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サイゼリヤとドトールの町、ミラノ ◆ 水曜日の湯葉114[2/7-13]

2月7日 水

ドトールのミラノサンドを食べながら原稿をする。ドトールのサンドは全部ミラノサンドである。サイゼリヤのドリアもミラノ風だ。日本の飲食チェーンはメニューに必然性の薄い「ミラノ」をつけたがる。現実のミラノをよく知らないので低価格チェーンの町という印象になりつつある。調べてみると世界的なファッション都市として知られているらしい。

海外の日本食レストランでよくわからん地名の付け方をしていたらどうだろう。「広島風炒め物」というのを頼んだらオイスターソース炒めが出てきて「広島は牡蠣が有名なのでこの名前にしました」みたいなやつ。どうだろう。「そこはオタフクソースにしろよ」と言われそう。

半額セールになっていた『作ろう!CPU』という本を読む。手を動かしながら読むことが想定されている本だが、大変そうなのでいったん目だけで読む。「not ゲートを2つつなぐと SRAM ができる」というところで「マジかよ」と手を動かして図をぐりぐり書いた。マジだった。すげえ。


『幽霊〜』の書籍版改稿を進める。ゼエゼエ言いながら連載していたせいで不手際が山ほどある。たとえば「幽霊」と「霊」の使い分けが不明確だ。なんとなく「幽霊」のほうが「かすか」という字がはいってるぶん実態が不確かで仮定的な印象がある。なので豊が言うときは「幽霊」でハルは「霊」という使い分けをしていたのだが、そもそもハルが言わない言葉を豊が言うのはちょっとおかしい気もする。いっそ全部「霊」に統一する手もある。

無料版では言っていなかったが、長編小説『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』はもっと短いタイトルで書籍化する予定である。これは連載前から決まっていた流れである。

僕「幽霊を信じない理系大学生が霊媒師のバイトをする話、っていうのが基本的な枠組みなので、これをもとにタイトルを決めたいわけですけど」
編「そうですねえ、例えばこういう感じでしょうか」
(5分くらい議論、決まらず)
僕「……もういっそ『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』をそのままタイトルにしませんか? なんかネット向けな気がしますし。完結したら内容を見返してタイトル考えますんで」
編「あ、それでいいですね。Web版はそれでいきましょう」

連載開始前の打合せ(記憶をもとに再構成)

だいたいこんな話をした。「実際は書いてくうちに愛着がわいてそのまま書籍化しそうだな」と思っていたが案外そうでもなかった。やっぱりタイトルは口に出して楽しい言葉にしたいし、作品リストを並べたときに1つだけ突出して長いのはみっともない気がする。

『横浜駅SF』(2016)
『重力アルケミック』(2017)
『未来職安』(2018)
『人間たちの話』(2020)
『まず牛を球とします。』(2022)
『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』→変更

過去作(小説)一覧


2月8日 木

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