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#静かな温泉旅 栃木県の北のほうへ (1)Introduction

時間はないけど温泉宿に泊まりに行きたい、ということもよくあります。
自分自身は首都圏在住なので、時間がないけど・・・という時には、栃木県の温泉を目指すことも多いです。
首都圏からのアクセスが良く、その割に、山奥に来た感じがする。
海へのワープだったら伊豆方面ですが、山へのワープだったら、栃木県かなと思うわけです。

「ひとりで温泉宿に泊まる」を始めた頃、栃木県の温泉についての知識はほとんどありませんでした。
「鬼怒川温泉」とか「塩原温泉」を名前だけ知っていた程度。

そんな無知な自分が、そうだ栃木県の温泉に行ってみようと、那須塩原あたりを予約サイトで探してみたところ。
那須エリアで1名で安く泊まれる宿がいくつかあり、よく知らないままに、予約を入れました。板室(いたむろ)温泉、という名前でした。

板室温泉は、那須塩原市にあります。場所的にはちょうど、那須温泉郷と塩原温泉郷との間。
調べてみると、近くまで高速バスで行けるようです。予約時に、高速バスで行きますと宿にコメントを送りました。
後で宿からメールが来て、高速バスが途中で休憩するパーキングエリアに着いたら電話をください、とのことでした。
高速バスのバス停まで、車で迎えに来てくださるそうです。

都内から那須温泉行きの高速バスに乗り、首都高を経て東北自動車道へ入ったバスは、確かにパーキングエリアで休憩をしました。
休憩中に宿に電話を入れます。
その後バスは東北自動車道を降り、牧草地や林を抜けていきました。宿の方に教わったバス停で降りると、宿のワゴンが待っていました。

当時はまだひとり温泉旅の初心者、ひとりなのに宿に送迎していただいたのは初めての経験です。
雨が降っていたので、後部座席のドアを開けたお兄さんが傘をさしてくださいました。

宿の車は徐々に山へと入っていき、登り切ってから少し下ったところが、板室の温泉街でした。

この日の宿は温泉街の一番奥。玄関で宿帳に名前と住所を書きます。ご主人が荷物を持って下さり、階段を上って4階の角部屋へ。
6畳のシンプルな和室で、窓の向こうは川の流れる音でした。冷蔵庫、トイレは共用です。

後で知ったのですが、ここ板室温泉は「下野の薬湯」と呼ばれるアルカリ性の優しいお湯がわく、湯治場だったのでした。
湯治をするところなので、体調を整える単に長く滞在される方が多いわけです。
そんな人向けに宿泊料金も抑えられている分、宿の設備もシンプルなのですね。

さて、時刻は13時過ぎ。早い時間帯にチェックインできるプランでした。
お昼を食べようと思い、フロントで近くに飲食店がないか聞いてみると、そば屋さんがあるそう。
歩いてそのお店に行き、くるみ蕎麦をいただきました。

宿に戻って、温泉へ。
ぬるめのお湯が心地よく。アルカリ性ということで、手に取るととろみを感じます。
湯口にコップが置かれています。ということは飲める温泉だということで、ごくり。かすかに、普通の水とは違う味です。

このとき、板室温泉で宿泊した人は、他の宿のお風呂にも入れるというサービスをしていました。
宿の浴衣を着て、宿のきんちゃく袋を持っていく必要があるようです。
せっかくなので、行ってみることにしましょう。

まだ雨は止んでおらず、宿の奥さんが傘を貸してくださいました。傘にも宿の名前。温泉旅らしさいっぱい。

近くの宿を巡り、合計4か所も入れてもらいました。
那珂川が見える大きなお風呂、檜風呂、家族風呂のような小さいお風呂、ジェットバスになっているお風呂。

温泉にたくさん入ると、後でどっと疲れてしまうこともありますが、板室の優しいお湯は、たくさん入ってもさほど疲れなかったのが印象的でした。
体に合っていたのか、そもそも疲れない優しいお湯なのでしょうか。

4件目のお風呂を出てから、「たばこ」の看板がある古びた商店に寄って、缶ビールとおつまみを買います。
奥からおばあちゃんが出てきて、金額をそろばんで計算して、お支払い。

この「たばこ」のお店も、今はもう営業していません。

宿に戻り、夕食はお部屋でいただきます。
食事の時間が早いのは、年配の方が多い湯治場だからなのでしょうか。
優しい感じの味付けで、健康になれそうな気がしました。
食べ終わったら、お膳を廊下に出しておきます。ごちそうさまです。

次の日も雨でした。
行きと同じく高速バスで帰ることにしていたのですが、チェックアウトしてからバスに乗るまで、かなり時間があります。
近くに歩いて行ける観光スポットがないか宿のご主人に聞いたところ、滝があるそうですが少し遠く、しかも天気は雨。
ただ、1,000円を払えばもう少し宿に滞在できますよ、ということだったので、宿でもう少しくつろぐことにしました。

バス停までも送っていただきます。
帰りの車の中で、連泊がおすすめですよ、と言われました。確かに、フロントで、長期滞在の電話予約を受けているのを何度か目にしました。

その後、板室温泉を気に入って、おすすめの通り連泊したりもしつつ、板室温泉の近くの温泉へも出かけるようになります。
鬼怒川温泉のお隣、川治温泉も、板室のように優しいお湯に入れます。
そのさらに奥の湯西川温泉は、源氏に敗れた平家の武士が隠れ住んだとされる山奥の秘境。

ここ数年は、塩原温泉郷に泊まることが多いです。
東京駅から東北新幹線と路線バスを乗り継いで、2時間そこそこで着けるのは、まさにワープ。

温泉街までまっすぐワープも良いのですが、途中の宇都宮で降りて、宇都宮餃子を食べてから塩原に行くことも結構あります。
あるいは塩原からの帰りに宇都宮に寄って餃子を食べて帰る、というパターンもあり。

というわけで、栃木県への温泉旅の楽しさについても、少しずつ書いていければと思っています。

ここまでご覧くださり、ありがとうございました。 今後も静かな温泉旅をしつつ、noteを書いていければと思います。 サポートいただけたら嬉しいです。