過去の詩 2

詩のリハビリを始めると言いましたが、依然新作はできていません。今回も変わらず過去作をあげます。
これは愁文会の会誌に載せた作品の中でも取り上げたものなのですが、今のところ当時の評価としては最高峰です(当社比)。


      「ハーバリウム」

私の夢
小さな貴方を
小さな瓶に浮かべて
硬く重い水の中で
なんにも知らずに
目を閉じていて

時を刻む心臓の音
手を伝って
ガラスを伝って
眠る貴方に届くだろうか

私だけの手のひらで
眠る貴方の質量が
私だけの確実な愛

瓶を割る妄想にぞくぞくして
大切に両手を包み込む
ゆったり伝わる冷たさが
貴方の永遠(とわ)の温かみ

貴方がくれた白薔薇が
熟れて真っ赤に変わるように
私の祈りは空に通じて
真っ赤な空は貴方を届ける

ああ、私の夢!
小さな貴方を
小さな瓶に浮かべて
硬く重い水の中で
なんにも知らずに
目を閉じていて……


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