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駄々こね観測記録

4月も半ば。
つい2週間前は満開だった桜も今では新緑に主役をゆずり、風に舞って去ろうとしている。
新年度でピンと立てていた背すじも疲れてしまったのだろうか。
昨日は「駄々こね」を3件ほど観測した。

・1件めは、息子が通う予定の保育園にて。
在園児たちがお散歩に出ているタイミングで申し込みの手続きをしに訪れたときのこと。
書類を記入していると、散歩に出ていたはずの園児がひとり、先生と一緒に帰ってきた。
どうやら散歩に行き渋り、工夫をこらした先生から郵便物を出すというミッション引き受けて一度は出発したらしい。
でもやっぱり嫌でミッションも散歩も放棄して戻ってきた模様。
集団行動から抜けて自分の意思を貫きとおす、あっぱれな「駄々こね」だ。
他の園児がいない保育園を広々と使って涼しい顔をしていた。

・2件めは、バス停へ向かう道にて。
歩いていると後ろから即興&自作特有の、単調で不安定なメロディーの歌が聞こえてきた。

♪やるわけあったらへんだよね~
だから絶対や~ら~ない~
やりたいわけがないんだよ~~

振り向いてないので正確にはわからないが多分小学生の男の子。
歌の合間に小言特有のキンと高音のアクセントが入る女性の話し声がはさまっていたので、多分お母さんに何かを早くやれと言われている。
歌で小言をかわすという余裕、そして問いからはじまる歌詞の独創性。
芸術性の高い優雅な「駄々こね」だった。

・3件めは、ドラッグストアからの帰り道にて。
遠くのほうでランドセルを放り出しボイコットをしている男の子がいた。
そのさらに数メートル先には「いい加減にしなさい!」とドスを利かせながら曲がり角から消えたり現れたりしているお母さん。
歩いていると、だんだんその親子に近づいてきた。

男の子の主張 「1時間テレビがみたい。」
お母さんの主張「じゃあまず家に帰るべし。あとランドセルを無下に扱うな。」

しびれを切らしたお母さんがランドセルを拾いにくる。
男の子は自分でランドセルを背負いたいと泣き出し、お母さんはモノに当たらないことを誓わせる。
王道の「駄々こね」だ。至極まっとうなことを言って見事にいなすお母さんに軍配はあがった。


子どもも親も先生もみんな本気だった。
大人同士の会話ではなかなか見られない、むきだしの意思と意思のぶつかり合いがまぶしい。

なんて感心してみたが、数年後には息子の「駄々こね」を受けて立つ日々がくると思うと身が引き締まる。

「駄々こね」ファイターの皆さま、毎日本当にお疲れ様です。

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