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#48 私が今の指導スタンスに辿りついた理由 (やりたくないことから考えてみる)

春ですね。

みなさん花粉の具合はどうですか?

私の人生は小学生の頃から花粉との闘いだったのですが、

今シーズン、実はあまり症状が出ていないんです。

もちろん薬は念のため服用していますが、
例年はそれでも全く効果がなかったので、自分でも驚きと喜びを感じています。

おそらくお酒をやめて1年以上経つことや、
乳製品をあまり摂らなくなったことも関係しているかもしれません。

症状が辛い方もそうでない方も、
春という短い季節を少しでも楽しめることを
願っています。


さて今回は、おおよそ人生の折り返しと言われる40歳を目前にした自分が、今後のS&Cコーチとしての展望について考えている中で、大切にしたいことについて書いてみます。



これまでのトレーナー、S&Cコーチとしての歩み


まず背景として私のこれまでの歩みについて簡単に書くと、

・高校卒業後、専門学校でトレーナーとしての勉強をする

・専門学校卒業後、整形外科に就職(リハビリ担当)

・整形外科勤務の傍らサッカーチームのトレーナーになる

・整形外科を退職してサッカーチームとアスレティックトレーナーとして専属契約

・徐々にチーム内でストレングストレーニングを任される

・同チームにおいてアスレティックトレーナーからS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチへ役職が変わる

・トップチームとアカデミーのS&Cコーチを兼任

・同チームはスポットでの指導で、その他個人やチームへの指導も実施

といった流れで現在に至ります。


実際にトレーナーとして現場での活動経験がほぼ無くサッカーも経験したことがない中で、
サッカーチーム(現福島ユナイテッドFC)で活動すること自体なかなか大変なことではありました。



この時期の苦悩や歩みに関しては有料にはなりますが、よろしければこちらをご覧ください🙇‍♂️



同じチーム内ではありますが、

【役割】
  アスレティックトレーナー
  ↪︎ストレングスコーチ兼任
  ↪︎S&Cコーチ

【勤務形態】
  整形外科とチームトレーナー兼任
  ↪︎専属
  ↪︎スポット

【カテゴリー】
  トップチーム
  ↪︎アカデミーとの兼任


といったように役職や関わり方を変えながら様々な経験をしてきました。


このように、チームとの関わり方や役職が変動していった一番の理由を考えてみると、

「自分がやりたいこと」


というよりも、


「チーム、選手にとって、何が足りないのか」

から自分のやるべきことを決めてきたからだと感じています。

県リーグのチームがJリーグを目指していくわけですから、チームの環境はどんどん変わっていくので、自分もそれに応じて変わって行かざるを得なかった。とも言えるかもしれません。

なので、ここ数年は

果たして自分がやりたいことは何なのか?


についてよく考える機会が増えてきていました。


やりたいことの前に、やりたくないことは何か?


ただ、やりたいことを考えてみてもあまりしっくりこなかったので、やりたいことを考える前に、やりたくないことは何か?を考えてみることにしました。

細かいことも、抽象的なことも色々挙げてみたのですが、その中でも特に仕事に直結するものが、

「やる気のない人への対応」

でした。笑


ここでの「やる気」というのは「前向きな思考や行動」と捉えてください。


昔はしっかりトレーニングに取り組まない(サボっている)選手がいると、
個人的にも、チーム全体でもそれを指摘し、よく叱ったりしていましたが、


最近はそういう選手がいても、すぐには指摘せずしばらく観察したりしています。
※ただし、他のチームメイトにも直接マイナスの影響があると思われる場合はすぐに対応します


なぜそうなってきたのかというと、


言われただけでは簡単に人は変わらないし、言われて変わったとしてもそれは表面上でしかないことの方が多い


と経験上感じているからです。

私のこれまでのnoteの記事でもよく触れていますが、

やはり、本人が何かしらのきっかけによって本当に気づくことができるまで、指導者側としてはある程度アクションは起こしつつも、見守るというスタンスが必要になってきます。

ただ、

正直に書きますが、

これ、

本当にストレスがかかることなんです。

見守るということは、辛抱強く我慢することでもあります。

また、例えば自分が苦悩の末に考え抜いたトレーニングプログラム

それを、

「面倒くせぇ」

「やりたくない」

と言われたり、

適当に取り組まれたりすれば

そりゃ誰でもイラッとするし、虚しくもなります。

わかりますよ、

その選手にも何かしらの大変な理由があって、つい一時的にやる気を失っているだけなのかもしれませんよね

もしかしたら、そのプログラム自体がその状況に適していなかったのかもしれません。これは私側の問題ですね。

私も理解しています。

ただ、そのストレスはとても大きいのです。

多分これは私だけではなく、

指導者という立場の方であれば、ある程度共感していただけると思います。


やりたくないことがあっても頑張れる理由


しかし、なぜそういった中でも指導者としてあるべき姿を示し続けられる素晴らしい方々が存在するのかを考えた結果、私の中では大きく2つ理由があって、

まず1つ目は

その競技が好きだから

というとてもシンプルな想いが強いということ。


サッカーの現場で働いていると、この部分をとても強く感じるのです。


みんな本当にサッカーが好きなんだな と


サッカー以外のスポーツでも同じだと思います。

では自分はどうなのかというと、

そこまで好きというわけではない。

というのが本音です。

最初の方にも書きましたが、


スポーツチームに関わり続けてきた中で、


今のチームに何が足りないのか?
から、自分のやるべきことを決めてきた自分の中には、

「その競技が好きだから」

というキツイ時でも頑張れる動機が存在していないのです。


もう一つの理由は、

そのチーム、選手の未来をみている

ということです。


今、伝わらなかったとしても


将来気づいてくれるかもしれないし、一生気づかないかもしれない


でも、そういったチームや選手の将来に少しでも今の経験が活かされるはず


そう信じて、辛いことがあっても取り組める人は多いはずですし、


私もこの姿勢は大事だと思っています。


これは「愛情」とも表現できるかもしれません。


試行錯誤の末に辿り着いた現場での私の基本スタンス・やりたいこと


仕事においては、誰でもやりたいことばかりやっていられるわけではありません。


私も先述したようなストレスはあるものの、

それに対して目を逸らしたり、逃げてしまうのではなく

どうやってより良い方向へ向かっていけるのかを考えていた中で、たどり着いたスタンスが、


「やる気のない人にかけている時間があれば、それをやる気のある選手に対して使うよう心がける」


というものです


なので、私はあまり自分から選手に対して


基本的なこと以外あれこれやりなさい
という指示は出さず、相談してきた選手にのみ対応しています。


いやいや、チームの指導であれば全員のパフォーマンスを上げるために対応するべきでしょ!


と思われる方もいらっしゃると思うのですが、


この、


「やる気のある選手に対して時間を使うよう心がける」


ということは、


私自身のリスクマネジメントにもなりますし、
それ以外の選手(やる気のない選手)を無視しているわけではない。と私は考えています。


例えば、やる気のある選手があるトレーニングに熱心に取り組んでいたとして、その選手が徐々にパフォーマンスを向上させて結果を出すことができれば、


結果的にそれ以外の選手たちにも、その必要性に気づいてもらうことができると思います。


それは直接的な言葉よりも効果が大きいはず。


そう信じていますし、
私自身もポジティブな力を注ぐことができます。


実際に私はチームにてウエイトトレーニングを中心としたトレーニングプログラムを高卒は3年間、大卒は2年間は基本的に実施してもらい、その他は希望する選手のみに提供していますが、


ここ5〜6年程はチームの8〜9割の選手が継続してくれています。


そういった、所謂「やる気」のある選手とのトレーニングはとてもやりがいがあり楽しいです。


こういった事からも、
自分は真剣に前向きに競技に向き合っている選手の力に最大限なりたいと心の底から願っているんだということを再認識できますし、


これこそが先に挙げた多くの方々の、


「その競技が好きだから」


というシンプルな動機に匹敵する、自分の仕事においてやりたいことなんだと気づくこともできました。

チーム指導と個人指導の違い


この私のスタンスは、全てのスポーツチームにおいて歓迎されるものではありません。

今現在指導させていただいているいくつかのチームは、私のスタンスを理解してくださっていると思っていますし、私自身特にストレスはありません。


とてもありがたいことです。


ただ、


これはおそらく稀なケースだと思っていて、

やはり自分と契約して対価を支払うチーム側としては、なるべく全員に対してアプローチしてほしいと願うのも当然だと思います。


チームまたは個人との契約上求められるものには様々な違いはありますが、その中の一つとしては今回の話にあるように、

・チーム→チーム全体を(やる気のない人も)良い方向へ促せるようにする

・個人→やる気のない人は相手にしない(そもそも自分を必要としていない人は来ない)


という違いがあることは理解しておけると、


自分が得意なことや向いている対象がわかり、無駄なストレスを抱えることなく仕事を選択できるかもしれません。


どちらが良い悪いではありません。


チームであれば、やる気のなかった選手が段々と成長して結果を出した時の喜びは格別だと思いますし、



個人でやる気がある選手でも、深く悩みすぎたり、依存関係になってしまうといったリスクもあります。


なので、私はチームや個人で求められるものに違いはあると理解はしたうえで、


「やる気のある選手に対して時間を使うよう心がける」


というスタンスでいることが、今のところしっくりきています。


今後もやる気のある選手たちの力に最大限なれるように、


私のことを必要としてくれる人たちに、私という存在を知ってもらえるようにすること


にも注力していきたいと思っています。


同世代の皆さんへ


おそらく


特に自分からやりたい!


と思って始めたことではなくても、


ある程度長い年月それを続けていくと


途中でやりがいに変わっていく人もいれば、


途中で


あれ、本当に自分がやりたいことってなんだっけ?


と壁に当たる人もいると思います。



そんな時は、今回のように過去を振り返りながら



やりたいこと



の前に



やりたくないこと



を考えてみると、次第にやりたいことが明確になってくるかもしれません。


今回は40歳という人生の折り返しに差し掛かった私が、今後について考えていることについて書いてみました。


寒暖差が激しいので、皆さん体調崩さないようにしてくださいね。

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