朝と遮断機

 朝は遮断機が気持ちを掻き立てる。
 やばい! 間に合うのか! と走って階段をかけ登りホームへと向かうのです。1時間に2本しか発着しないので一本乗り過ごすと頭がいたい(走るせいで足と脇腹もいたい)。時間通りに向かわなければいけないのはきまって朝で、夕方は待合室で読書をしたりケータイをいじったりと余裕があるのです。だれでもそういえませんか?
 この街は車社会なのでこのご時世電車をつかって通勤する人はだいたいが大きな会社か公務員かお年寄りで。ちょうど私が高校生なるときに学区がとれて地元以外の公立の高校に自由に通えるようになったので少しは「田舎鉄道」をつかう若者が増えたかもしれない。
 でも朝は制服姿をみないのに夕方にはぎゅうぎゅうになるくらい学生が乗っているのはなんでなんだろう......。きっと学生はめざましてれび(フジ系列)が終わる頃には電車に乗るのも済ませて学校に到着しているのだろう。私もそうだったなあ。もう10年以上も以前の話ですけれどね。
 高校生の頃は、そう、7時には学校に着いていたし、朝練だ! っていって10キロマラソンをしてそれからダンベルを上げていた(朝のホームルーム前ですよ!?)。そうです、バドミントン部でした。そうです、といってもそれは別に悲惨な話ではない。だって楽しかったから。それで放課後、部活のじかんになるとまた10キロ走るわけですが、走れ! といわれると嫌気がさすものです。なので田んぼの用水路にしゃがんで隠れたりしていました。

 遮断機がカンカンカンと音をたてると「朝だ!!」と思うのは大人になった証かもしれない......と今朝は思ってみたりしたのだ。
 電車に乗ってしばらく走ると、昔自分が隠れた田んぼが見える。一面田んぼ地帯の平野にあの用水路がある。今は誰か隠れていやあしないかと少しだけワクワクするのは毎朝の気持ちの後ずされなんだなあと感じるんです。

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