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Alexaスキル LearningDayに参加してきました

今回は12/13(金)に東京・目黒で開催された
AlexaスキルLearningDayに参加してきました。
本イベントはAlexaのスキル開発にまつわる最新情報や機能の紹介
またゲストスピーカーによる事例紹介などセッションもあり
かなり盛り上がった内容のイベントでした。

キーノート

柳田

AWSJのAlexaビジネス本部長の柳田さんより
2019年に発表されたスキル機能の最新情報や
先日USで発表されたEchoシリーズのまとめ、
そして今後のAlexaの展望として
Alexa Everywhereを話していただきました。

個人的にはEchoシリーズの中でSpotが製品ラインナップから
なくなっていたのでそれについて直接質問してきました。

Q. なぜSpotがラインナップからなくなったのか
A. Showシリーズが複数展開してきていて、
  値段帯としても最小のEcho5と同等であること。
  また、デバイスの丸いディスプレイが特殊であり
  開発するのもそれ専用で対応しなくてはいけないケースもあるので
  今後の展開としてはShowシリーズがオーバラップする形になります。

Q. それでは開発についてはShowだけに対応すれば問題ないか
A. 現実問題として、Spotユーザも一定数いてるのでSpotを無視したスキル開発は難しいです。
  基本的にはAlexaチームがスキルチェックをしているので
  公開前にSpotに対応してないよとアラートをかけることがあります。
  ただ、レスポンシブなUIであれば特にSpotだけエラーが出ることもないと思うので
  そこまで注意しなくてはならないわけではないと思います

ということで今後についてもSpotが再販されるということは、
現実的ではなさそうな印象を受けました。
「結構あの丸みが可愛いのに」っていうのも内部としての認識はあるようなんですけどね。

テクニカルアップデート

松井

あるーん

本セッションでは、スキル開発に関わる情報や
最新機能の事例が紹介されました。

日本でもISPが対応し、マネタイズができるようになったことや
のちのセッションでの事例にもあるWebAPI for Gamesなど
新たな開発手法が提供されたことや
APLについては開発するまでの背景や、
OSS化されたことのアナウンスなど、情報満載なセッションに。
APLリソースについては英語が先行してリリースされており
日本語版についても間も無くリリースする予定だそうです。

画像4

ゲストトーク

Invoked AppsのファウンダーであるNick Schwabさんによる
ISPでのビジネスの作り方や、どうすればユーザに愛されるスキルになるかという話。

ニック

Echoが出る前からシミュレータで開発を始めていて、
実際に手を動かしていたらすんなり出来たというくらい意外と簡単だった。
3作目に出した睡眠スキルとしてRain Sounds(雨の音)をリリースしたが
これを開発したきっかけは、住んでいたマンションの上の階の住人の騒音が煩くてなかなか眠れなかったことから、
雨のおとでかき消すようなことをしてみたらどうかという発想から開発。

今では45以上の環境音スキルを公開し、100万ものサブスクリプションユーザを抱えるまで成長。
ユーザのレビューをよく読んで、何を欲しているのかを観察し、それを改善する
これをひたすら繰り返すことでユーザからの信頼度も増していくし、
スキル名をシンプルにすることで検索にも引っかかりやすくなるので
必然的にアクティブユーザが伸び続けていった。
地道で単純なことでも積み重ねることが何よりも大事であるということが突き刺さる内容でした。

ゲーム開発のための最新技術&事例紹介

小林

Alexaを使ってゲームを拡張してみたらどうなるかという話で
先行事例としてデスティニー2やCall of Dutyのプレイ動画が出ていたり。
Alexaをメインとして扱うのではなくナビゲーターのような立ち回りで
プレイヤーのゲームアシストを担う形で利用されていました。
このあたりは実際の動画を見てもらった方がわかりやすいのでそちらをチェックしてください
Call of Duty
デスティニー2

ゲームの中でのAlexaの役割はどうなるのかを考えたときに
アシスタントやナレーター、ゲームマスターからプレイヤーまでこなすことができるので
どのポジションが実際のゲームで最善なのかを考慮する必要があると思います。
CoDやデスティニー2のようなFPSゲームではナビやアシスタントしてもらう方が
プレイヤーにとっての恩恵が高いことが考えられるかなと。

逆にAlexaがFPSで対戦相手になるかと言われたら完全に破綻してしまうはずで
毎度呼びかけをする必要があることを考えると動きがあるものはまず無理、
そしてリアルタイム性を追求すればするほど物質のない音声だけのレスポンスは
ゲームとして成立しなくなるのかなと推測します。

ただ、無機質な音声だけでいいのかというと
それもゲームの世界観を壊しかねないので、SSMLやリッチな効果音やBGMを追加したり
スピーチコンで発話の速度やピッチを要所要所で変えるなど、
Alexaでの演出をしてあげれば、さらなる没入感が得られる可能性が存分にある。
もちろんAmazonがそれらに対してのサポートとして効果音のライブラリだったり
SSMLの設定方法を公開しているので、開発しているスキルでの発話がちょっと物足りないなと
感じればこれらを試してみるのもアリ。

クックパッド社が出したレシピ検索スキルを開発する上での気付きなど

クッ社

Alexaが出始めた当初からスキルを公開しているクックパッド社。

なぜ、スマホでも容易に扱えるレシピ検索サービスをVUIで表現しようとしたかというのは、
スマートスピーカーの利用場所で約3割がキッチンにあるということで、
調理中や洗い物をこなしているときには手が使えないからだということに着目。

開発当初は、音声だけでレシピを利用者に伝えることを考えると
長時間の発話となって、ユーザ自身がストレスを感じてしまうので
スマホのAlexaアプリにカードを飛ばしてビジュアル的に表現して対応していたとのこと
ただ、それもデバイスにディスプレイがついたり、機能面でのアップデートのおかげで
できることが少しずつ変わってきたこともあって途中でスキルのコンセプトを見直してきたことも明かしていました。

また、海外でも展開しているので、日本のスキルと同じ機能でいいのか、
現地の言い回しはどうなのかを調査するためにわざわざ現地まで行って
ユーザテストを行うことで品質向上を図るなど、
単に多言語対応するだけでは、現地ユーザの満足度が上がらないことも話していました。

Alexa Skill Award2019で最優秀賞を獲得したボイスアップラボ社

トール

イケダ

マルチモーダルで遊ぶことができる「どうぶつびより」で今年のスキルアワードの
最優秀賞を獲得したボイスアップラボ社。

VUIの開発を専門に行っている企業で、マイクラ風の小気味いいサウンドを流しながら
RPGとして遊ぶことのできる「こびとのせかい」やLINEClovaでの日本最多利用数を誇る
「歯磨きくん」などをリリースしているところで気づいたのは、
開発している当初はアシスタントとの会話を楽しむためのものでスキルを作っていたが
実際のユーザとしては会話ではなくその先にある体験のことに重要視していることが多いということ。

スキルを起動したときに毎度説明を入れるのでは「前置きが長い」「もっと早くスキルを使いたい」というレビューがあったり
次にそれを改善したときには「スキルの継続時間が短い。」「長い時間音楽を流して欲しい」というような
会話より先のことを求めていることが多かったということ。
そして会話は非常にシンプルにしつつサウンドを大切にしたものが今の時代にはフィットしたスキルであることがわかっている。

サイバード社ALexa WebAPI for Gamesを使って開発した話

根岸

Amazon社からの依頼でプレビューリリース前から開発に着手していた「政宗の部屋」

イケメン戦国の中で伊達政宗にフォーカスしたスキルで、
画面の中で政宗が添い寝をしたり、イケボで時間を読み上げてくれたりと
「けしからん」内容なスキルではあるものの実際にはかなりの苦労があったようです。

まず、スキルの課金システムや自社のコンテンツがあるのでビジネス的には問題ないが。
ユーザに対して確実にリーチできるかであったり、Alexaスキルでの予想を超える体験を提供できるかということが
最大の課題になっていたとのこと。
社内で「予想を超える体験とはなにか」を企画し、それを実現するために多種多様なメンバーを揃えて完全な体制でのチームを構築。

そして、企画の中から出てきた案として24時間でキャラの服装を何回も変えたり
背景の展開、キャラの揺れや動作といった動きを再現したい・・。
そのためにパーツを細分化してそれぞれにあったデザインを一つ一つ丁寧に仕上げていたり、
デバイスによっての動作確認や、画面のFPS値や通信状況によって動きが変わらないか検証するといった地道な努力が積み重なってできたスキルだというので
これについては実際に体感してみるのがわかりやすいのでぜひ有効化を検討してみては。
(ディスプレイ付きのデバイスでのみ動作します(Showシリーズ、FireTVなど))
https://www.amazon.co.jp/株式会社サイバード-政宗の部屋/dp/B081HXHM78


Alexaとボードゲームを組み合わせたSt.Noireのデザインや開発について

ゼイ

ありそうでなかったボードゲームとAlexaの組み合わせ。
上述したCoDやデスティニーはコンシューマゲームなのでいわゆるデジタル×デジタル。
かえってSt.Noire(セントノアー)は物理のボードゲームなのでアナログ×デジタル。

なぜ、それがいいのか。

ゲームディーラーを人間がやるとするとゲーム内容を熟知する必要があり、
またストーリー性のあるものでは覚えるのに時間がかかったりと
プレイまでのコストがかかってしまうのが現実問題。
ただし、それをAlexaが取って代わると人間は話しかけるだけで
簡単にゲームを始めることができる。

でもただ単に粛々とゲームを進めていくのでは飽きが来てしまうので、
映画クリエーターを集結してストーリーを何本も作成したり、音楽を作り込むことで
ボードゲームの世界観を作り上げる一つのファクターにしていることを上げていました。

個人的に実際にプレイしてみたんですが、そもそものキットの質感も高く
また、映画クリエイターならではの音響再現をするなど
細かい作り込みが散見されるスキルなので、実際に買ってプレイしたいなとも感じました。


最後に

その後については初心者向けのハンズオンだったので、
諸々予定もあり撤収してしまったんですが、実に学びや気付きの多いイベントでした
また来年も同様に開催してくれたらいいなー


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