天を司り地を操り、空を纏う男

平昌五輪も折り返し。
羽生結弦選手の金メダル、連覇には心踊りました。

(画像はyoutubeへリンク)

伊藤みどりのアイスショーに行ってたくらいからのフィギュアスケートファンだ。とにかく、大興奮だった。
ショートは刑事くんから後半のみの視聴、フリーは全部見た。流石オリンピック、みんな仕上げてきてて、見応え抜群だった。ハビエルの優美さと、昌磨くんのダンサー気質溢れる演技に引き込まれた。フリーのネイサンは感動的だったし、リッポンも素敵だったなー。もちろん、刑事くんも大健闘でした。しっかりオリンピックを「確保」してた。

しかし、絶対王者こと羽生くんは、凄まじかった

完璧なショートプログラム、「僕はオリンピックを知っているから」の発言、そして運命のフリー。ミスはあったけど、圧倒的に場を制していた。あれから何度も演技を見返している。

褒賞後、メディアでの発言を聞き、彼の聡明さに唸らされた。周囲への配慮や、覇者としての責任感が随所に感じられる言葉たちの理知たるや。まだ23歳だよ。すごいよ。同じ歳の頃の自分を思い返すと恥ずかしくて死にたくなる。

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怪我は深刻で、普通なら出場出来ない状況だったようだ。でも彼は諦めなかった。自分の状態を正確に理解・分析した上で、科学的な努力を積み重ね、今大会に挑んだと言う。

彼はアスリートだが、「知」の人なんだな、と思った。弛み無い努力は、豊富な学びと経験に支えられているんだ。

テレビ越しに見ていて、本質的には羽生くんって、「王者」の性格ではないんじゃないかな、と感じた。

外側から見ると、文武両道の王子様、つまり少女漫画の主人公が、盛り気味設定の少年ジャンプで暴れている、みたいな展開だった。実際、ヒーローにありがちなナルシシズムは存分に持っているようだ。故に、「KINGな俺」を成立させるべく、理想へ自分を追いつかせている様相は其処此処に見受けられた。
乱暴にいうと、己にとことん誠実で、情熱的な伊達男、という印象だ。

御本人はおそらく、極度の負けず嫌いで、Sっ気もある頑固者。で、周囲の気持ちが分かり、気遣いが出来る。あと恐らく甘えっ子だろう。このタイプは、結構、いやかなりナイーブ。参謀・大老に向いてて、社長って感じではないのかな、と。エースで4番はキャプテンにならないように。
こういう人がトップに立ち、スターになるには、教養或いは趣味が必要だ。言いかえると、「余白・余裕を生む何か」。羽生くんはそれをよく分かっている。
「王者」に憧れて、どうしてもなりたくて、そのために必要な事は?って、冷静に考え、死ぬほど努力する。弱さを知っているからこその強さだ。何だかいじましい。

オリンピックチャンピオンに対して大分失礼ですが、私はそんな羽生くんを、本当に魅力的だと思った。アスリートとしては言わずもがなだが、人としても。頭が切れる分、見えるものも多いから、色んなことに対して倍感じるし、傷つくと思う。そこを知性と品性でカバーしてるんだろうな。
やっぱり人を人たらしめるのは「考える葦」の部分なんだな、と改めて。

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と言いつつも、本当はアスリートの性格とか、怪我の舞台裏とかって、あんまり詮索すべきじゃないと思っている。

あの演技が全てだ。

まさに「陰陽師」、あの瞬間、羽生くんは五行の全てを支配していた。やっぱり、王者です。
百万回のおめでとうと、ありがとうを、勝手にお贈りさせてください。それから、生まれてくれてありがとう。
自分の人生も少し変わりそうなくらい、胸打たれた2分40秒と、4分30秒でした。


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