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「わかられてたまるか」ー音楽に救われる日々

今日はシンガーソングライター、ヒグチアイさんのインストアライブに行ってきました。
アルバム「一声讃歌」の発売記念イベントでした。

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いやぁ…素敵でした。

アルバムの最後に「ラブソング」という曲が収録されています。
そのタイトルの甘さとは違い、辛い言葉が並びます。

誰かを救う うたをかきたい
なんて言うくせに 救われたことがない

アートは人を気持ち良くさせるためだけのものだと思われることが多いです。
違うよ。
プラスでもマイナスでも「どれだけ気持ちを揺さぶるか」が真価でしょう。
ヒグチさんの曲は聴いていて「うっ」と苦しくなるくらいに「ほんとうのこと」が書かれています。
それだけに、心のちょっとしたところに深く入り込んでガッと揺さぶられてしまうのです。

すぐに悩みを 話す人が羨ましい
そのたび強く思う わかられてたまるか

わかられてたまるか

ライブでこのフレーズが歌われた時、ぼたぼたっと涙が溢れました。

わかられてたまるか

「みんなツライのを乗り越えているんじゃないの」
「みんなやっている事でしょう」
「普通そういうのは気にしないんじゃないの」
「普通はそれを耐えるんです」

私は「みんな」じゃない
私は「普通」じゃない

尊敬するミュージシャン、フルカワユタカ氏もこう言っています。

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普通なことは芸術家として罪

普通になんかなるもんか。
なれるもんか。
全員違うんだ。
同じ事があっても、その傷も痛みもツラさもツラさへの耐性も。
みんなが耐えれるから私も耐えれるわけじゃない。

耐えれないなら脱落するだけか?

ふざけんな。
わかられてたまるか。

ヒグチさん御本人とお話しできたので、ここのフレーズで感動したことを告げると
笑いながら「わかるかもー!」と言われました。(わかられてt…笑)
「そういう頑固さありそうだと思ってた」というなぜそうなるという言葉のあとに
「わかられてたまるか、って人が集まってくるから大丈夫」と続きました。
天使かよ…。

わかってほしいと思う奥底にいる、わかられてたまるか
そんな自分の気持ちに引き逢わせてくれました。

占い師の石井ゆかりさんの著書に「わかられてたまるか」というよりも
「わかりあえない」孤独が書かれていたのを思いました。

宇宙空間に出るとき、人間は宇宙服を着なければなりません。
音を伝えてくれる空気は服の内側だけに密閉されていて、外側は真空です。
このような状態は、大変孤独だろうと思います。
もし、近くに同じように宇宙服を着た人がいたとしても、その人と意志を疎通させるためには、不自由な機械を通して通信するしかありません。
直接には、その声にも肉体にも、触れられないわけです。
ー石井ゆかり「水瓶座」

宇宙服を着てることを、わかってほしいんだと思うのです。
私にとって言葉は「意志を疎通させる」ためには不十分で、「絵」こそが意志疎通の「不自由な機械」となり得るものです。
そんな不十分で不自由なものでしか知り得ないのに、私の宇宙服の中身を、
わかられてたまるか。
そんな簡単に、そんな単純に、そんな普通に、「みんな」の枠でわかるように
できてなんかいない。
それをわかってほしい。

私自身をわかられてたまるか。

心に刺さる言葉はきっとそれぞれ違うけれど、心を、気持ちを、自分を、深く掘り下げたことのある方には響くと思います。
ヒグチアイ「一声讃歌」収録「ラブソング」聴いてみてください。

ヒグチアイ「ラブソング」


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