花の旅2024〜雨にも負けず、そして陽はまた昇る
2月23日・24日の一泊二日で昨年に引き続き末房さん企画の「伊豆半島花の旅」に参加した。今年は、還暦記念に6年ぶりに開催される中山道「風の旅」にエントリーしてるのでその刺激入れのつもりで。日常生活ではほとんと走っていなくて“走力”は間違いなく落ちている。それでも2日間で90kmくらいなら大丈夫だろう。過信は良くないけど12年のランニングの歴史で積み重ねた“総力”は激減することはないはず。故障せず完走すること。それだけを目標にする。
【DAY1】裾野駅10:00スタート
初日は朝から冷たい雨。フルマラソンの大会なんかだと「雨だからやめとく」なんて人もいそうなもんだけど、参加者は基本的にジャーニーラン系の人たちが多いので、よほど体調が悪くない限りは走る。旅が長いほど雨の降る確率は上がるわけだし。親とお天気は選べないと言うしな(言わんわ)
もちろん雨を喜ぶ人はいない。「よりによってこんな日に走るとは・・・」と思いつつ裾野駅を出発。毎度のことながら緩々スタート。後で聞いたら何人かはいきなり裾野駅から電車でルート途中の三島まで“ワープ”したらしい。こんな究極の緩々もありなのが末房さん企画の良いところ。もちろんガチに走りたいなら走ればいいけど、あんまり速すぎると移動エイドが追いつかないのでNG。
今年はスタート1km地点からチャレンジコースというのが設けられた。スタート前に末房さんが「自信のある人しか行かないで。トレイルが雨でグチャグチャだからね」と叫んでたけどチャレンジコースへ。グチャグチャのトレイルはトレランで何度も経験してるので想像がつく。単調なロードよりも変化に富んだトレイルが好きだし、何よりも地図に「復元された平安鎌倉古道」と書いてあったのでそこを辿りたいという気持ちが勝るのだ。
結局のところチャレンジコースを選んだのは6人の強者?でした。
6km地点くらいからトレイルへ入る。
水量を増した沢の水音が心地良い。
途中、蜘蛛ヶ淵への入口看板がある。独りじゃ心細いけど、伴走していた山上さんが居るし、200mと近いので行ってみることにした。山上さんは大阪から参加されていて昨年も伴走する時間が長かった。ジャーニーランあるあるで似たようなペースだと一緒に走ることが多い。昨年、山内さんは63歳で自分はギリギリ50代だったけど今年は2人とも60代。なんだかお仲間になった気分。まぁ歳とればとるほどに歳の差は縮まるんだろうけど。
これが蜘蛛ヶ淵。小さいけど秘境感はある。
ルートに戻り先へ進むとどんどんと山深くなってくる。
笹藪のトンネルあり、笹藪の回廊あり。ちゃんと整備されている証なので安心したが、この後は不明瞭だったり分岐があったりして何度か迷いそうになる。こんな時でもさほど動揺しないのはOMMで道のない山の中をコンパスと地図だけで徘徊することに慣れているからだと思う。OMMと違ってGPS使えば現在位置がいつでも分かるので道を失ったとしても、Geographicaで地形を読んで崖のような斜面や谷底に降りて行かない限りは危険はない。そこまで不明瞭でもなく地面のコンディションも悪くなかったのでGeographicaの世話にはならずに済む。
そうこうしてると古道に至る。
降り続く雨に霞がかった森がえもいわれぬ雰囲気を醸し出していて来た甲斐があった。
古の人々が同じ道を辿ったのかと思いを馳せる。
古道を抜けスタンダードコースに合流してロードを下ると第一エイドだ。遅い早いはあるもののスタンダードコースのランナーとは1時間近い遅れのようで先を急ぐ。
スカイウォークは昨年と違って人影まばら。ゆっくり歩いていると汗が冷えて寒い。眺める景色もないので足早に通り過ぎる。
スカイウォークを抜けたらところで箱根旧街道に合流。ほんの少しだけど石畳がある。当時のまま残されているかどうかはさておき旧道らしくて良い。雨に濡れて走り辛いので歩く。
三嶋大社に着く。雨でも参拝の行列。時間に余裕がないので遠くから拝む。
大楠の存在感が半端無い。
源兵衛川沿いの遊歩道を進む。雨の日も風情があって良い。
柿田川公園は大好きなスポット。富士山の伏流水が渾々と湧き出て川と成す。
これだけの幅の川が忽然と現れるって凄いと思う。富士山は偉大也。
初日の見所はここで終わり。残り20kmは清水町から狩野川土手の歩道を黙々と走るのみ。降り止まぬ雨。まるで修行。
なので写真は一枚も無い(-。-;
宿泊先のホテルオリーブの木に18:00到着。
走行距離は手元ログで46kmでした。
【DAY2】8:30スタート
2日目はなんと朝から晴れ。奇跡のように思える。
手前の山に遮られてしまってるけどちょこっとだけ富士山を拝む。
天城峠へ向かって登り基調が続く。一晩でかなりリカバリーしたとは言え筋肉の疲労とダメージ(筋肉痛)は残る。脚が重いのでペースは上がらない。それでも骨とか腱とか関節の痛みが無いのでホッとした。超長距離走では故障しないことが一番大事。僅かであっても嫌な痛みがあると距離を重ねるほどに酷くなっていく・・・なんてことはこれまでに何度も経験した。筋肉組織が壊れるのは不可避。破壊と再生を繰り返しながら筋肉は強くなる。いわゆる超回復だ。一度掛けた最高負荷は半年くらいは身体が記憶してるのではないかと思う。風の旅に向けた刺激入れとしてはありがたいダメージなのだ。
人もまばらな修善寺を通る。晴れていると気持ちも晴れ晴れする。昨日のことを思うと極楽浄土だ。
スタートから10km地点にベアード・ブルーイング・カンパニーがある。10時に開店するとビールの試飲ができる。着いたのは9:40くらい。お酒は弱く「呑んだら走るな!走るなら呑むな!」がモットーなので先を急ぐ。何人かは待ち組でした。
吊り橋を渡る。
吊り橋の向こうに見える桜を望遠で狙う。
最近、中古で購入したコンパクトデジカメは24mmから200mmまでをカバーするのでこれまでiPhoneで足らなかった望遠を使いこなしたい。これで180mm。
圧巻の冬の桜に心が躍る。
道沿いに川や沢が次々と現れてその水量の多さに豊かさを感じる。日本は素晴らしい。
恋人達の聖地みたいなモニュメントってどんなところにもあるな。
ここも大好きな場所。こんな道を見つけてコースに入れてくれるところが末房さんの凄いところ。
吊り橋を渡り、迸る水の流れに飽くことがない。
浄蓮の滝に着く。谷底に浄蓮の滝はあるが演歌「天城越え」が流れて観光地化されて人も多いので降りずに上から見る。肉眼だと小さくしか見えないけど望遠使えば間近に見える。名物のわさびソフトクリームをいただいて先に進む。
大切に守られた神社やそれを取り囲む御神木にエネルギーをいただく。
天城峠に向けて高度を上げる。
峠道を延々と登りついたところに旧天城トンネルがある。昨年は通り抜けてそのまま旧道を前に進んだがあいにくと工事で通行止めのため反対側から戻って新道へ降りる。
新天城トンネルは自動車がビュンビュン走って歩行者は端っこの細い歩道に追いやられている。これが現代というやつだ。
再び山の中のトレイルに入ると斜面の僅かに平らな場所にわさび田がある。こんな不便なところにあってさぞかし労力を要するだろうと思うが、清らかな沢水で育ったわさびは美味しいに決まってる。
林間の気持ちの良い林道を往く。遠くのランナーも望遠だとこんな風に遠近が圧縮されて見える。これで160mmくらいの望遠。iPhone13miniではとてもこんな風に撮れない。
旅もいよいよ終盤に。河津七滝へと谷底を下る。こんな木の階段がなかったら間違いなく難所だ。
どれが何滝だかわからんけど雨上がりのせいか水量がとてつもなくて迫力がある。滝の写真はもっと上手になりたい。
昨年は満開だったループ橋の桜も今年はだいぶ散ってて残念。暖冬の影響だろうか。
それでも時折、目にする桜に癒される。
旅のクライマックスは川沿いの河津桜並木だけどだいぶ散ってる。昨年は圧巻だった。日本人のメンタリティとしては散り往く桜も趣きがあって良い。
目をこらせば可憐な桜の花が次の世代へ生命を繋ぐために精一杯咲いてる。
こうして花の旅は終わる。
17時着。
DAY2の走行距離は手元ログで45kmでした。
同じ道もその年その年で新たな気づきがあって決して同じではない。
だからこそ還暦を迎えてなお走り続けられる。
諸行無常。
二日間全力でサポートしてくれた末房さんとスタッフの皆さん、本当にありがとうございました!
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