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ひとつのセリフから考える、短編小説の書き方

小説……書いてみたくないですか?
とりあえず目標は小さく、スモールステップで短編からいかがでしょう……?

世界にひとつしかない小説、作ってみませんか?

当記事では、この小説の書き方を説明していきます。920字の短い小説です。



かんたん自己紹介

誰だお前!? となっていることでしょう。
推しも「行動が伴わなければ言葉に重みがない」的なこと言ってましたし、とりあえず自己紹介します。

わたくし、夜茸ニイナ名義で主にエブリスタで活動している者です。
短編ばかり書いている一次字書きです。
(一応別名義で二次もやってるけど内緒にしときます!)

今年だけで短編を31本書いています。字数は本当にバラバラで、800〜20000字といったところでしょうか。
字数だけなら文庫本一冊出せるくらい書いてます。今年はほんと……書きすぎですね。

別につよつよ字書きではないです。フツーのどこにでもいる字書きです。

自己紹介はこのくらいにして、早速本題に入っていきましょう!


なぜ短編なのか?

エブリスタでは、検索するときに字数指定での検索ができます。
そのときの字数を目安にするとこんな感じです。

短編 〜20000字
中編 20001〜79999字
長編 80000字〜

短編の良さは終わりが見えやすい、という点があります。
頑張ればワンライ(一時間で書き切る企画)で終わります。書き途中のまま放置、なんてことが少ないのでおすすめです(当社比)

小説は、いきなり最初から大きな目標を掲げなくたっていいんです。
文庫本一冊の小説を書こうとしなくてもいいんです。現に私はそうしてないです。

小さな努力、小さな時間で小さな成果。最初のステップとしては、十分なんじゃないでしょうか。


「ひとつのセリフ」を決めよう!

さて、最初に登場人物に言わせたいセリフを決めます。

なんでもオッケー!本当になんでもオッケーです。

「久しぶり」
「愛してる」
「さようなら」

これより長い文章でも書けますが、短いと書きやすいかも……?
今回は「愛してる」でいきます。


セリフのシーンを考えよう!

次は、さっき決めたセリフをどんなシーンで言われるか? を考えます。

亡くなる直前に涙を零しながら「愛してる」
浮気が発覚したあとに必死に「愛してる」
おぞましい化け物から言われた「愛してる」

最初二つは王道ですね。
え? 三つ目? 書きたいだけですね(人外好き)

書きたいものを書きましょう!これ大事。

プロを目指すのでなければ、全然周りの視線とか気にしなくて大丈夫です。現に私は人外ばかり書いてます笑(神とか龍とか アンドロイドとか

超絶かっこいいイケメンホストから言われた「愛してる」でもいいし、
お酒に酔った無口な女性からの「愛してる」でもいいし、
通ってるコンビニの店員さんから渡されたメモの「愛してる」でもいいし、
もう本当になんでもいいんですよ。

妄想を! 膨らませるんだ!
心の赴くままにいけ! 誰も見てないから! だって脳内だもん!


応用編

別にセリフじゃなくても書けます。

とか……。

セリフがあると書きやすいですが、こういうふうにシーンごと先に考えても全然オッケーです。だって創作の世界は自由だから……。


プロットを作ろう!

さて、書きたいシーンは決まりましたか?
私? もちろん「おぞましい化け物から言われた『愛してる』」です。
本当に好きなのでいいのです。そっちの方が書きやすいので。

プロットは様々な書き方がありますが、今回は「起承転結」でいきます。
要するに




ここに書いていけばいいわけです。簡単でしょ?


決めたセリフをどこに持ってくるか?

まず、さっきのセリフをどこに持ってくるか考えます。

今回は承に持っていきます!
というのも、始まり(起)が思いついたんですよね。これ多分、追いかけられてるな、と。


大体起承転結の型だと、起承・転結でわけられます。
起が思いつくと承が、転が思いつくと結ができる、というわけですね。

この記事、本当に参考になるので読んで欲しいです!


起承転結を簡単に

早速、起承転結を書いていきます。
短編なので1文ずつ、1アクションずつくらいを目安に書きましょう。

化け物に追いかけられる
おぞましい化け物から「愛してる」

こんな感じでゆるく、ゆる〜くで大丈夫です。


キャラを考える

ここでやっと登場人物について考えます。

・化け物
・追いかけられてる人

この二人(一人と一匹)でしょうか。
ただ、これだと書きづらいので詰めます。

・化け物
・追いかけられてる少女

「人外×少女」なんていうタグがあるくらいですからね、人外の中では王道の組み合わせでしょう。

もう少し考えます。場所も追加で考えます。

・化け物→粘性のある液状、石油のような黒い液体がぽたぽたと滴り落ちる
・少女→普通の少女、13くらいか
場所→暗い路地裏

ここまで書けば……書けそうじゃありません?

暗い路地裏で、追いかけられた少女に対して人外は「愛してる」と言うのです。

うわ〜〜〜!!! その後が気になる〜〜〜!!!

作者が楽しむことが一番大事です。
ご自身の作品の行く末を優しく見守ってあげてください。


残りを詰める

現在のプロットはこうなっています。

起 暗い路地裏で化け物に追いかけられる少女
承 液状の化け物から「愛してる」

転結がありませんね? そこを考えていきましょう。

転が決まれば結が決まる。先ほどそう述べました。
セットで流れを考えていきます。

流れ的に、「愛してる」のあとから化け物、なにか動きそうじゃないですか?
少女に手を伸ばしそうじゃないですか?

手を伸ばしたあと……どうなるのか?
少し考えてみます。

二つのアイデアが出てきました。


  • 手を伸ばすとバチン!と手が弾け飛ぶ→実は化け物と戦う魔法少女だった!

  • 頬に触れる手を見ると見覚えがある亡くなった兄の手だった……


今回は後者にします。なんか後者の方がビビッときたので。

この調子でプロットを書いていきます。

起 暗い路地裏で、少女が化け物に追いかけられる
承 液状の化け物から「アイシテル
頬に触れる手を見ると見覚えがある
化け物と化した亡くなった兄に「私もだよ、お兄ちゃん」、液体に飲まれて消える

うわ〜〜〜!!! 化け物の正体はお兄ちゃんだったんですね!!!
うわ〜〜〜っ!!! すこ!!!


もう少し詰めます。以下の情報を追加します。

  • 妹、家が限界

  • 兄は先に亡くなった

起 暗い路地裏で、少女が化け物に追いかけられる
承 液状の化け物から「アイシテル」
転 頬に触れる手を見ると見覚えがある、手だけは人の形をしていた
結 化け物と化した亡くなった兄に「私もだよ、お兄ちゃん。そっちに行こうと思ってた」たくさんの目でにこりと笑う化け物、液体に飲まれて消える体にあざのある少女

わぁ……最高じゃないか……。うんうん、素晴らしい作品になりそうですね。

ここら辺になってくると書きたい気持ちがわんさか湧いてくるので、プロットはここで区切りをつけます。
書けなくなったらまた練り直せばいいですから。


アイデアメモを書こう!

ここから本文に入る人もいるでしょう。書けそうならぜひそうしてください。

しかし、私はまだ書けません。
なぜなら、思い浮かぶアイデアが時系列ぐちゃぐちゃで忘れそうだからです!
絶対このまま書いたら真ん中あたりのアイデア忘れます!

書きたい衝動を抑え、先に時系列順でメモをします。
時系列バラバラにアイデアが湧いてくるので、どこにでも入れられるようにメモアプリなんかに書いておくのがおすすめです。
実際のメモです。

逃げる少女の息は荒い。どくんどくんと早鐘を打つ心臓が、少女が命の危機に瀕していることを知らせている。

ついに追い詰められてしまった。壁を背にして化け物と対峙する。
化け物は何故か少女の前でピタリと止まる。ぽたり、ぽたり。液体がアスファルトに流れ落ちる。
化け物のたくさんの目は、少女をまっすぐに見つめている。

「アイ、シテ、ル」
ふるふると震えながら吐き出される聞いたことのない声。その瞳はうるんでいた。

液体の体から伸ばされる、なぜか不自然に形のある手。

両親がケンカしてる時もぎゅっと抱き締めてくれた手。大丈夫だよ、とよしよししてくれた手。最期に見たとき、だらんと投げ出されていた手。

「私もだよ、お兄ちゃん」
少女は化け物の体に手を伸ばす。
「そっちに行こうと思ってた」
一筋の涙が流れた。少女は微笑んでいた。

化け物はにこりと笑って、少女の頭の上に腕を伸ばす。
液体がぽたり、ぼたりと少女のアザのある肌に落ち、彼女を黒く包んでいく。
ついに、化け物は少女を体全体で包み込んだ。

化け物は一度跳ねると地面にどぷんと沈み、再び路地裏に現れることはなかった。
二人の行方は、誰も知らない。

ほぼ本文じゃん(セルフツッコミ)
ここまで書けると、本来のプロットからずれずに済みますし、無駄な文章を書かずに済みます。
何より大切なアイデアを忘れずに済みます。
ほんとパンツァーの人の書き方できないです。パンツァーの人すげぇ。

もちろんこのアイデアメモから始まることだってあります。
よくあるのは書きたいシーンが思いついて、そのシーンを膨らませたいときなんかですね。


本文を書いてみよう!

実際に小説を書いてみましょう!
そんなに難しく考えず、今の実力でふわりふわりと。

プロットやアイデアメモを参考にしながら、本文書きつつ戻りつつ書いてみましょう。
もちろん一日で書かなくたっていいのです、完成させることが大事です。

アイデアメモで小説の最後を書いておくと、それに向かって頑張ろう! という気持ちになるかもしれませんね。

いきなりプロのようなすごい文章はなかなか書けませんから、まずは自分なりの文章でやってみるのがおすすめです。
方向性を決めるのはそのあとでもよいと思います。


終わりに

さてさて、いかがでしたでしょうか? 小説は書けましたか?

セリフから小説を書く、という書き方をしてみましたが、もちろん書き方はこれに限りません。
本にもネットにも、たくさんの書き方がありますから、ぜひお好きなのを見つけて書いてみてください。

広がれ! 創作の輪!!!



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