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あなたが本棚を作る時、本棚もあなたを作ってる ◆ 水曜日の湯葉125[4/24-30]

4月24日 水

『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』のゲラ校正。柞刈湯葉史上最長の350ページ。この量の文章から矛盾を除く作業、とんでもなく疲れるので二度とやりたくない。「算用数字と漢数字は意図的に使い分けてるのでママでお願いします」と書いたが、本当に意図的なのかだんだん自信がなくなってきた。

長編小説は『未来職安』以来6年ぶりだが、相変わらず長編小説というものがしっくり来ない。「短編は出来事が軸ですが、長編はキャラクターを軸に回すものですよ」ということを教わった気がするが、どうも自分は「キャラクターを描きたい」というモチベーションがだいぶ希薄な作家だと思う。人よりも出来事を主体にしたものを描きたい。岩明均もそう言ってたので『寄生獣』の威を借りて堂々と言える。

自著のレビューで「この著者は人物を書くことに興味がなさそうだが、それはそれとして登場人物たちはたいへん興味深く、彼らの行く末が気になる」ということを言われていたことがある。なるほど、そう思っていただけるのはありがたい。ただ僕は彼らについて書いた部分のことしかわからないので、それ以外のことは本人に聞いてほしい。

小説の本文中に「実娘」という言葉が出てきた。自分の原稿なのに読み方がわからない。調べてみたら「じつじょう」らしい。音にされるとまったく耳になじまない。「愛猫」→「あいびょう」も全然ピンとこない。しかしこれは小説なので、そうした音の違和感はとくに気にせず進める。

新連載についての打ち合わせが1件。「ミスター・ポポってアニメ版だと青いじゃないですか」と言ったが別に青くなかった。海外版で青に修正されたことがある、という話だった。


4月25日 木

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