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東京に行かないと成長できないのでしょうか?

あの質問をずっと考えている

研究室に、訪ねてきてくれた大学3年生。

「やっぱ、東京に行かないと成長ってできないんですかね?」

「別に、地元でもいいと思ってるけど、成長って考えたらやっぱり東京しかないのかなーって、どう思います?土屋さん」

かなり、軽いステップながら、ドシンとくるパンチのある質問。

軽くこたえることもできなかったし、肯定も否定もすぐにはできなかった。

あのとき、はっきりとした明確な答えが出せなかった(と思ってる)。
わかりやすく考えを表現できなかった。
あの時は、ごめん。

あれから、ずっと考えてました。


地方を選ぶってことは逃げているんじゃないの?

今年卒業する私の周りにいる4年生には、
育った地元に戻って就職する学生もかなりいる。

東京の誰しもが知っている企業に就職する学生もいる。

どちらも、妥協していたり、後悔していたり、嫌々で選択した道ではない(はずだ)。

地元で働きたい理由、地元にいたい理由、地元を選んだ理由があったりする。もちろん、その理由は就職活動前から持っていた人も、就職活動をしていく中で見えてきたり、思いが固まってきた人もいる。

これは時々だけど、伴走させてもらったから見えてきたこと。

大学教員になるまで、就職活動側ではなく、反対側の新卒採用側だった。採用する側、募集する側だった。
私が東京での採用のときは、今感じていたこととはちょっと違った視点でしか見れていなかった。

「東京というチャンスがあるフィールドに挑戦しないでどうするんだ?」
「成長するなら、地方なんてありえない。」
「地方を選ぶってことは逃げているんじゃないの?」
「自分の可能性を狭めているんじゃないの?」

なんて思ってしまっている気持ちがあった。これは正直なところだ。
今思えば、ほんと視野が狭いのは私だったし、イケてなかったと思う。


地方就職をした彼らは成長を諦めたということなのだろうか?

そんなことはない。まったくもって、そんなことではない。

これだけは確実に言える。彼らが選んだ仕事・職業・会社・文化・同僚・先輩・上司などの環境は、彼らが成長できる、したい、と思えたから選んでいる。

初めての学生側・大学側からの就職活動を通して見えてきたのは、彼らは成長意欲をもって、成長の可能性を感じて地元(地方)での就職を選んでいる。


地方で新卒採用をしていた時の採用担当者としての気持ち

大学の教員になる前は、地元宮崎のIT企業でも採用もしていた。

あの時出会った学生たちに話をしていたのは、

「東京か宮崎かではなく、成長する市場かどうか?」
「君がなりたい自分になれる機会が提供される環境か?」
「君のチカラで会社、マーケットへ影響を生み出せそうか?」

そんな会社で働きたくないか?僕と一緒に働かないか?だった。

あの時学生として出会ったメンバーは、今も頑張ってくれている人もいるし、東京や福岡やいろんなところで活躍している。素敵なメンバーだった。

採用する側としては、採用活動という点に関して言えば、宮崎という地方のハンデはあった。母数形成が難しいという点だ。
ただし、東京のような採用激戦区に比べれば、あの手この手でアプローチをして注目してもらえることも可能で、採用単価と質という点ではかなりイケていたと思う。

自社のビジョンや市場、戦略、提示するキャリアプランの持つ、相対的な競争力や魅力を形成できていれば、地方でも勝負できるという自信があったし、優秀な人材を採用できた。

入社してくれた彼らは素晴らしい成長と市場評価を獲得することができたと思う。


東京には、企業集積と人材集積による機会と刺激があるのは事実

私自身、大学で東京へ進学し、東京で働いてきたし、
実際のところ学生には

「一度は、東京で就職活動してきたほうがいいんじゃない?」

って言ってる。

海外に興味ある学生には、「海外の企業を相手に就職活動したら?」とも言っている。

変な東京コンプレックスを持ったまま、悩んだり考えたりするのはしてほしくないという思いからである。

要は、東京の会社だって普通の会社。東京で就職活動している学生だって普通の学生ばかり、みんなとは変わらない。情報の量やトライ・アンド・エラーの回数が違うところはあると思う。
物理的に、東京在住であれば1週間の就活で接触・面接できる会社数が大きく違う。お祈りメールへの耐性も早々に身につけることができたりする。

企業数が違うのは事実だから。そして、自分の会社のビジョンや戦略を自分の言葉で話せる人事や経営者との接触も多くできる。これは東京の強みではあるよね。


東京への幻想が持つパワーはすごいのも事実

でもね、東京ってだけで、東京の会社ってだけで、すべての会社が、自社のビジョンや戦略を語り、成長市場に挑戦し、新規事業を展開し、優秀な人事が自分の言葉で語るわけではないんだよ。

でも、なんか「東京」ってだけで、成長できそうってイメージあるよね。

はっきり言うと、それは『幻想』だと思う。

大きな組織に所属したら、本当に君が成長できるのか?
東京にいるだけで、君の求めるなりたい自分に確実になるのか?

そんなことはないと思う。

東京だろうが、地方だろうが、君が成長したいという思える場所と出会えれば、そこで成長できるんだと思う。

地方の企業は東京に比べて情報(価値)が分かりづらかったりする。
採用担当者や経営者でさえ、成長したい!と思っている学生に対しての自社の強みを自分の言葉で、伝わる言葉でコミュニケーションを取ることが苦手な会社が多い。

そこは宝探しになってしまうのだけど、実は東京だったとしても君の理想の会社探しは、宝探しと同じだったりすると思うよ。


就職活動は大事だけど、それがすべてではないよ

こんなふわっとした事を言うと、より悩ませてしまうかもしれない。
いや、確実に悩むだろうし、「おい、土屋なんだよ」って思うだろうけど。

自分でイメージができて、納得できる場所を探したり、作ったりすれば、どこでも成長できると思うんだ。

言葉を変えれば、その場所に自分で意味をもたせることができれば、君はどこでも成長できる。

東京か、地方か?いやいや、海外でもいいじゃん。
え、就活やめて起業する?それもいいんじゃない?
休学して旅してくる?最高じゃないか!

君が自分で探し、考え、選ぶ成長するフィールドは、
君が意味を見いだせる場所であって、エリアや会社名ではないと思う。

もし、働きはじめた後に、新しい価値、新しい意味と出会って
それがその場所になかったり、作れないのであれば

転職しちゃえばいいんだよ。起業したっていいんだよ。

その選択と判断の過程が、さらに君を成長させる一つの機会となると思います。

大丈夫だよ

また、なにかあれば研究室に来て、話を聞かせてくださいな。

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