米山なつ

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最近の記事

アロマンティック・アセクシュアルは愛情深い人でなければいけないのか?

 私は、アロマンティック・アセクシャル(他者に恋愛感情や性的欲求を抱かないセクシャリティ)を自認している。小さい頃から周りの友人の恋愛観が自分のそれとずれていることに違和感を感じていたが、大学生になってアロマンティック・アセクシュアルという名前をつけてもらい、自分のような人が沢山いることに安堵したものである。そして、より安心を得るために、アロマンティックやアセクシュアルの方のインタビュー記事やら動画やらをひたすら見まくった。見まくって残ったのは、惨めったらしさと焦燥感である。

    • 何が差別なのか。私は、何に怒っているのか。

       何が差別か差別じゃないかって難しすぎやしないか?特に、一見その属性の人たちを高く評価してるような場合において、そういった偏見を差別と言っていいのかすごく迷ってしまう。  就活を始めて数ヶ月、女性が圧倒的に少ない企業の説明会に行くと「女性ならではの視点が欲しいので、女性社員を求めている」なんて言葉が人事から飛び出すことがある。ある人事曰く、女性は男性に比べて気が利くので、仕事の場に置いても細かいことに気がつくのだそうだ。  このような評価は、紛うことなく偏見である。「細か

      • 小さい頃から、ずっと死にたかった

         先日、大学で行われている健康診断に行ってきた。そこで心の健康を確認するためのチェックシートを記入し提出すると、「今すぐカウンセリングを受けに行きなさい」と指示された。「死にたくなる」という項目にチェックを入れたのがよくなかったらしい。カウンセラーは、「死んだら両親が悲しむとは思わない?」と聞いてきた。そんなこと考えたこともない。私の命だというのに、他人の悲しみの責任を取れというのか?「死にたい」と思う自由すら否定されたようで、思わず涙が溢れそうになった。しかし、ここで涙を流

        • 「目覚めた」とか「生まれつき」とか聞かれても

           LGBTQの人々がカミングアウトしたとき、「いつ目覚めたの?」と聞かれることがたまにあるのだが、正直私は答えに窮してしまう。これはあくまで私個人の話だが、今のセクシャリティを自認する過程で「目覚めた」というような感覚を覚えたことは一度もない。しかし、「気づいた」という感覚なら幾度となくあった。    小学生の頃、同年代の女子たちが好きな男子の話で盛り上がっているときに、自分は彼女らと同じ気持ちは持っていないと気づいた。年を経るにつれて、自分の身近な人の間に限らず、世間におい

        アロマンティック・アセクシュアルは愛情深い人でなければいけないのか?

          「女友達」「男友達」「〇〇大学の友達」「有名企業で働く友達」がいないことを不安に思うのって今の自分の友達にも、女性や男性やその大学や企業の人にも失礼だと感じる。友達で自分のステータス図らないでほしい。

          「女友達」「男友達」「〇〇大学の友達」「有名企業で働く友達」がいないことを不安に思うのって今の自分の友達にも、女性や男性やその大学や企業の人にも失礼だと感じる。友達で自分のステータス図らないでほしい。

          最近テレビを見てないし、コロナで人と喋る機会も減って自分の思考がどんどん偏っていってる気がする。好きな本しか読まないし好きな人としか話さない。自分と離れた考え方に触れなきゃだめだ。

          最近テレビを見てないし、コロナで人と喋る機会も減って自分の思考がどんどん偏っていってる気がする。好きな本しか読まないし好きな人としか話さない。自分と離れた考え方に触れなきゃだめだ。

          足立区の白石議員が例の発言について謝罪したらしい。本心からの謝罪であったかは不明だが、少なくともあのような発言が許容されるような世の中でなくてよかったと思う。

          足立区の白石議員が例の発言について謝罪したらしい。本心からの謝罪であったかは不明だが、少なくともあのような発言が許容されるような世の中でなくてよかったと思う。

          街灯を辿って

           夜の散歩が好きだ。夜中の2時から3時頃、近所の路地をぶらぶら歩く。草木も眠る丑三つ時なんてよく言うが、私にはせわしない昼間より人々が眠りについた夜中の方が草や木をより身近に、生々しく感じられる。聞こえるのは、一本向こうの大通りをたまに通る車の音と、野良猫の鳴き声と、風が草木を撫でる音ばかり。  街灯の人工的で冷めた灯りを辿ってアスファルトを歩くと、この世界に人間は私ただ一人なんじゃないかと思えてくる。秋の夜、袖を伸ばしたって首をうずめたって吹く風はどうしたって冷たいけれど

          街灯を辿って

          人を嫌いになった経験はいっぱいあるけど人を好きになったとか他者に好かれたみたいな経験が私には圧倒的に欠如しているように感じる。でも、そういう私を見て「やっぱりアセクシャルって呼ばれる人は人間性が欠けてる」みたいに「恋愛しない人全体」の問題に拡張して捉えて欲しくはないんだよな

          人を嫌いになった経験はいっぱいあるけど人を好きになったとか他者に好かれたみたいな経験が私には圧倒的に欠如しているように感じる。でも、そういう私を見て「やっぱりアセクシャルって呼ばれる人は人間性が欠けてる」みたいに「恋愛しない人全体」の問題に拡張して捉えて欲しくはないんだよな

          差別されないことに理由が必要なのか?

           大学の政治学の講義で、現在の日本における女性と男性の収入格差を皮切りに、女性解放運動の歴史がテーマとして扱われた。その講義の内容に全く不満はなかったのだが、講義の最後、教授が学生に向けて発した問いに、私はどう答えていいかわからなかった。 「女性は差別されていいと思いますか?理由もあわせて記入してください」  私の大学では、授業の最後にリアクションペーパーを提出して出席したことになる。A5サイズの紙に授業の感想や質問を記入するのだ。政治学の先生は、いつも授業の最後に問を投

          差別されないことに理由が必要なのか?

          今更知ったのですが、今年の4月に体罰の禁止規定が加えられた児童虐待防止法と児童福祉法が施行されたのですね。この法改正で、しつけとしての暴力を許容する人がもっとずっと減っていけば嬉しいです。この世から児童虐待がなくなりますように。

          今更知ったのですが、今年の4月に体罰の禁止規定が加えられた児童虐待防止法と児童福祉法が施行されたのですね。この法改正で、しつけとしての暴力を許容する人がもっとずっと減っていけば嬉しいです。この世から児童虐待がなくなりますように。

          セクハラの責任

           男性に触られるのは不快なことだと、経験則でそう考えていたのだけどどうやらそうではないらしいと気がついたので、ちょっとまとめていきたい。  そもそも私は他者とのスキンシップを自分からはしない。それは別に恥ずかしいとか誰も信用していないとかそういうことではなく、単純に触れたいと思わないからだ。だから自発的なスキンシップというだけの話であって、握手もハイタッチもハグも求められれば拒否することはない。電車の中で眠っている隣の人に肩を貸すのもそこまで苦痛ではない。  ただ、男性か

          セクハラの責任

          他者との食事やスキンシップって、小さい時は誰とでもしていたのに大人になると理由が必要になって、いつの間にか心が受け付けなくなっている。

          他者との食事やスキンシップって、小さい時は誰とでもしていたのに大人になると理由が必要になって、いつの間にか心が受け付けなくなっている。

          誰かが自殺したかもしれない

           大学一年生のある日、私は寝坊をしてしまい、寝癖を軽く直すだけして急いで家を出て大学へ向かった。1限のチャイムが鳴るのと同時に門を潜るとその少し先に救急車が止まっているのが見えて、小首を傾げながら教場に入るとまだ先生は来ておらず、友人の隣の席に座りリュックから教科書とノートを出して友人と駄弁りながら先生を待った。  その30分後くらいにようやく先生が到着した。曰く、大学構内で生徒の一人が自殺を図り、その対応のために遅れたのだという。「もう彼は何もできなくなってしまった、彼に

          誰かが自殺したかもしれない

          怒鳴られるのに慣れた話

           理不尽に怒鳴る人って以外と多い。  その人の中には何か理屈があるんだろうけど、こっちとしてはその理屈が理解できない。もしくは、理屈はわかるけどそこまで怒鳴り散らすほどの理由がわからない。  小さい頃、私の周りには、父や母や学校の先生や習い事の先生など、怒鳴る大人はいっぱいいた。  まあ怒鳴られると怖いから最初は萎縮して謝るんだけど、段々それもバカらしくなってくる。こいつら何で怒ってるんだ。怒るの趣味なだけなんじゃないの?私これ聴いてる意味ある?って。そうなるとがなり声

          怒鳴られるのに慣れた話

          「ここでタバコを吸わないで」

           私がまだ小学校に上がる前の話。私と姉は、大嫌いな父に連れられて父の会社のイベントに来ていた。本当はどうしても行きたくなかったのだが、ついてきたら31アイスを買ってあげるという甘言に釣られてノコノコついて来たのである。  しかし、待てど暮らせど父はアイスを買ってくれない。それどころか、約束なんかしていない、わがままを言うなとキレ始める始末。あまりのことに、それは信義則に反する、債務不履行だ!と言って齢4歳の幼気な少女:私が喚き散らしていると、それを見かねた父の同僚だと言う人

          「ここでタバコを吸わないで」