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2台デジタルピアノによる演奏会Project『白と黒で』/1月30日(火)19:00のプレイベント「公開リハーサル」の取扱説明書


「デジピ2台」を定義するプレイベント


公開リハーサルとは・・・?

来る2024年2月25日、「2台のデジタルピアノによる演奏会「白と黒で」 本荘悠亜/横山博」が開催される。本邦初といってもよい、2台の電子ピアノを用いて、本格的なピアニストが20世紀の音楽―ホルストからライヒまで―を演奏するコンサートである。本コンサートは、東京都歴史文化財団、アーツカウンシル東京のスタートアップ助成にも採択された挑戦的企画である。

※2/25本公演の詳細・チケット入手は下記から。昼の部と夜の部があります

さて、この公演にさきがけて開催される「公開リハーサル」が1月30日に迫っている。「公開リハーサル」というイベント自体は、オーケストラの公演などで時たま開催される催しである(バックステージツアーがついていたりもする)。

舞台裏を大公開。


しかし、私たちの「公開リハーサル」は、単に合わせ練習の風景を垂れ流しにし、聴衆を置き去りにする「ゲネプロ」ではない
私たちは、「デジタルピアノ2台」という未だ確立されていないジャンルに対し、まず自らの手でトライし、結果を観察して、その端緒をつかもうとする。
「デジタルピアノ2台」の公演には何が必要か?
この取り組みにどんな哲学的な意味があるか?
アナログとデジタルの接点は何か?
音響的効果はどうあるべきか?
そして、本公演当日の演奏の性質は、この「公開リハーサル」での観察結果に大きく方向づけられることだろう、
「2台デジタルピアノ」という、前人未到の土地を踏み分け、皆の助けを借り、一緒に考え、可能な限りよく定義づけようとするのが、このプレイベントの性格である。

公開リハーサルのおしながき


がらんどうの会場、ここから何が生まれるのか?

さて、公開リハーサルのプログラムというか、進行のおしながきを下記に載せよう。全体は、(かなり長めの)トークセッション+3つのエピソードによって進行する。

  • Opening Talk Session 2台デジタルピアノの可能性と「デジタルピアニストの本音」(Guest:オタイオーディオ代表/電子ピアノ専門店otto代表ようすけ管理人

  • Episode.1 デジタルピアノの音響制作ことはじめ~「木星」を題材に~

  • Episode.2 ライヒ「ピアノフェイズ」を料理する

  • Episode.3 (EXTRA Session) 白と黒でのリハ風景

見どころ①電子ピアノ専門店社長とトークセッション

「公開リハーサル」はかなりの割合、トークセッションを中心に展開する
えっ?リハーサルなんだから音を出すんじゃないの?と思われたあなた、それは甘い。
私たちは何よりもまず、「2台デジタルピアノ」という愛すべきジャンルについて、語りたいのだ。
なんにも答えが出なくてもいいし、真面目くさった顔で話す議題なんてない。
もちろん、「プレイベント」にふさわしく、今回はアドバイザーでもあり、音響制作を担当してくださっている電子ピアノ専門店の井上揚介さん(ようすけ管理人)もゲストにお招きし、登場人物の顔見世も兼ねた会となる。
私たちは何者か?デジタルピアノとともにどこに向かいたいのか?未来を語る時間になればと思う。

予習用教材として、共演者横山博さんと、音響制作のようすけ管理人の対談インタビュー動画をぜひ視聴いただきたい。(40分超なので2倍速視聴を推奨。)もちろんこの動画を見てなくてもプレイベントは楽しんでいただけます。

見どころ②音響制作の実演

次の見どころは、音響制作の実演であろう。
「電子ピアノなのに音響制作?シンセサイザーじゃないの?」
そう、電子ピアノの「味付けなし」の音。つまり内臓スピーカーをした音だけではコンサート用には少々、いや、だいぶん音量的に心もとない。

僕たちの使う電子ピアノは、CASIOさんのPriviaシリーズPX-160である。

PX-160BK

こちらのモデルは2015年に発売され、すでに生産終了している。
最新型のPX-5000やPX-7000というモデルを使うという選択肢もあったわけだが、あえて。「超ハイエンドモデル」でなくたって、「一般的なモデル」で、十分に聴き手の耳を満足させることができるに違いない、という我々の確信からくるチョイスである。
しかし、電子ピアノはどれだって、グランドピアノみたいな大屋根もなければ、弦や響板の共鳴による増幅もない。
電子ピアノはどこまでいっても「家庭用楽器」として作られた工業製品なのだ。しかし、そこに別なる工業製品が組み合わさることで、この電子ピアノは「コンサート用演奏楽器」と化すのである。
その工業製品こそが、エレクトロボイス(EV)社による、最新!バッテリー駆動型の持ち歩き可能モデルのスピーカーである。


Electro-Voice Everse8

オタイオーディオ様によるスピーカーの紹介動画はこちら。
「ステージライブもこれ一発!」何やらシミ消し化粧品みたい。
バッテリー12時間駆動の優れもの。

この「PX-160&Everse8」の組み合わせにより、ようやく私たちの電子ピアノは「コンサートホールで一番後ろの座席にまで届く音量」を担保されることになる。今回、我々はこの会場で初めて本番の音響に立ち会う。もちろん会場の下見はしているが、音響制作そのものをようすけ管理人に完全にお任せしちゃっているのだ。餅は餅屋。
前回の記事でも「調律が要らないデジタルピアノ」ということを力説したが、だから手間暇かからない、と言いたいわけではない。調律不要であるからこそ、この「音響制作」に焦点を当てたいのだ。
トークセッションではもちろん「デジピをかっこよく聴かせるPA」についてもようすけ管理人にたっぷりとお伺いしていくし、そのあとのEpisode1においては、スピーカーの配置やリバーブ効果、低音のウーファーの有無など、具体的に実験を重ねていき、最適なものを見つけていく。まさに音づくりの風景をまざまざと体験できるイベントになること間違いない。

見どころ③プロジェクター楽譜投影で脳内丸見え


さらなる見どころは、奏者が見ている楽譜のプロジェクションである。これは本公演では行わない演出だ(Steve Reich: Piano Phase以外)。
今回のデジタルピアノ公演では、奏者の楽譜はすべてiPad Pro(12.9inch)を用いて閲覧する。
そして下の画像のように、デジタルピアノの真ん中から歯医者さんのようなアームを取り付け、ビヨーンと目線の高さにまでiPadを配置する。

我々は、この公演までに10回以上の宅内リハーサルをおこなっているが、その間、たくさんの色とりどりの書き込みが楽譜に集積する。
今回の「公開リハーサル」では、当日演奏予定の楽曲の一部を抜粋し、実際にリハーサルの風景を楽譜とともに実況中継する。
そして、楽譜をめくるタイミング、書き込みをするタイミング、書き込みの内容や2人で決めたこと…すべてはiPadと同期しており、丸裸になる。
時系列にそって奏者の脳内がはっきりと閲覧でき、実際に場に放たれた音響も確認しながら、その裏に隠された意図や、ひらめき、あるいはエラーの情報を得ることができる。こんなおもしろいことがあっていいのだろうか。
(奏者にとって、これほど恥ずかしいイベントもないといえる。どうかお手柔らかに。)
もちろん、楽譜をすばやく読めない方にも楽しんでいただけるよう、楽曲の中身と現在地の指し示し、今起こっていること、そして書き込みについてのちょっとしたコメントを随時入れながら進行する予定です。ご安心ください。

1/30公開リハーサルのお申し込みはこちらから!
入場料は1,000円ぽっきり。
また、2/25本公演チケット購入者は、【入場無料】
ぜひ、ご来場ください!


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