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【挿絵アリ】氷川麗の挑戦

○主人公 氷川麗、時雪健二郎

第1章 予兆の風

都市の一角、暗い空間の中で緊張が渦巻いていた。閉ざされた窓から差し込む月明かりが部屋の中心に細い光線を放っていた。

その光の中、無言の男女が立ち尽くしていた。男は一歩前に出て、部屋の端に捉えられた人質たちの方へと目を移す。

部屋の隅には、怯えた眼差しを持つ人質たちが縛られて並ぶ。

その反対側、ドア際には、黒のスーツを纏った氷川麗が静かに立っていた。


彼女の瞳には決意と冷徹さが交錯する。彼女の存在感だけで部屋の空気が凍り付いていた。

「氷川麗。」

その男、時雪健二郎の声が静かに響く。しかし、その声には明確な意志が感じられた。

時雪健二郎は表情を一切変えずに
言葉を紡いだ。

「氷川麗。有名な捜査官だ。だが、私の能力を前にしてもその名前は通用しない。」

対面する氷川は、冷徹な表情で時雪を見つめ返す。彼女の凛とした姿は、彼女が警察のトップ捜査官であることを如実に物語っていた。

「時雪健二郎、あなたはその特異なエスパー能力で何人の人々を苦しめてきた。今日こそ、暴走に終止符を打たせてもらう。」

時雪は口元を持ち上げて、微笑んだ。

「その自信、知っているぞ氷川君!確かに君は強い。だが、私の感度操作には例外なく全ての人間に効果を発揮する。」

氷川の目尻が不機嫌そうに微かに下がる。

「なぜこんな事をする。人質を取ることで何が得られる?」

時雪はソファにもたれ、深く息を吸った。

「私の能力を君たちは危険と判断して追ってきた。私はただ、この能力でなにか目的があるわけではない
強いて言うなら、氷川くん、君のようなクール美女が、身を振り乱して、笑い転げる姿を見たいだけかな。

氷川の瞳が、僅かに狭まる

「だから、人質に危害を加えるつもりはない!ただし賭けをしよう!勝負を提案させてもらうよ。」

部屋の気温が下がるように感じられた。
氷川は、彼の言葉を咀嚼しながら、答えを求めた。

「勝負の内容は?」

時雪の笑顔がより一層深まる。

「単純だ。氷川麗。
私の能力で君の感度を増幅させ、
くすぐり責めをする。笑えば、人質たちを解放はしない!娼婦として売り飛ばす。」

麗がキッと睨む。

「ただ、逆に君が笑わずに耐えきれれば、私は自ら警察に出頭するよ。私は捕まる!どうだい刑事さん!いい条件だろ?
刑事さんが笑わないだけで人質は無事だし犯人は逮捕さ!これ以上犠牲者とやらも増えないわけだ。」

饒舌に喋る時雪を氷川は冷たく見つめた。

その部屋の外側、、、

特設のモニタリングルームでその状況を監視する部下たちの間にも、緊張が走る。その中の一人、若手の刑事が声を震わせて言った。

「なんで麗先輩がこんなことを…」

その横で、中堅の刑事が手を上げて彼を静める。

「氷川はそれでいいと判断したんだ。むしろ逆に勝算はある!数々の訓練や修羅場をくぐり抜けてきた彼女だ。
負けるところは想像できない!テコでも動かないような女だ」

氷川は深呼吸をし、答えを出す。
「了解しました。それでよければそうしましょう。私が負けることはありえない。時雪健二郎、出頭する準備をしときなさい」

時雪の目に光が宿る。
「それを見るのがこの勝負の醍醐味だ。さあ、勝負の日は来週の24日だ!。特別なステージを用意しておくよ。」

静かな部屋に、緊張と興奮が交錯する。氷川と時雪の対決が、今、幕を開ける。

第2章 不敵なエスパーの過去

まだ彼が学生だった頃、些細なことから自身の能力に気づいた。

都会のビル群が朝日に照らされて輝く中、小学校の教室で一つの異変が起こる。

「フフっ。」

窓際の席に座る時雪健二郎は、
筆を手に持ちながら周囲を見渡していた。

(...!)

教卓に立つ国語教師「和恵」は、
黒板にチョークを走らせながら
何もないはずの足裏に何かを感じていた。

(なにこれ...くすぐったい。足の裏がくすぐったい)

その感覚は強く、彼女は自然と声を上げて笑ってしまった。他の子供たちが驚きながらも、笑いの輪となって広がっていった。

「ククク…」
(面白いチカラだなぁ。愉快愉快!)

その中心には、不敵に笑う時雪の姿があった。彼はこの時から、自らが特異な能力を持っていることを感じ取っていた。

そんなクラス大笑い事件からの十年後!

「やめて、キャハハ、死んじゃう。くすぐらないで。」

大都会の裏路地。多くの悪党たちが集まる場所で、
時雪はその能力を駆使して次々と人々を操っていた。感度を操作する能力で、誰もが彼の前に跪く。彼はそれを楽しんでいた。

しかし同時に新たな刺激も求めていた。

(飽きたな。こいつも威勢はよかったが感度を倍程度にするだけでもう降参か。
もっと強い女がいい!

そうだなぁ、、、刑事だ!
とびっきりの刑事がいい!

そうなったらシチュエーションも大事だ。
絶対負けられない状況で1番強いやつをこの手で落とす!クククッ最高だ!)

一方、警察庁の地下にある特別捜査室。
人質事件の通報が入る。犯人は時雪健二郎。

壁一面にディスプレイが並び、
その中心には時雪健二郎の情報が映し出されていた。

彼はくすぐりの感度を操作する能力を持つエスパーとして、警察からも警戒されていた。彼の能力のせいで、多くの人々が彼の前で屈していた

部屋に集まった捜査官たちの中に、銀髪の美しい女性、氷川麗の姿があった。

「時雪健二郎。彼の能力は極めて危険だ。何百人もの被害者が出ています。」

中堅の刑事が、部屋に響く声で説明を始める。

「彼が最も得意とするのは、感度を操作する能力。この能力で彼は、人々を操り、その望む通りに動かしています。」

と、ある資料を投影しながら続ける。
氷川は、ディスプレイに映し出される時雪の顔を凝視していた。

(随分と悪趣味な男だ。)

「彼の目的は何だと思う?」と、モニターの前の男性刑事松本が静かに問いかける。

若手の刑事が手を上げた。
「おそらく、彼の能力を認めさせるため、そしてそれを楽しむためだと思います。」

氷川は深く頷いた。

「彼を止めるためには、彼の能力を封じる必要がある。そして、そのためには私が前に出る必要がある。」

その言葉に、部屋の中の空気がピリリとした。氷川の伝説は捜査官たちにも知れ渡っていた。

彼女はインターポール機関で国際犯罪を取り締まっている!過去の事件で、あらゆる犯人たちと対峙し、逮捕してきた

それでも不安は募る

「氷川、危険な賭けだぞ?おまえも人間だ、ロボットではないんだぞ」

「問題ないわ。くすぐりが目的なら危険もない」

その時会議室のドアが開く

「時雪にアクションあり、人質とともに
地点205546の倉庫にいるとのことでした!

「話が早いわね。いきましょう」

氷川の目には、新たな決意と戦いへの覚悟が灯っていた。

そしてその倉庫で2人は初めて対峙した。
決戦は24日

第3章 挑戦の開始

〜決戦の前日〜

深夜の捜査局のオフィス。薄暗い照明の中で、モニターの光が麗の顔を照らしていた。

その静けさはロボットのようであった。
キーボードの打鍵音だけが部屋に響いている。

彼女は時雪健二郎についての情報を集めていた。彼の過去の行動や能力の詳細、それに関連する情報などをチェックしていた。

部屋の扉が開き、中に入ってきたのは
同じ刑事の松岡だった。
「麗、あんまり無理はしない方がいい。」

彼女は無表情で答えた。

「時雪に勝つための情報が必要だ。」

松岡は心配そうに眉をひそめた。

「でも、おれはあんたの危険も考えて…」

「心配はいらない。」

短く答え、再びモニターに目を向けた。

松岡は少し間をおいて、ゆっくりと言葉を続けた。

「昔、時雪の勝負に挑んだ者がいた。
彼は強靭な精神力を持っていたが、最後は…」

麗は彼の言葉を遮った。

「知っている。彼は負けてしまった。」

松岡は少し驚いた表情を浮かべた。
「どこまで調べているんだ…」

「彼の失敗を繰り返すつもりはない。」

松岡は深く息を吸い込み、言葉を続けた。

「その時の彼は、事前に山に籠り自分を鍛えていた。でも、時雪の能力は想像を超えていたんだ。人間が太刀打ちできる領域を超えているかも知れない。」

麗はモニターから目を離し、松岡を真っ直ぐに見つめた。

「問題ないわ。私はどんなことがあっても勝つ、正義の代表として」

松岡は瞬きをした後、苦笑を浮かべた。

「分かった、分かったよ。だけど、少しでも不安があったら、私たちに言ってほしい。」

彼女は無表情のまま頷いた。

「えぇ、頼りにしてるわ。」

松岡は部屋を出る前に、もう一度麗を見つめて言った。

「明日、君の勝利を祈っている。」

彼女はモニターに目を戻した
部屋に再び静寂が戻った。

〜決戦当日〜
都会の中心にそびえ立つ、廃墟となった劇場。
舞台上には、床に描かれた大きな円が存在し、その中心には足を置く台と椅子が一脚置かれていた。

その台はシンプルな造りで、特別な装置も見受けられない。
台の上には彼女の足が収まるだけのスペースが確保されているだけだった。

椅子には拘束もできるような道具も付随してカスタマイズされてるようだ

その舞台の下には、大勢の人々が集まり、緊張と興奮で圧迫された空気が漂っていた。

舞台から向かって左側の照明が点灯し、時雪健二郎がゆっくりと姿を現した。

彼の視線の先には、過去にくすぐり勝負を挑んだ者たちの姿もあった!

「ふん!美冬あかりは来てないか。。。」

※美冬あかり:別シリーズの主人公。時雪とのくすぐり勝負に敗れた無敗の捜査官。

時雪がマイクを手に取り、響き渡る声で話し始めた。

「さて、今日も新たな挑戦者が舞台に立ってくれるとのこと。」

反対側の照明が点灯すると、そこには氷川麗の姿があった。彼女は青いスーツに身を包み、

黒いヒールを鳴らしながらステージに進出してきた。彼女の背後には、彼女を支える部下たちの姿も確認できた。



「氷川麗、私の能力を封じると言っていたが、本当にできるとでも?」

時雪が、興味深げに彼女を見詰める。

氷川は淡々と、
「私がここに立つのは、正義のためだけよ。」
と答えた。

「改めてのルールを話しなさい。」
彼女の声は冷静で、まるでコンピュータが指示を出すかのようであった。

彼女は堂々と、台へと一歩を踏み出し、舞台の中央に置かれていた椅子に、氷川はゆっくりと座った。

時雪がルールを告げる。

「今回の勝負、君が笑ったら、それが負けだ!簡単だ。
この台の上で君の足裏をくすぐる。
但し、拘束はしない。足を動かさないように我慢するのも君の役目だ。」

「そうね、それで問題ないわ」

「さて、どれだけ耐えられるか楽しみだ。負けたら君と人質もろとも拘束くすぐりの刑だぞ」

「敗北など考えていない。」

部下たちの中から、若手の刑事が彼女の目の前に出てきた。

「上司、やっぱりこの勝負は危険だ。」

「どきなさい。」

「上司。。。」

氷川は彼を横目に見ながら、それ以上言葉を返さなかった。

椅子に座る彼女の横顔には、日本の正義を代表する者の揺るぎない決意が宿っていた。

「では、皆さん。この勝負が始まります。氷川麗、時雪健二郎の、決して忘れられない一戦を、じっくりとご覧ください。」

「ここに人間界最強の捜査官氷川麗あらわる!特別な能力を持ったエスパーと人間界最強の頂上決戦だ」

「最強の女刑事vs最恐の犯人!」

会場のボルテージもあがる!

氷川の目尻が尖る
「うるさいわね、、、」

そして、時雪の合図と共に、勝負が開始された。

第4章 感度の増幅

古びた劇場の中、ステージ上のシャンデリアの光は氷川麗の顔を照らし出していた。彼女の瞳は深い闇のように冷静であり、

彼女がこれまでに経験した多くの戦いの中で鍛え上げられた精神の強さが感じられた。

台の上で立っている彼女は、椅子に座り
ゆっくりと自らの手にパンプスを手繰り寄せた。

彼女の動作は計算されたもので、
観客たちは息をのんでその動きを見守っていた。

それを包む光沢感のあるレザーの質感が、アリーナのライトに照らし出される。

時雪も彼女のその動きに、深く魅入ってしまったようで、目を細めてその様子を観察していた。

彼の目の奥には、ある種の期待や興奮が感じられた。

氷川は、続いて右足も同じくゆっくりと脱ぎ、台の端へと並べた。

彼女の美しく、しかしどこか冷たく感じる素足が露出された。その足裏は、完璧に手入れされていることが一目でわかった。

麗は椅子に座り直すと、
その素足をゆっくりと持ち上げ、2つの足を台の上に位置させた。

「さあ、どうぞ好きにしたらいい」

足裏を時雪に向けながら言い放つ。

この瞬間、観客からの期待感は一層高まり、アリーナには実際に触れ合う瞬間を予感させる、

アリーナ内に強い緊張感が漂い、観客一人一人の視線が彼女の足裏に集中していた。


「準備はできたか?」

彼が再度問いかけると、彼女は無表情のまま、ただ頷いた

時雪健二郎は微笑みながら前進し、彼女の前に立った。
「さあ。私の能力で、君の感度を増幅させてみるよ。」

氷川は冷たく返す。「やってみればいい。」

彼の右手がゆっくりと再び動き出し、その指先が彼女の足裏にゆっくりと近づいていった。

ドクン、ドクンッ、、、と

景色がスローになるほどに凝縮された時間の中、その指先は、足裏にほんの数ミリの距離を残すところまで接近した。

アリーナ内は静寂に包まれ、観客たちの心臓の鼓動さえも感じられるかのようだった。

「最初の一撫で、いくぞ。」
時雪は声に意味深なトーンを持たせて、そのまま指を足裏に触れる。

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