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血圧が200まで上がった時思った事

2年前血圧が急に200まで上昇した。普通にデスクでPCの前で作業していただけだった。私はタバコやお酒も飲まない、体型もやや痩せ型で通常の範囲。自宅の中にいる中で急な出来事だった。当時の体の状況を思い出すのは辛いので詳細はあまり記載しないとして、私は徐々に意識不明の直前にいると悟った。目の前が白くなってきて見えない。耳が塞がり音が遠くなってくる。私は落ちてしまう前に救急車を呼ぶことはなんとか出来て、浅い息を吐きながら部屋の中で倒れていた。体が痺れていた。次に私は電話をかけて家族に現状をなんとか伝えて、感謝の気持ちを伝えた。悲しかった。突然訪れた私の悲しみ。走馬灯のように思い出は駆け巡らなかった。後悔も何もなかった。考えることができなかった。ただ体の苦しみを和らげるように意識だけがぼんやりとしていた。救急車で搬送先を探すがすぐにはつながらない。今思えば自宅に救急車が来てくれたので、そんなに気にすることはなかったのだが、家族に伝えてほしいと思い、私は携帯の暗証番号だけを唱えていた。救急隊員はそんなに深刻な状況ではないと懸命に励ましてくれたが、何回も同じように尋ねられる質問に答えるのが苦しかった。お願いします、そっとしておいてくださいと思いながら、、、そして携帯で家族に電話できなかったら困るだろうと、1111(厳密には違う番号だが)、、、、1111、、、、1111、、、とそれだけを小さな声で唱えていた。それが私の携帯の暗証番号ですと。何かあったらそれを解いて連絡してくださいと言う意味で。

病院に運ばれて心臓の状況から、先生達の声が聞こえてきた。私は意識を落とさないようになんとか必死で声を発するようにしていた。先生達の見解では初見では問題がないようだが、「心臓の左右の血圧の差がえぐいですね」といった声が聞こえた。背中に麻酔が入り、MRIで検査が行われた。結果脳や心臓にも問題はなく、原因不明だが一時的に起こった現象だと言うことだった。私は何の治療もないままベットに横になってガタガタと震えていた。当時夏だったので、熱中症の人が多く緊急治療室の温度が異常に低かったのだ。私はTシャツ1枚で毛布は借りたものの寒いのと身体中の痺れが落ち着かないことを気にしながら、ただ横になって自分自身の心臓の音を聞くように目を瞑っていた。

家族達が病院に集まってきて、状況を説明し特に問題はないからという事で帰宅することになった。その後家族達はたいしたことなかったじゃんといった拍子抜けの表情を見せたが、私はその夜40度の高熱を2、3日出すことになった。

今でも思い出すのは、私は基本的に健康体だと思うし、健康診断も人間ドックほどではないが受けるようにはしている。でもそのように突然意識が遠のく時、何も怖くなかったという事だった。思い出すことも何も。ぼんやりしていて、状況を把握して助けを求めなければと思ったが、当時自分の状況はとても冷静になんて正確に把握しきれない。でも会えなくなるのではという人達の事は頭をよぎった。

その後その症状はもう出ていない。もう2年前の出来事だが私はその時から今後はもっともっとなるべく好きな事をしたいと思うようになった。わがままで嫌だなと思った人達がいても、私もわがままに生きたいと思うようになった。そっちの方が楽じゃんって。だからこんな人がいてもいいじゃんって許せるようにもなった。嫌なことはなるべくせず、好きな人に好きだと言いまくって、好きな場所に住んで自由に生きたいと。好きなように動けない我慢する時期があったとしても、必ずそれを覆すタイミングを見計らうのだと。それらの全てがもし叶わなくても、少しでも味わうのだと。自由の裏側には孤独もあるかもしれない。迷惑をかけるのが怖くていまだに自分を抑える時もある。何が幸せなのか考える時もある。今だに見失っている部分もある。だけど、周りの人達には人間は迷惑を掛けないように教え合うのではなく、迷惑を掛け合うのが人間らしく普通なんだと励ますようにしている。その後写真や動画ではあるが、素晴らしい景観を見たり、オンラインではあるが、通り過ぎることもなかった人達とコミュニケーションをとれるようになり、私は生きていれば世の中が勝手に代わり、面白いことにも出会えるのかもしれないという可能性に触れることが楽しみになってきた。辛い事や嫌なことは今もあるし、叶わない願いに落胆する事もある。それでもオンラインでもオフラインでも、時代は流れ今までは出来なかったことが出来るようになってくる。その可能性に私は触れていたのだ。それが私の原動力になっていると言えば、そうかもしれない。

私のさようならは家族だけではない。この世界にさよならした悲しみだった。それは深く、私の生を自分自身で否定した絶えがたい経験だった。もうあのような悲しみに襲われたくはない。

うん。私は、今日も元気だ。



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