ある幼児持ち専業主婦のぼやき

子どもは1歳で、保育園などには預けていないので、基本的には私が子どもを見ている。子が寝ている間にぼけっとネットを見たりするわけだが、私が見る日本語ネット圏では、ワーキングマザーの話ばかり目に入ってくる。twitterでワーキングマザーが家事をどう省力化するか、夫にどう育児を手伝ってもらうかなどの話をしているが、ご存知でしたか、専業主婦だって家事を省力化したいと思っているし、夫の協力が全くなければ育児は難しいですよ……。そういう会話には参加できず情報をもらうのみです。

先日はFacebookを眺めていたら、右端の広告に「働くママのための食洗機用洗剤」と出ていて、なんだよ働いてないと食洗機も使っちゃいけないのかよ、と。うちは子供産まれてから買いましたけど食洗機。ちょう便利です。もう使わなかった頃には戻れません。

ワーキングマザーというのは、未就学児の子どもを保育園に預けて働いている四大卒総合職の女性らしい。「働いている母親」というのは、あらゆる学歴も専門職もパートも含み、子どもの年齢もいろいろだと思うのだが、以前話題になった味の素のCMもサイボウズの動画も、スーツを着てオフィスで働いてプレゼンなどし、定時であがって保育園から子どもを引き取って家に帰る女性だったし、暗黙のうちにそういう前提で話が進んでいることが多い。

そういうワーキングマザーについて、羨ましい気持ちとあきらめの気持ちとがあり、複雑な思いで眺めている。わたしが専業主婦でいる理由はいろいろあるが、基本的には妊娠するまでに正社員のキャリアを積むことに失敗したからと、夫が、時期にもよるが、基本的には土日も仕事をしているからだ(もちろん平日も)。

いまから正社員になろうにも、これといったスキルもないし、年齢がいきすぎだし、ブランクが長いし、さらに幼児持ちなどどこも採用してくれないだろう。そして夫婦ともフルタイム勤務でないと保育園には入れない。私がいま住んでいる自治体は、保育園入園が難しく、その条件を満たしていても預けられない人がたくさんいる。

以前、子どもが活発に動き回るようになり、お昼寝も徐々に短くなってきて、実家も遠方で、平日も土日もずっと子どもの面倒を見ているのはきついと思い、専業主婦でも預けられる無認可保育園をいくつか見に行った。よい雰囲気のところもあったが、子どもがかわいそうだなと思った園もあった。結局、無認可保育園には入れず、ファミリーサポートなども試したのち、民間企業のシッターさんに週2回来てもらうことにした。

子どもとよく近所の子育て支援センターに行くのだが、そこは公立保育園の一室を利用している。その広い園庭で遊び回る園児たちを見ると、以前見学して回った、雑居ビルの一室を利用した無認可保育園との環境の差に微妙な気持ちになる。

そもそも税金で運営されている公立保育園に入るための「優先順位」とはいったいなんなのか。シングルマザー/ファザーや、病気や障害のある親を持つ子どもが優先されるのはわかる。しかし、これから就職したいと思って就職活動のために子どもを預けたい人、あるいはフリーランスやパートタイムの人は、正社員で産休育休を経て復帰する人よりも優先順位が低いのはなぜだろうか。あるいは、うちの子と同月齢の子どもがいるママ友は、2人目を妊娠しているのだが、医師に、切迫流産とまではいかないが、あまり身体を動かさないようにと言われている。それでも子どもの相手をしないわけにはいかず、公園に連れ出したり抱っこしたりしている。そういう人も優先順位が低いのはなぜだろうか。

そして子どもを保育園に預けた場合、本人には全く責任のないそういった理由で、園の空間的なゆとりや自分と関わってくれる大人の数が大きく違ってくる。最近は幼少時の精神的発達の重要性が強調されているのに……。まあその理由は、自治体は、義務教育である小学校と違い、ニーズのある分だけ保育園を確保する義務はないからなのだが。

私の置かれた状況(実家は遠く、土日も私一人で子どもを一日見なければならない日が多い)を考えると、これから子どもを(無認可)保育園に入れて働くよりも、平日日中の数時間でもシッターさんに来てもらって、「自分が子どものあらゆる行動について安全を確保し、責任を取らなくてもいい」という休息の時間をつくれる現在の生活の方がいいのでそうしている。夫はすごく高収入ではないが、私が働かないと困るというほどでもなく、シッター代もいま程度の利用なら家計を圧迫するほどではない。もちろん、同様な条件でフルタイム正社員をしているワーキングマザーとか、無職だったけどがんばって仕事を手に入れた人もいると思うので、私が心身の健康を優先してそこまでがんばらないことにしましたという話でしかないが。

まあそんなわけで、保育園を利用し、夫婦ともに社会的ステイタスが高く(少なくとも両方とも正規職員)、仕事も育児も半々! どちらかが失業しても離婚してもリスクヘッジ! みたいな「政治的に正しい夫婦」が、私にはまぶしい。できることならそうなりたかったが、私にはその能力がない。今後もう少し子どもと離れられる時間が増えてきたら、パートか在宅で請けられる仕事かなにかやってみたいとは思うけど。

あ、自分にとっては当然すぎることで書くのを忘れていたけど、子どもは超カワイイです。保活とか、離れているための準備(断乳など)とかそういうことを心配する必要なく、生まれてから1年と少しの間、ずっと一緒にいて成長を見届けることができたのはよかった。でもそれは育児が大変ではないという意味ではなく、大変なので、離れて休息する時間が欲しい。シッター代は、もともとメンタル弱めの私が心身ともに健康な状態で、楽しく子どもと一緒にいるためのコストだと思えば安いものです。そう考えると、今から何かしら仕事を始めるという選択肢は、今の私にはない。でも、ほとんどの親はそのくらい子どもをかわいいと思っているのに、それでもなお働きたいと思える、戻るべき職場が待っているというのもいいなあ、と。

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