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ヤンゴンに流れる時間と景色

ミャンマーは数年前のクーデター以降、日本からは危険で不安定な政情を抱えた国、という印象が強く、渡航には幾ばくかの覚悟が必要とされたが、いざ現地に来てみると、ヤンゴンの人々はいつもどおりの日常に身を委ねている。
「私達の生活は普段と変わりませんよ」と、鮮やかな柄物のロンジーを着た現地の女性が話してくれた。
他の人も同じようなことを話していたが、街中から消えたミャンマービール、
現地の人曰く「政府の嫌がらせ」と呼ぶ日中の停電。
深夜の外出禁止令や、交通誘導をしなくなった警察官。
そして話に聞く地方の生活の困難さ。
平然と過ごす彼らの姿と日常のヤンゴンの景色は、どこかきなくさく、もやもやした空気とともに僕の視界に映った。

渡航に当たって対策をした点、
・蚊にさされないようにすること
・胃を壊さないようにすること
・お腹をくださないように気をつける
それぞれに対策したものを携行し、滞在中も気をつけることで結果虫よけスプレー以外は使用することはなかった。

ヤンゴンの中心から離れたところに宿をとったが、日中は車がひっきりなしに道路を埋め尽くす。年季の入った自転車や、竿をかついで行商する懐かしい姿はあったものの、驚いたのが車が思っていたより新しい、というかいいものをみんな乗り回していたことだ。
日本では役目を終えたような、さぞレジェンダリーな車にお目にかかれるのかと想像していたが、いかついフォードやトヨタ、ヒュンダイやホンダのインサイトなど、なかなかいい車に乗ってるんだろうなと車に全然詳しくない僕からも感じた。
交通事情として驚いたのが信号の少なさ。
よって道路の反対側にいく場合、車がマグロかカツオのように走る間をぬい、決死の渡河が必要とされる。毎回大きく息を吸い、運を天に任せ身を委ねるほどの覚悟が必要とされた。
カジュアルに言って、あっぶない。
あと犬がやたらと多い。悠々と街中を闊歩している姿をよく見るが、彼らすら器用に車をすり抜けて道路を横断してゆく姿に勇気をもらった。
猫はあまりみない。現地の人曰く、犬が多いから猫はビビって出てこない、だそう。

英語は空港以外あまり通じなかった。
上手な人はとてもよく話されていたが、外国語を話すことに気恥ずかしさを感じるのだろうか、わかっていてもあまり積極的に英語で話しかけられたことはなかった。

ヤンゴンでは色々と見て回る時間はなく、限られたエリアの中で過ごしたのだが、食事は思っていたより辛くなかった。でもやっぱり油の量が多く、ねっとりしている食べ物が多かった。
しかし肉を煮込んだものは角煮みたいで美味しかったし、魚も食べやすく、野菜もあって偏りがなくおいしかった。唐辛子をペーストしたようなものをそれらにちょっとつけて、ご飯にオンしてかき混ぜて食べる。塩気と適度な辛さがなんともいえないウマさだった。

天気は曇りがちで日本よりも気温は高くなく(それでも晴れたときは日差しが強かったが)、忘れたころにスコールのような大雨が降る。

ホテルの近くを散歩し、いざ細路地に足を踏み入れると印象がガラッと変わる。未舗装の道路にはお坊さんや自転車に乗ってどこかへ向かう二人乗りの男女、背の低い簡易的な建物の横にはブルーシートで天井が作られ、電気のない暗いその場所では黙々と食事をしている現地の人たち。
排ガスやホコリで霞む視界、車などお構いなしに道路の真ん中で腹を出して寝る犬、ゴミが投棄された木陰に、なんともいえない色をした生活用水路。
近代的な車がいきかう裏では、タイムスリップしたような光景が広がり、一体今が西暦何年なのかを考えてしまうほど、それほど衝撃的だった。
なかなかおもしろいぞ!ヤンゴン!


車が行き交うヤンゴン。道路を渡るときは神頼み


列車が通過。甲高い汽笛を鳴らして注意を促すが、現地の人はこの通り間近で通過待ち。


ランチにて。付け合せの野菜たち。真ん中のタレと奥のペーストしたものが辛かった。


街中の光景。未舗装の景色からヤンゴンを感じる。


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