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#静かな温泉旅 なら、信州上田へ (2)Seasons

前回、自分の好きな信州上田への温泉旅について、どんなところが好きなのかを書いてみようとしました。

引き続き、上田への温泉旅について書いてみたいと思います。
春夏秋冬、いろんな時期に出かけてきたので、季節ごとに書いてみようというわけで。


春の上田

上田は山の中、春は少しだけ遅くやってくる気がします。
日によっては空がまだ寒々しかったり、4月の終わりでも桜の花が咲いていたり。

降水量の少ない地域だとは思うのですが、春に上田に行くと雨にあうことが多いです。たぶん偶然でしょうけど。

2021年の3月に上田に来た時も、小雨が降っていました。
ちょうど、上田駅と「信州の鎌倉」別所温泉とを結ぶローカル線「上田電鉄別所線」が全線開通した日。(この日に出かけたのも偶然です)
2019年秋の台風で、千曲川を渡る鉄橋が流されてしまったのが、1年半かけて橋をかけ直し、復旧したその日でした。
お昼前に、一番列車がその鉄橋を渡るというので、上田駅に着いてすぐ、千曲川の河原へ急ぎます。
一番列車は鉄橋を途中まで渡っていったん停止し、警笛を鳴らしてからゆっくり千曲川を渡って上田駅へ入っていきました。

その日は、別所温泉に宿を取っていました。もちろん、開通したばかりの別所線で向かいます。
この日は特別に、無料で乗ることができました。

車内は笑顔の人がたくさん乗っていて、ちょっとしたラッシュアワーのよう。
乗り降りする人も多く、電車は少し遅れて終点の別所温泉駅に着きます。ブラスバンドの演奏が、電車とお客さんとをお出迎え。

別所温泉で1泊して次の日。
昨日の賑わいは夢の跡のように、日常が帰ってきていました。

夏の上田

夏に上田に行くときは、夏休みを利用して日程を2泊3日にすることも多いです。
上田駅を起点に電車やバスで行ける温泉地も多く、1泊目と2泊目の宿を別な温泉地にして、少しだけ移動する感じ。
真ん中の2日目が移動が少なくて、時間を多く取れます。

上田には、昭和の途中まで多くのローカル線が走っていたようです。
その多くが廃止になり、今は、先ほど取り上げた別所線と、しなの鉄道だけが残ります。
廃止になったローカル線の代わりに、今は同じルートをバスが走っています。

とある年の夏、2泊3日で出かけてきました。
初日の宿は、上田市のお隣、青木村にある田沢温泉。ぬるめの硫黄泉で、暑い季節は気持ち良く。
チェックアウト後、バス停まで車で送ってくださるとのことだったのですが、ゆっくり歩いてみました。

村の細い道を歩き、そこから上田行きのバスに乗車。
バスはまっすぐ上田駅を目指します。このバスのルートも、かつては電車が走っていたそう。
右から別所線の線路が寄ってきたので、途中でバスを降りて、電車に乗り換えることにしました。
「丸子駅」というところから別なバスに乗れば、霊泉寺温泉へ行けると思っていて。
ところがこれは自分の勘違い。別所線には「丸子駅」という駅はないと知りました。
無人駅の待合室で、どうすれば電車とバスだけで霊泉寺温泉に着けるか、携帯電話を片手に少し調べます。
別所線の電車とバスを乗り継げば「丸子駅」に着けることが分かったので、まずは電車に乗りました。
10分ほど乗って降りると、丸子行きのバスが待っています。これまた、廃止になったローカル線を受け継いだバスでした。

バスは小高い丘を登ってから、丸子の町へ入っていきます。終点の名前は確かに「丸子駅」。
電車の駅がなくなってからも、バス停は「駅」を名乗っていました。
バス乗り場は何だか広々として、昔は駅だったと言われてみれば、まあ、そうかなと。

丸子「駅」バス停。(2021年3月)

さて、この日の宿を予約してある霊泉寺温泉へは、ここ丸子から、また別なバスに乗れば良いようです。
時刻表を見ると、次のバスは2時間後。
近くにタクシーの営業所があるのを見つけて、霊泉寺温泉までタクシーに乗せてもらうことにしました。
運転手さんによれば、霊泉寺温泉には何もなく、まさに秘湯、だそう。
タクシーのメーターがどんどん上がっていくので、霊泉寺温泉の入口だというバス停のそばで下ろしてもらいました。

ここから霊泉寺温泉までは2キロほど。また歩いていきます。
前の日からやたらと歩いていますが、そこまでひどい暑さでもなかったのです。
小川に沿って細い道を歩いていくと、老人ホームが見えてきました。
続いて、古めかしいお寺と、やっているかどうか分からない宿がいくつか、あとはコンクリート造りの大きな共同浴場。

一番奥の宿にチェックインします。
宿の展望風呂のお湯はぬるめで、さっぱりしたお湯でした。
確かに秘湯のたたずまい。音のない、しんとしたところです。
聞こえる音と言えば、向かいの共同浴場から聞こえてくる、からーん、という洗面器の音くらいのもので。

秋の上田

秋に上田近辺の温泉宿へ泊まると、お食事に松茸が出てくることも多いです。土瓶蒸し、お吸い物、松茸ご飯。
温泉宿に泊まるときは食事をつけないことも多いのですが、たまには宿でゆっくりいただくのもいいものです。

2020年の秋、上田からお隣の千曲市にある「戸倉上山田温泉」へ1泊してきました。
感染症が流行していて、旅行する人は激減し、温泉宿も大変だった頃です。
そんな中、インターネットのクラウドファンディングでお金を募っている温泉宿がいくつかありました。
自分も何件かクラウドファンディングに参加したのですが、その中の1件が、戸倉上山田温泉の宿で。
クラウドファンディングのリターンで宿泊券をいただいたので、流行が少し落ち着いたタイミングで出かけてみたわけです。

上田駅から、戸倉上山田温泉の最寄り駅までは電車で15分ほど。

駅を出て千曲川を橋で渡り、温泉街が見えてきます。
お店も多くて、上田にある別所温泉や鹿教湯温泉とはまた違った雰囲気です。でも、歩く人はまばら。

コンビニでおやきとお酒を買ってから、今日の宿へ向かいます。
ひとりでの宿泊でしたが、ツインベッドのある大きなお部屋に案内していただきました。
お風呂も、感染症対策でしょうか、常に貸切。時間帯でお湯の色が微妙に変わる、卵の香りがする素敵な温泉にゆっくり入れました。
お食事はお部屋でいただきました。そう言えば、松茸の土瓶蒸しも出てきましたね。

冬の上田

スキー場のある菅平高原などを除いて、上田市のあたりはあまり雪は降りません。秋の終わりと冬の始まりがはっきりしていない感じもあります。

暮れの寒い時期にも、何度か上田の温泉に出かけたことがあります。
とある年の暮れも、都内から高速バスで上田へ。
群馬県と長野県の境目のあたりは雪がちらついていましたが、小諸のあたりからきれいに晴れて、遠くまで冬の空が広がります。

上田駅でバスを降り、住宅街の中にある蕎麦屋さんでお昼にしました。

上田からは、松本行きの特急バスに乗ります。途中の鹿教湯温泉で降りて、この日は鹿教湯温泉で1泊の予定。
普通のバスなら鹿教湯温泉まで1時間以上かかるところを、特急バスだと40分ほどで着きました。

宿にチェックインして、こたつでぬくぬくと過ごし、温泉に入り。やはり寒い季節の温泉は、沁みる。。。

空が暗くなったあたりで、夕食を食べに行きます。この日は素泊まりにしていたのでした。
温泉街には居酒屋さんと蕎麦屋さんがあるのですが、居酒屋さんはお休みとのことで、蕎麦屋さんへ。
あ、お昼も夜もそばになりました。年越しそばの季節だし、こんな日があってもいいかな。

さて、冬の鹿教湯温泉の風物詩と言えば、氷灯ろう。
夜になると、氷に覆われたろうそくの灯りが、温泉街を優しく照らします。
一つ一つ、消えちゃいそうな灯りを眺めながら散歩。

お休みだと聞いていた居酒屋さんの前を通ると「営業中」とあります。
嬉しくなって、入ってみました。
ただ、すでにお腹はいっぱいです。

(続き、ではないのですが、もう少し読んでもいいかなと思ったら、こちらもどうぞ。)


ここまでご覧くださり、ありがとうございました。 今後も静かな温泉旅をしつつ、noteを書いていければと思います。 サポートいただけたら嬉しいです。