり詰まった充実した旅だった。
素晴らしいシナリオを描いてくれた末房さんと共に走った仲間に感謝!

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